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2006年11月1日
経営センサー11月号 2006 No.87

■経済・産業

日本のエネルギー戦略と危機管理(監視)システムのあり方

藤田 健二郎 常務取締役 調査研究部門長

【要点(Point)】
(1)日本のエネルギー資源の安定確保については、中東、ロシア、欧州、米国、更には中国等の利権争いの影響で、これまで大きく依存してきた既存ルートからの供給が途絶える危険性をはらむ。
(2)日本は、1970年代の「第1次石油ショック」当時、中東原油輸入依存度が77.5%であったものが、近年90%近くまで急上昇している。
(3)日本の中東外交が見え難いなか、改めて独自の国家としての基本方針を打ち出す極めて大事な時期到来と考える。
(4)一方、アラブ諸国はアラブ領土を占領するイスラエルに対し経済活動を通じ、イスラエルの経済力・軍事力強化に協力する国・企業に対し「アラブボイコット(経済制裁)」を行う規定(リスト)を歴史的に温存している。
(5)中東原油依存度の高い日本にとっては、この事実を常に意識し、「アラブ/イスラエル問題」の激震が世界を駆け巡る前に、グローバル企業各社が、経営視点において成すべき最低限の規律があるように思えてならない。

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シリーズ:製造業の現場は今(9) 企業の境界を越えてイノベーションを起こせ -産学官連携で次世代の小型風力発電機を開発したベンチャーの事例に学ぶ-

増田 貴司 産業経済調査部長 チーフエコノミスト

【要点(Point)】
(1)最近、企業が他の企業や大学と連携して共同開発に取り組む動きが活発化している。本稿では、第1節で企業が外部との共同開発を行う背景や意義について理論的な整理を行った後、第2節では開発ベンチャー(ゼファー株式会社)が産学官連携で超軽量次世代小型風力発電機の開発に成功した事例を取り上げ、紹介する。 そして第3節では、同事例の分析を通じて、企業連携、産学連携による共同開発を成功させるためのポイントについて考察してみたい。
(2)技術の高度化や開発競争の激化に伴い、新技術・新製品の開発に必要となる経営資源が多岐にわたるようになり、これらすべてを一企業で保有することは難しくなった。こうした中、企業にとって、連携を強化し外部の知識や技術などの資源を取り込みつつ、イノベーションをより早く実現することが課題となっている。
(3)本稿で取り上げるゼファーのケースは、ベンチャー企業が各界各分野で強みをもつパートナーを集めて共同開発体制を築き上げ成果を上げた成功事例である。
(4)本ケースは「産学官連携による経営資源の相互補完」「連携ネットワークによる水平分業型の共創」がなされた事例に違いない。だが、言葉で表現するのはたやすいが、このような連携を実現して結果を出すのは容易なことではない。
(5)企業連携成功のためには、オーケストラの名指揮者のような役割を果たす有能なプロジェクトリーダーの存在が必要不可欠であることを、本ケースは教えてくれる。

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「写ルンです」に見るコンセプトエンジニアリング

帝京科学大学 メディア情報システム学科 教授 谷口 文朗

【要点(Point)】
(1)未だこの世に姿・形を現していない製品とサービスは「コンセプトエンジニアリング」、すなわち、①コンセプトの着想、②プロトタイプの作成、③量産スペックの確立というプロセスから生まれる。
(2)このプロセスを富士写真フイルム(株)が生み出した『写ルンです』によって例証する。
(3)企業が「コンセプト(卵子)×テクノロジー(精子)=新製品(生命)」という掛け合わせのマネジメントを体質化・ルーティーン化させる中から21世紀を生きる無資源国日本の国の形が生み出される。
(4)これによって無資源という日本のデメリットは「変化に容易に適応できるというメリット」に転換される。「Made in □□□」から「Conceived & Developed in □□□」が問われる時代に入っている。

■視点・論点

人口構造と経済、一つの視点

有限会社ワイ・エス・マネジメント 代表 岩佐 豊

予測することが大変な時代だと言われている。明日はどうなるのか、誰にとっても重要な問題なのだが、バブルが崩壊してからは、多くの人が、予測することよりも現状の対応に追われてしまい、いつのまにかそのことに慣れきってしまったようにも見える。「どうせ当たらない」のだからと自分に言い聞かせるのが常となっている。果たしてそうだろうか。

