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2013年11月1日
人生はプロジェクトマネジメント

 人生には、3つの坂「上り坂」「下り坂」「まさかの坂」があると言われます。今夏、4歳の長女が長期入院し、想定外のことが起こる「まさかの坂」を経験しました。昨日まで元気に保育園に通っていた娘が、外来診察に行ったところ、緊急入院となってしまったのです。その大学病院の小児科は、親が24時間泊まり込みで付き添いをして、投薬や各種計測をしなければなりません。母親の私が付き添うことになったのですが、10カ月になる長男もいるので大変な生活が始まりました。  娘は食事制限があり、保育園のお友達と遊べない、自宅に帰れない、さらに小児科病棟から外出もできないという厳しい環境の中で、自分の置かれた状況を理解できないようでした。私も急遽(きゅうきょ)仕事を休み、24時間一緒に過ごす中で戸惑いもありました。しかし、母親がめげていては本人もこの苦境を乗り越えられないだろうと思いました。私も現実を受け入れて、一緒に治療に専念することに決めました。それからは、私が人材開発部にいた時にMOT(技術経営)研修で学んだ、プロジェクトマネジメントの手法を使って、退院・仕事復帰というゴールまで走り続けてきました。   PMBOK「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド」によれば、プロジェクトとは「明確な始まりと終わりがあり、目標の達成か、達成不可能の判断で終了する」と定義されています。入院してからの目標は、医師の指示通りに過ごし、早期に退院すること。カレンダーに退院予定日を書き入れて、1日が終わると娘に×を付けさせました。退院して元気になったらディズニーランドに連れて行くという約束もしました。娘には「今は病気だからおうちに帰れないけど、お薬を飲んでお野菜を食べて、元気になったらおうちに帰れるよ」と4歳にも理解できる表現で説明しました。病院での1日は、3回の食事を楽しみにしながら、自由時間はお店屋さんごっこ、パ ズル、ぬり絵など、私も4歳児になりきって相手をしました。また、病棟内で同世代のお友達と一緒に遊ばせて入院生活が楽しくなるようにしました。  一方、自宅にいる長男も遠隔地にいながら世話をしなければなりません。昼間は保育園に行くものの、夕方は数名のファミリーサポートの方に保育園の迎えから、夫が迎えに来るまでその方の家での預かりを電話やメールで依頼しました。私が自宅に戻れた時は、ファミリーサポート用の着替えや食べ物を用意して、保育園に置いておきました。  しかし、長男にもプロジェクトマネジメント上、コントロールできない「不可避リスク」が発生します。RSウイルスという、抗生物質が効かない細気管支炎に保育園で感染し、3日間高熱が続いて中耳炎も併発。 私が長男を病院に連れていく間は、別の家族に長女のそばにいてもらって…。どのようにこの難局を乗り切っていたのか、今では記憶が定かではありません。  この経験から、マネジメントでも参考になると思うのは、仕事上のプロジェクトでも明確な目標・ゴールを示し、それまでの工程を共有しながら部下と並走することで、高い成果を出せるのではないかと感じる点です。チームの中で、今担当している業務(作業)がただのパーツ(部品)ではなく、どのような重要な位置づけを担っているかをゴールまで見通しを持って声をかけること。予定通り目標を達成した時にはほめ、喜びも共有する。それが部下育成やモチベーションの向上につながると思います。  私も、予定通り職場に復帰できたことを感謝しつつ、娘をディズニーランドに連れて行き、退院の喜びを共有したいと思います。