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2015年11月2日
夫婦のすれ違いは思い込みから?
上席シニアコンサルタント
塚越 学

「私が家事で忙しいとき子どもが泣いていても夫はスマホに夢中」「山のような洗濯物や食器があっても夫はソファでゴロン」「子どもが夜中にぐずっていても夫は爆睡」  さまざまな育児中の会社員や地域住民に対して育児と家庭の両立をテーマにセミナー講師もしていますので、仕事柄多くの乳幼児の父親や母親と話す機会があります。働く母親が増え、育児に積極的な父親「イクメン」という言葉は定着しましたが、まだまだ乳幼児の育児の大半は母親が行っていると実感します。  ちょっと母親たちと話せば夫のカチンとくる言動は山ほど出てきます。冒頭はその一部です。そして「子どもより自分優先の夫」「子どもの面倒は母親が見て当たり前という意識」と母親たちは続け、しまいには「夫はいないものと思って諦めている」「今は、いっぱいいっぱいだから子どもは一人で十分」なんて声まで。  一方、父親たちはどうでしょう。セミナーの中で「妻の機嫌を損ねた自分の言動は?」なんてテーマで思いつくだけ書いてもらっても、二つ三つも書いたら手が止まります。「いつも機嫌が悪いけど、自分の何がいけないのか分からない」「思いつかない」「忘れた」など無邪気です。  さて、数多くある要因の中、ここでは「思い込み」について考えます。  結婚も出産・育児も個々人の価値観が尊重され、夫婦の在り方も自由なのは当然です。しかし多くの日本の夫婦をみてきた私の肌感覚では、かなりの夫婦が特定の「思い込み」で縛られていると感じます。家庭のことでは消極的な傾向にある父親たちがつるし上げにされやすいのですが、当の母親たちの思い込みもなかなかのものです。  例えばセミナー中、何十人何百人といる母親社員たちに毎回こんな質問をしますが、手を上げられる人はほとんどいません。  「子どもができたとき、夫に『育休はどっちが取る?』と聞いた人?」「保育園の第1連絡先を夫にしている人?またはその話し合いをした人?」  産前産後休暇は女性だけですが、育休は男女共に取れます。しかし女性自身も育休は女性、と思い込んでいました。保育園で子どもが発病したとき最初に呼び出されるのが第1 連絡先です。考えもせず母親たちは自分の名前を書いていました。私が指摘すると、すぐに夫に変更する人もたくさんいます。急に保育園から電話が増えて驚く父親たちも。実際に迎えにいけるかどうかは別にして連絡が頻繁に来るものだと知るだけでも効果は絶大です。さらに最初に挙げた夫の三つの言動もカチンと来るが「指摘してもムダ」と思い込み、黙って母親自身が育児家事をしているというのです。  自分が育ってきた環境が思い込みに影響しますが日本の家族の多くが画一的モデルだったからか夫婦の思い込みが双方できれいに成立している気がします。幸せへ導く思い込みならいいですが、そうでないなら早めに打破したいものです。  働き続けるためにイクメンの夫を見つけたい女子学生にはこんな話を伝えています。  「同居の初日には彼にこう聞きましょう。『ごはんはどっちが作る? 一緒につくる?』」  お互いの思い込みを打破し、新しい2 人の関係はこんな小さな質問から始まるのかもしれません。