■マネジメント

グローバル企業・トップインタビュー 変化する日本市場-成功する外資系企業のトップから学ぶ

第六回住友スリーエム(株) 住友スリーエム株式会社 代表取締役副社長 金子 剛一 氏

-御社は「最も革新的な企業」を標榜されていますが、その意味するところをご説明ください。 金子:新発足の安倍内閣にイノベーション担当大臣ができたというので、ちょっとびっくりしました。私どもは60を超える国・地域でビジネスをやっておりますが、すべての国の3Mが全部同じビジョンを掲げております。「モスト・イノベーティブ・エンタプライズ」というものです。その意味するところは、まさにわれわれの商売そのものです。3Mは5万種類に及ぶ製品群を持っております。台所用品から宇宙ロケットに使われる製品まで、幅広いお客さまに、幅広い製品を提示させていただいていますが、イノベーティブなアイデアに基づくイノベーティブな商品でなければ、お客様に優先的に選択していただけないと思っています。

中国における移転価格税制

望月コンサルティング(上海)有限公司 公認会計士 望月 一央

【要点(Point)】
(1)移転価格税制の制度化の背景には国家課税権の競合及びその国際的調整における問題点がある。
(2)中国においても国際的取引の増加により移転価格税制が急速に制度化されつつある。
(3)中国における移転価格税制の実務的取り扱い内容の解説。

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■人材

「恐怖心」から「楽しさ」を原動力とする働き方へ -21世紀の「働きがい」についての一考察-

有限会社光海カンパニー 代表取締役 山本 潤一

【要点(Point)】
(1)今までは「恐怖心」を仕事の原動力としてきたが、21世紀は「楽しさ」を原動力とする働き方に変えることが働きがいを生む。
(2)「恐怖心」の根底にあるものは、“他者に愛されたい、認められたい"という欲求である。従来、私たち日本人はこのことを過剰に意識するあまり、他者の顔色をうかがいながら行動する、という「自己抑制型行動特性(イイコ特性)」が強く、この特性が楽しむことを妨げる
(3)“他者から愛されたい、認められたい"という欲求充足に執着すると、自らの自由な発想力、自立力、自己表現力、自己責任力は育たず、独自の創造力、アイデアが必要とされる多品種少量生産が主流の21世紀型顧客満足に対応できない。
(4)「他者の評価はどうあれ自分を認める、愛する」能力、また「無条件に他者を認める、愛する」能力が高まるにつれ、自分の自由なひらめきや創造力は発揮され、「楽しさ」は生み出される。そのためには、2つの能力育成を図るソーシャルスキルトレーニングが重要になる。

気付きから学びへ -東レ経営研究所 人材開発の現場から- 第三回 「あいづちを打たない」から「質問をしない」症候群へ

沖田 浩 特別研究員

「東レ研修センター」が創立10周年を迎えた。創立当初から財務・会計関係研修の講師を承っているものとしては感慨深いものがある。短かったようでもあり、長かったようでもある10年間だった。 履修者は東レグループの20代後半から30代前半の若手がほとんどで、当初、経験不足の私は心細い思いで研修会に臨んだが、それは杞憂であった。熱心な研修態度、敏感な反応(的を射た回答、あいづち、笑いなど)、講義中・休憩時間の質問・提言、研修後の理解度テストの高得点などに助けられて、なんとか講師稼業をスタートさせることができたといえる。 しかし、この10年間には、変わった、あるいは変わりつつあると感じる点がいくつかある。

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■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード ・「成熟した債権国」 ・「ウェブ2.0」

■お薦め名著

『「見た目」依存の時代』 -外見と立ち居振る舞い・言葉遣いとのギャップ-

石井政之/石田かおり 著

■ズーム・アイ

参禅のすすめ

市場調査部 森本 有紀

『お一人様企画』と称し、少し前から「一人で楽しめるもの」を探し求めている。挙げればきりがない企画の数々と自らの飽き性に辟易しつつ、今も「一人でできて続けられるもの」を探している。 その中で、今もって続いているものは、「カフェ飲み」。読んで字のごとく、夜カフェに行き、ビールを飲みながら本を読む(大人でよかったと思う至福の時)ことのみ。それは別にして、一人で楽しめて、かつ自分を見つめられるものとして、企画の一部の「坐禅」を紹介したい。

■今月のピックアップちゃーと

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