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2014年10月1日
繊維トレンド9・10月号 2014 No.108

■ファイバー/テキスタイル

創立70周年繊維学会の果たすべき役割と今後の展望

一般社団法人 繊維学会 会長 東京工業大学大学院 有機・高分子物質専攻 教授 鞠谷 雄士

 一般社団法人繊維学会は、昨年(2013年)12月10日に創立70周年を迎えました。現在、「究極のファイバー技術-豊かで持続的な人類の未来を紡ぐ-」をテーマとして、2014年9月末を中心に創立70周年のさまざまな記念事業を行うべく準備を進めております。本稿では、記念事業の概要を紹介するとともに、繊維学会がこれまでたどって来た道を振り返りつつ、今後の展望について述べてみたいと思います。

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米国のテクニカル・テキスタイルの開発動向

東レ株式会社 繊維加工技術部 塩谷 隆

【要点(Point)】
(1)米国のテクニカル・テキスタイル市場は世界最大であり、今後もますます発展するポテンシャルがうかがえる。米国市場を特徴づける「不織布」「バイオ素材」「メディカル用途」「防護用途」に焦点を絞り、最近の開発動向とトピックスを紹介する。
(2)世界的に近年の伸びが顕著である不織布の中で、特に米国はバイオ化のリーダー的存在である。今後の伸びが期待されるバイオポリマーは、まずPETであり、次いでPE、PPなどのオレフィン系である。
(3)医療クラスターなど立地にも恵まれ、米国ではメディカル用途の開発も世界の先頭を走っている。その重点は、従来の病院医療資材から、人工臓器・再生医療等に関わる医療材、モニタリング・遠隔医療が可能なウェアラブルセンサー等の展開に移りつつある。
(4)防護用途は、以前から軍需と官需に支えられた膨大な需要があるが、最近では、快適性や軽量性をより重視するとともに、民需展開が活発になっている。
(5)他産業の発展にも影響を与えるテクニカル・テキスタイルの研究・技術開発については、米国でも他の先進国と同様、多種多様な連携によって中長期的な視点で進めることがますます重要になるであろう。

2015年春夏のメンズウエア展示会とそのリーダーの横顔 - Pitti Immagine Uomo:Firenze -

株式会社インテグレード 代表取締役社長 欧州繊維専門月刊誌『Twist』在日特派員 永松 道晴

【要点(Point)】
(1)イタリアのファッションはフィレンツェから全世界にいち早く発信されている。そのための素材と生地の生産背景が伝統的にしっかりと根付いているからだ。今回イタリアファッション60 年の祝賀を兼ねてフィレンツェで開催されたPitti Immagine Uomo2015には、イタリア首相も現地入りし、繊維産業がイタリア経済の要であることを内外にアピールした。
(2)2015年春夏向けメンズウエアのトレンドは、綿や麻の天然素材を中心にカジュアルにもフォーマルにもクラシックを軸とした風合いが主流となっていて、過去と未来を華麗に結び付けたような催しだと評判だ。
(3)柄デザインは総じて控えめなマイクロパターンで、スラブなどを利用して3D表面効果を狙っている。
(4)色はチョーキーなくすんだパステル色が基調で、明るい青が白、緑、サーモンピンク、イエローなどと巧みにミックスされて、ぐっとシックな方向に舵が切られている。
(5)メンズにも靴・帽子・ベルト・バッグ・スカーフなどアクセサリーの展示が充実して、今後のメンズ展示会の主要な一角を担うことになろう。
(6)ピッティイマジネ社を率いるCEOラファエロ・ナポレオーネの人柄と考え方、E-コマースへの戦略的なアプローチなどをTwist 誌による会見を通じて報告する。

■縫製/アパレル

市場を見ながら、企画を立案するファッションマーケティングの実践

事業開発研究所株式会社 代表取締役 島田 浩司

【要点(Point)】
(1)今の中国は、時代に合わせた戦い方がますます重要、市場を見なければメーカーも勝ち目はない
(2)ユニクロが勝ち続けられる理由 目に見えるビジュアルと見て分からない仕組みの関係
(3)市場調査とアウトプット 事業改革への落とし込みは?
(4)ブランドサイトの作り方で、顧客イメージが変わる中国市場とEコマース

