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2019年9月26日
経営センサー9月号 2019 No.215

■今月のピックアップちゃーと

密輸も一因? 金の輸出入ギャップ ~取り締まりの強化が進む~

産業経済調査チーム

■産業経済

内外経済観測:戦後最長景気の行方と今後の注目点

取締役 エグゼクティブエコノミスト 増田 貴司

Point
(1)2019年前半の日本の国内総生産(GDP)は内需中心に予想外に堅調だったが、その他の経済指標等から判断すれば、国内景気は依然停滞感が強い状況を脱していない。
(2)日本経済は2020年度にかけて内需主導の緩やかな成長が続く見通しで、2019年10月に実施される消費増税による景気腰折れのリスクは小さい。しかし、世界経済減速による輸出の減少と企業収益の伸び鈍化、米中対立激化など世界の経済政策の不確実性の高まりなどを背景に、先行き内需の伸びは鈍化し、低空飛行が続く見通しである。
(3)「日本の景気が悪化するきっかけはほとんど常に海外経済の変調」という経験則からすれば、外部環境は厳しい状態が続く。減速が続いている世界の成長率は2020年には持ち直す見通しだが、米中貿易摩擦やハイテク・安全保障の覇権争いが激化・長期化すれば、下振れすることが避けられない。
(4)世界的に製造業は調整局面に入っており、世界貿易量は縮小傾向にある。また、政策の不確実性の上昇が企業活動を抑圧している。
(5)日本の設備投資は、依然として堅調を維持しているが、ここにきて変調の兆しも見られる。2019年度の設備投資計画は現時点では高水準だが、今後下方修正される可能性が高い。一方、世界経済減速や不確実性の増大にもかかわらず、中期的に成長市場開拓に取り組む企業が増えている点は注目される。
(6)主要国の金融政策は2019年央以降、緩和競争の局面に入っている。米国のみならず世界各国で債務への依存度が高まっている局面で、金融緩和競争に突入したことは、世界景気の延命には寄与する。しかし、債務バブルを一段と膨張させ、将来、何かをきっかけに世界不況が訪れた際の調整を深刻なものにするという副作用もある。
(7)日本経済の下振れリスクとしては、①米中対立の一段の激化、②中国経済が大規模な財政・金融政策発動にもかかわらず減速に歯止めがかからないケース、などが想定され、これら海外動向を引き続き注視する必要がある。

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■世界情勢

「米中貿易戦争」の激化から1年 ―米中関税競争の影響が顕在化。未だ落とし所の見えない米中貿易戦争の行方―

ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

Point
(1)トランプ大統領による関税を多用する強硬な対中通商政策と、中国からの対抗措置による米中関税競争から1年が経過。
(2)米中関税競争に伴い、貿易額の減少、家計負担の増加、企業景況感の悪化・設備投資の抑制など、米経済への影響が顕在化。
(3)今後の米中貿易戦争の焦点は、関税競争から中国を念頭においた投資や輸出規制強化などの安全保障分野に絡む議論へ。
(4)最終的に米中貿易戦争が通商交渉合意で終息するのか、米中デカップリング(切り離し)まで目指すのか予断を許さない状況。

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■視点・論点

データで見る「危機管理広報」活動のトレンド ―リスクの予見による、攻めの「危機管理広報」の重要性―

電通パブリックリレーションズ リスクマネジメント部 プロジェクト・マネージャー 兼 企業広報戦略研究所 上席研究員 坂本 陽亮

017年の改正個人情報保護法の施行、2018年のコーポレートガバナンス・コード改訂、日本版司法取引制度等、近年、企業のガバナンスを取り巻く環境の大きな変化が相次いだ。

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■マネジメント

戦略論の内容と市場支配過程の選択

エミネンス合同会社 代表 今枝 昌宏

Point
(1)市場の選択と自社の仕組みの選択(ビジネスモデル)とともに、第三の戦略要素として望ましい状態への過程の選択を挙げることができ、これを本稿ではストーリーと呼ぶ。
(2)素材産業では市場シェアが収益性に直結するため、市場支配に至るストーリーの設計がとりわけ重要である。
(3)ビジネスモデルの中でもプラットフォームは、初期的な顧客の集積を作りだすストーリーの考案が必須である。
(4)ストーリーの立案能力は、将棋において棋譜を勉強するように、多くのビジネス事例を知ることによって習得することができる。

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自ら積極的にキャリアを創造する時代のパーソナルブランディングと人前力

有限会社プラントライブ パーソナルブランドコンサルタント/ブランド戦略プロデューサー/研修講師 山本 秀行

Point
(1)終身雇用が見直されるとき、すべてのビジネスパーソンは自らキャリアを創造するためのパーソナルブランディングに取り組む必要がある。
(2)企業や製品のブランドと同様に、パーソナルブランドも他者評価によって構築される。人前で話すことは、他者評価を獲得する絶好の機会である。
(3)人前力とは「人前で自分の考えやメッセージをちゃんと伝える力」であり、パーソナルブランドの構築・向上において、とても重要である。
(4)「コンテンツ/内容・情報」と「キャラクター/個性・自分ならではの魅力」の両方を同時に伝えることは、パーソナルブランドの構築につながる。

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■ヒューマン・ディベロップメント

障がい者スポーツ女性アスリート、“挑戦し続けることが私の生きがい”

車いすラグビー日本代表 株式会社商船三井 人事部ダイバーシティ・健康経営推進チーム所属 BLITZ(車いすラグビーチーム)選手 倉橋 香衣 氏 聞き手 ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部長 宮原 淳二

Point
(1)車いすラグビーとの出会いは、リハビリの過程で偶然面白いと感じたため。数あるスポーツの中で、一番自分にフィットしていた。
(2)現在の目標は2020年の東京パラリンピックで金メダルを目指すこと。そのためにも自分の役割をきちんと演じられるよう、日々努力を積み重ねたい。
(3)障がいを抱える方の就労環境は整ってきたものの、効率的に働くために周囲との良好なコミュニケーションは不可欠な要素。お互いが感じる『普通のこと』には差があるため、そこを理解し合える関係性が重要である。

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経団連指針なき世界の就職活動

人材開発部長 小西 明子

Point
(1)(一財)日本経済団体連合会(以下、経団連)が、2021年春入社新卒採用以降の「採用選考に関する指針」の策定は行わないことを発表した。
(2)これをもって採用に関するスケジュールやルールがなくなるというわけではなく、新卒採用の相対的な位置づけの変化などが、経団連の関与の必然性を弱めた結果といえる。
(3)新しい枠組みの中で、現行スケジュールやルールの妥当性についての冷静な議論が期待される。

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■ちょっと教えて!現代のキーワード

「CFIUSの審査制度改正」 「ふるさと納税」

産業経済調査部門

■お薦め名著

『日本でいちばん女性がいきいきする会社』

坂本 光司、藤井 正隆、坂本 洋介 著

■ズーム・アイ

激変する時代を生きるリーダーに必要なもの

人材開発部 手計 仁志

リーダー層向け研修や組織開発支援をしていて最近特に感じるのが、迷いや悩みを抱えるリーダーが急増していることです。「日々仕事に追われ、何のために忙殺されているかをふり返る余裕すらない」という声も聞いた上であえて申し上げますが、生きる目的が分からないままでは、これからも何かに振り回される時間を過ごし続けることになります。