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2009年9月1日
「徳」が日本のものづくりを明るくする

 100年に一度の大不況に突入して早くも1年近く経ちましたが、日本は何となく明るくなったような、良い方向に進んでいるような気がしています。株や投信が大幅に値下がりしていても、家ではビールが第三のビールに変わってしまっても、何か吹っ切れたようなところが出てきたと感じています。小生の気のせいでしょうか。   季節的に、昨年度の成果報告会や新しい調査研究会の発足会合等で報告したり、意見を述べる機会が間々あります。その折には明るい日本のものづくりについてお話ししています。我が国では明るい景気見通しを述べると「楽観的でいいですね」などと言われ、思慮が足りないとばかりに突っ込まれたりするリスクが多分にあります。つい先日も日本のものづくり産業が明るくなる要素を10項目ほど挙げてお話ししましたら、「民主党のマニフェストみたいだ」と冷やかされました。   このコラムのスペースでは流石に10項目は多いので3項目に留めます。まず最初に、我が国は環境、少子高齢化など『課題先進国』として時代の先端を走ることができ、それらの課題を克服できる能力を持った数少ない国だと考えています。   次に、100年に一度と言われる世界金融不況で、産業の中心が「金融」あるいは「金融的なもの」からものづくり、コトづくりに移動し、更にものづくり産業では技術偏重のイノベーションから、顧客重視、ビジネスモデル重視に徐々に変わりつつあります。最後に、一番大きな要素と考えていますが、世界の消費の中心地がアメリカから中国・インドを中心としたアジアに移りつつあることなどを挙げて説明しています。   もちろん日本は端っことはいえアジアの国ですが、我が国のものづくり産業が明るくなるには、我が国及び企業がアジアの一員として改めて迎えられる必要があります。今、アジア諸国の若者は日本に憧れていると言われています。アニメやファッションが「ジャパンクール」と評価され、刺身や鮨などが「ジャパンヘルシー」と日本文化が受けているなど、日本のものづくり産業にとってフォローの風が吹いており、この機を捉えて我が国ものづくり産業はアジアのリーダーになるべきだと考えています。 ただし、アジアで真のリーダーたるには、アジアの国々から「尊敬される国」「尊敬される企業」にならなければならないと考えています。「尊敬される国」「尊敬される企業」、アジアで尊敬されるリーダーになるには、「徳」を積むことが不可欠だと考えています。 孔子も言っています。「政まつりごとを為すに徳を以ってすれば、譬えば北辰(北極星)の其の所に居て衆星の之に共むかうが如し」と。 実際に「尊敬される国」「尊敬される企業」になるのは、難しいことでしょうが、過去の歴史を踏まえれば、我が国が目指す発展の方向はこれしかないなどと考えます。