中国の小売業における日系百貨店とGMS

株式会社フランドル 上海事務所 所長 篠原 航平

【要点(Point)】
(1)現在中国には日系の百貨店とGMS が約60 店舗ある。
(2)中国の小売業は、国の経済成長同様堅調である。その中の百貨店、GMSのカテゴリーも比較的調子が良い。
(3)現在百貨店、GMSの売上額の高い地区は華東地区を中心とした沿岸部。しかし今後は内陸部にシフトしていく可能性がある。
(4)外資系企業は中国の小売市場では苦戦を強いられているが、GMSは健闘を見せる。
(5)日系の百貨店、GMS は1990 年代から本格的に中国市場に参入。以降GMSを中心に出店が続くが、その規模(シェア)は中国市場ではまだ小さい。

■小売/消費市場

米国ギフト産業の現状

英字ファッション情報誌「NY Street Fashion: Multicultural Fashion & Lifestyle Magazine」シニアエディター マヤ・カワムラ

【要点(Point)】
(1)販売された商品が本人用か他者向けの贈り物用かを正確に特定することは不可能であるため、実態の把握が難しいとされるギフト産業市場であるが、シェア30%を占める観光客の支出、一般消費、年末商戦期間の売上げ、ギフトカードの売上げ等から実態を推察する。
(2)ギフト産業の代表的小売企業は、ディズニーストア、ホールマークカード、スペンサーズギフト。今後の一層の成長が産業の拡張につながる。
(3)ギフト売上げ促進には欠かすことができないキャラクター。「ハローキティー」「ドラえもん」といった猫の活躍も目立つが、今後は熊の評判が上々。安定した人気を誇る「くまのプーさん」。熊本出身の「くまモン」の動きも注目される。大量生産ギフト以外にトレンドを受けて特注サービスを承るサービスもある。

ライフスタイルショップのブームを斬る

東京ファッションプランニング株式会社 社長 山田 桂子

【要点(Point)】
(1)近年、かつてないほどのライフスタイルショップ・ブームとなっている。きっかけは、2009年にオープンしたロンハーマン。上陸5 年目で11店舗展開となり、成功を収めている。
(2)ライフスタイルショップの開発視点として注目すべきは、①ポートランド発、②西海岸、③食の重視、④ママガール。
(3)ライフスタイルショップを分類すると、6つのタイプとなる。①エクスクルーシブ型、②スローライフ型、③西海岸&サーフ、④切り口は「食」、⑤ファッショナブル型、⑥ファミリー型
(4)ライフスタイルショップの定義は、衣食住を横断する複数の分野や業種を一つの売り場で展開する複合型ショップ。だが、新視点でのアプローチも可能性がありそうだ。

■知りたかった繊維ビジネスのキーポイント

2020年の繊維消費見通し

日本化学繊維協会 理事 杉原 克

 THE FIBER YEAR CONSULTING が2020 年の繊維消費見通しを発表した。同社はスイスのコンサルタント会社で、毎年、世界の繊維生産の統計をまとめている。この生産統計は、以前はオランダの化合繊メーカーAKZOがまとめていた伝統のある統計で、THE FIBER YEAR CONSULTING が継承した。  さて、繊維消費だが、図表1 にある通り、世界全体では2012 年の9,360万トンが2020 年には1 億1,530万トンに拡大する見通しである。年率にして2.6%の増加で、世界的にみれば繊維産業が成長産業といわれる所以である。

■統計・資料

主要合繊別・国別・メーカー別設備能力(現状及び増設計画) 合繊原料編

・カプロラクタム・テレフタル酸・DMT・エチレングリコール・アクリロニトリル

主要合繊編

・ナイロンフィラメント・ポリエステルフィラメント・ポリエステルステープル・アクリルステープル・レーヨンステープル・スパンデックス・スーパー繊維