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2008年5月1日
経営センサー5月号 2008 No.102

■経済・産業

サブプライムローン問題と世界経済の行方 -世界的なハイリスク貸出急増の帰結-

伊藤忠商事株式会社 調査情報室 チーフエコノミスト 北井 義久

【要点(Point)】
(1)サブプライムローン(1.3兆ドル前後)は、10兆ドルを超えるハイリスク貸出(信用力の低い借入人対象)の一部に過ぎない。
(2)ハイリスク貸出は、9.11テロ後の不況克服を目的として米国で実施された超大型景気刺激策により住宅分野を中心に急増した。
(3)また、複合証券化商品により、ハイリスク貸出をAAA に格付け可能としたことが、ハイリスク貸出を加速した。
(4)更に、米国金融機関の高収益を目的としたハイリスク貸出への傾斜は、折からのドル垂れ流しと共に、欧州・アジアに伝播し世界的な現象となった。

拡大するカーエレクトロニクス市場

株式会社武蔵情報開発 代表取締役 ハイテクアナリスト 杉山 勝彦

【要点(Point)】
(1)今、自動車業界は、地球環境保護への早急な対応を迫られる一方、事故を減らすための画期的な安全技術の開発も大きな課題となっている。
(2)カーエレクトロニクス技術はこれらを解決するための切り札になる。
(3)ディーゼル車とハイブリッド車における高度な燃料制御、様々なアクティブセーフティの実用化には、カーエレクトロニクス技術が大きく貢献している。
(4)また、カーエレクトロニクスの普及とともに、新たな自動車部品メーカーとして電子部品メーカーの台頭が注目される。

韓国ライバル企業を追う(2) -存在感を増す韓国グローバル企業 事例(2)サムスン電子-

永井 知美 産業経済調査部 産業アナリスト

【要点(Point)】
(1)サムスン電子は、「フォーチュン・グローバル500」で世界第2位の電機・電子部品メーカーである。ブランド力も向上させており、「サムスン」のブランド価値は「ソニー」「パナソニック」のブランド価値より高い。
(2)サムスン電子がローカルな後発メーカーからグローバル企業へ脱皮した背景には、「電機業界のアナログからデジタルへの転換」「新興国の勃興」「ウォン安」といった幸運な環境変化もあったものの、「事業の選択と集中」「リスクをとる姿勢」「ローエンドからハイエンドへの転換」といった同社の戦略の成功も大きい。
(3)サムスン電子は、コスト競争力が要の半導体・液晶パネルでは果敢な設備投資で、差別化が重要な消費財分野ではブランド構築と巧みなマーケティングでシェアを伸ばした。
(4)過去10数年で世界トップレベルの電機・電子部品メーカーに成長したサムスン電子も、新たな成長市場の確保という課題を抱えているところへ、経営権継承に絡む不正疑惑で会長が辞任し混乱が続いている。グローバル企業にふさわしいコーポレート・ガバナンスを確立し、先頭集団に立って真に創造性を発揮できるかどうか、真価を問われるのはこれからである。

PDF : 詳細(PDF:612KB)

■視点・論点

「規制改革」は、なぜ挫折・敗退したのか

元 内閣府市場開放問題苦情処理推進会議 専門委員 宮智 宗七

■マネジメント

中国販売会社における委託加工取引にかかわる問題とその対応

望月コンサルティング(上海)有限公司 公認会計士 望月 一央

【要点(Point)】
(1)中国においては、対外開放政策開始当初、生産輸出型の外商投資企業が推奨され、その後保税区貿易会社、販売会社等の形態が認められるようになってきた。
(2)中国においては生産行為とそれ以外の行為の区分が明確に設けられており、販売会社が生産行為に従事する場合には行政処罰の対象となる。
(3)販売会社においても一定の方策を採用することにより、合法的に実質的加工機能を持たせることが可能である。

PDF : 詳細(PDF:281KB)

■人材

上級MOT 短期集中研修「戦略的技術マネジメント研修」について(第10回) 座談会 - OBが語る「戦略的技術マネジメント研修」-

ビジネス・シナジー・オーケストラ代表 加藤 慎康氏 綜研化学株式会社 研究開発センター 知財戦略室室長 今井 達裕氏 三井化学株式会社 触媒科学研究所 主席研究員 進藤 敦徳氏 新日本製鐵株式会社 名古屋製鐵所 人事グループマネジャー 吉村 尚氏 日本電気株式会社 IT基盤システム開発事業部 ソフトウエアーサービス事業推進部 部長 島野 繁弘氏 大正製薬株式会社 セルフメディケーション研究開発企画部 主事 伊藤 充氏 司会:株式会社東レ経営研究所 MOT チーフディレクター 宮木 宏尚 取材・写真:フリーランス・ライター 山崎 阿弥

【要点(Point)】
(1)上級MOT短期集中研修「戦略的技術マネジメント研修」も第7期を終了し、3年半のうちに約120名の修了生を送り出している。この修了生から研修の印象、学んだことを業務にどのように活かしているか、また、この研修についての今後の改善についての意見などを聞いた。
(2)研修の内容は、短期間にマネジメントの手法と考え方を学ぶ研修がバランスよく配されており、MOTの必要性がよく理解でき、実践的な研修であった。
(3)ケーススタディなどで「直感的」に学ぶことのできる研修は、有効であった。
(4)各界のリーダーの生々しい体験をベースにした講演は、とても感動的であった。
(5)隔週土曜日を潰しての研修はハードであったが、“とても楽しい研修”であった。
(6)異業種交流、ネットワークづくりの機会として非常に有効であり、修了後も交流が続いている。
(7)限られた時間での研修であり、更に深掘りするアドバンスドコース研修の開催を期待する。

気付きから学びへ ―人材開発の現場から―(第18回) 個の気付きを議論によって昇華させ、競争力に結び付ける

小林 元 特別研究員

PDF : 詳細(PDF:143KB)

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード ・「政府系ファンド(SWF)」 ・「低価格車」

■お薦め名著

『築地』 -米・人類学者による築地市場の全貌-

Theodore C. Bestor著 和波 雅子・福岡 伸一訳

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産業経済調査部 増田 貴司

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