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2008年10月1日
海外出張で欠かせぬ“紙の束”
主席研究員(市場調査担当)
岩谷 俊之

 唐突ですが、今年の私の仕事は出張に支配されています。シンクタンクで働いていれば企業ヒアリングなどのための出張はさほど珍しくありませんが、最近の私に関して言えば、7月に関西出張2回、8月に九州出張3回。そしてこの「ズーム・アイ」の原稿を書いたら、秋には最大の難関、海外出張3連発…さすがに多すぎます。かくのごとく出張に支配された私ですから、今回も出張について書くしかありません。  海外出張では「絶対になくせない重要な所持品」というのがいくつかあります。パスポートや帰りの航空券などが代表的ですが、私にはもう一つ重要な必携グッズがありまして、それが「紙の束」なのです。  紙の束とは何か? 実はこれ、現地移動に失敗しないように事前に用意した地図や路線図など移動関連資料の束なのです。いまはWeb全盛のご時世ですから、ネットで探せば海外の空港の案内図はもちろん、主要駅の構内図や発着時刻表、ホテル周辺の地図に至るまで様々な資料が入手できますから、それらをプリントアウトして出張に持参するわけです。ただその枚数が半端ではなくて…。  まず最初に降り立つ現地空港案内図は必須ですよね。更に空港から市街地までバスに乗るならその時刻表や空港バス乗り場の案内図も欲しい。鉄道利用なら路線図などを入手し、ホテル最寄駅までのルートも確認しておかねばなりません。そうなるとバスや鉄道の切符の買い方も調べておかないと異国の切符販売機の前でオロオロすることになりますし(これは調べておいてもオロオロすることが多かったですが)、切符の種類や料金の確認も重要。1回乗車券と1日乗車券とどっちがトクだろう?…といった深遠な問題は飛行機の中でゆっくり考えるとして、とりあえず情報は全部プリントアウトしておきましょう。更に最寄駅からホテルまでの地図、ホテル予約確認票もプリントアウトして…。  こんな調子で移動用資料の枚数はどんどん増えていきます。更に現地での移動やヒアリングのたびに相手先住所、地図、そこに行くための鉄道時刻表等々をまたまたプリントアウト…たかだか一週間程度の海外出張でも移動関連情報のペーパーは相当の枚数に達し、最終的にはけっこう厚い紙の束を形成します。この束、出張全ルートの移動手段を整理したものですから、なくしたら破滅です。海外出張中はパスポートと現金の次に大事な束といえるかもしれません。  ただ、この「紙の束方式」には重要な長所がありまして、それは一冊にまとまったガイドブックなどと違って必要なくなった紙は容赦なく上から順に捨てられることです。出発前に厚い紙の束を見ると、何となく今度の出張のタイヘンさが凝縮しているように見えて気分も重くなりますが、日程の消化とともにその束が徐々に薄く軽くなっていけば、出張者の心もまた軽くなろうというものです。  更に大きな声では言えませんが、この「紙の束方式」の重要な効能についてお話しせねばなりません。海外で「金曜まで仕事して土曜の便で帰る」場合、帰国便の時間しだいでは土曜日に少しだけ現地観光の時間的余裕が生じることがあります。そこで、自分の行きたい観光スポットの地図やそこまでのルート情報などをこの紙の束の一番下に入れておくのです(日程順に重ねていけば必然的にそうなります)。  こうしておくと、出張日程を消化して上から順に紙が捨てられるにつれて最後のオタノシミ関連資料が徐々に上に“浮上”してくるわけで、これは出張者の精神に大きな影響を与えます。昨年の海外出張では最後の土曜をプラハで迎えた私。夕方の帰国便までの間にぜひ行っておきたかったプラハ王宮の案内図などを紙の束の最後にセットしておきましたが、おかげで「土曜にプラハ半日観光が待ってるんだから、それまでがんばろう」と思ったものでした。長く孤独な出張中には仕事がうまくいかずにガッカリすることもありますが、そんな時のモチベーション高揚のために大変有効な方法だと個人的には思います。  さて今年。出張に支配された今の私にとって当面の難関は9月のドイツ出張です。今回はフランクフルトやベルリンなどの大都市から、聞いたこともない田舎町に至るまで毎日のようにあちこち移動するため、準備した移動関連資料の紙の束も既に相当の量に達しています。ちなみに最後の滞在地はハンブルグという街で、帰国便は土曜の夕方発ですが…今回持っていく「紙の束」の最後にどんな資料がセットされているかはヒミツです。