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2013年4月1日
米国製造業の国内回帰

米中賃金格差の縮小や原燃料費の低下が追い風に

 米国の製造業企業が海外に有する生産拠点を国内に戻すことを指します。実際、GE、フ ォード、キャタピラーなどが中国の工場の一部を閉鎖し、米国内に戻しています。ダウ・ ケミカルも米国内にエチレンセンターを建設する計画を発表しています。  米国の製造業が国内回帰する背景には、まず、米中両国の賃金格差の縮小があります。 この数年間で中国の賃金は急上昇する一方で米国の賃金の上昇は抑えられています。ボス トン・コンサルティング・グループによると、中国の賃金上昇ペースがこのまま続けば 2015 年には中国沿海部の労働コストは米国南部に追いつくとしています。  さらに、米国内でシェールガスの生産が本格化し、天然ガス価格が低位安定して原燃料 コストが低く抑えられることも大きいでしょう(図表)。このほか、中国からの輸送費が原 油高を受けて上昇したため、消費地に近い国内生産のメリットが見直されたこともありま す。オバマ政権の製造業に対する国内立地支援策の存在も見逃せません。  ただ、これまでの製造業の海外シフトで優秀な技能者が不足し、裾野産業が弱体化して います。米国の製造業がこのような課題を解決して本格的に国内に回帰するかどうか注目 されます。

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