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2012年4月18日
空洞化で「大失業時代」は到来するのか
輸出振興で100万人を超える雇用創出を
シニアエコノミスト
福田 佳之

・日本は「六重苦」と呼ばれる企業立地上のデメリットを抱え、雇用面でも空洞化が発生する恐れがある。経済産業省は最悪の場合、今後10年間で476万人の雇用が失われ、同期間の失業率が平均で6.1%まで上昇するとした。「大失業時代」の到来である ・ちなみに1990年代後半から2000年代にかけて失業率が上昇し、就業者が減少したが、それでも失業率は2000年代平均で4.7%、就業者の減少幅はピーク時より300万人程度に過ぎない。「大失業時代」到来が及ぼす日本の労働市場へのインパクトは過去とは比べものにならない。 ・「大失業時代」の到来を回避するためには、労働市場の構造調整だけでは不十分であり、なりふりかまわず雇用創出にまい進すべきである。 ・ただ医療や介護などの内需型産業の成長には時間が必要であり、この10年間の雇用創出の主体としては期待できない。 ・輸出型産業こそ海外の需要増を取り込んで雇用を速やかに創出できる産業である。仮にこの10年間で取り込めるはずの海外需要を輸出で取り込んでいたなら、生まれた雇用は200万人近くまで達したと見る。 ・具体的な輸出振興策とは、税制・規制改革によるコスト引き下げと経済連携協定の締結による輸出に有利な環境の醸成、そしてオンリーワン輸出型産業の創成が挙げられる。また、既存の輸出型産業にも「やせ我慢」経営からの脱却と付加価値重視の経営へのシフトを求めたい。 ・輸出振興策が奏功した場合、今後5年で106万人を超える雇用が創出されるという試算が出た。輸出振興について国民からの支持が望まれる。

【キーワード】

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PDF : TBR産業経済の論点 No.12-03(402KB)