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2004年11月19日
「中国経済の軟着陸は可能か ~ 過熱抑制策の有効性とリスク要因 ~」
チーフエコノミスト
増田 貴司

・中国経済の過熱ぶりが論議を呼んでいるが、経済全体が過熱しているわけではない。現状、警戒すべきは過剰な生産・過剰な投資が行われていることである。 ・中国の高成長を主導しているのは、活発な投資活動である。足元の中国経済は、投資の伸びに極端に依存した成長パターンになっており、持続可能なレベルを超えた状況にあると考えられる。 ・中国政府は、2004年入り後、過熱抑制策に本腰を入れて取り組んでいる。2004年10月には貸出金利引き上げも実施されたが、現在採られている過熱抑制策の中心的な手法は、特定業種に的を絞って選別的に投資・貸出の抑制を行う行政指導である。 ・政府の過熱抑制策等を受けて、中国経済は2005年には持続可能な成長軌道(8%前後の成長)へと軟着陸していく公算が大きい。 ・中国経済には地方を過熱投資へと駆り立てる構造的要因(投資のオーバーシュート体質)があるため、行政指導によって投資を抑え続けることは容易ではない。 ・2010年までの中国経済を展望すれば、(1)投資バブルの膨張・崩壊懸念、(2)資産バブル崩壊の可能性、(3)所得格差拡大・失業増を背景とした社会の不安定化、といった成長のリスク要因がある。 ・中国経済が緩やかな減速にとどまれば、日本経済への影響は軽微である。中国が安定的な成長軌道に軟着陸することが世界経済、日本経済にとって最善のシナリオである。 ・企業としては、中国の活力を取り込み、その成長から最大限に利益をとることに注力すると同時に、鋭い政治的感受性を持って的確に情報を収集・分析し、中国経済のリスクに対する中長期的な対応策を講じることが望まれる。

PDF : TBR産業経済の論点 No.04-20(47KB)