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2012年10月1日
経営センサー10月号 2012 No.146

■特別レポート

再生医療の夢と現実 ―医療機器との共通点から日本における産業化の課題を探る―

産業技術調査部 リサーチャー 増田 真

【要点(Point)】
(1)わが国は、再生医療の研究レベルでは世界のトップを競っているものの、再生医療製品の実用化では、欧米や韓国に対して後れを取っている。
(2)再生医療製品の実用化の遅れを招いている要因として、現状の法規制のあり方が実情にそぐわないとの声が多く、見直しは不可欠である。
(3)再生医療製品の普及初期は、経済的価値よりも道義的・社会的価値に重きが置かれ、すぐには収益に結びつかないと考えられる。企業が再生医療製品の実用化に取り組むための強いインセンティブの設計も求められる。
(4)再生医療製品の実用化を支えるのはものづくり技術であり、再生医療が産業として成立するためには周辺産業の育成も不可欠である。産業化の裾野は中小企業にまで広がると考えられる一方、参入障壁も高く、産業政策による支援が必要になる。

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■経済・産業

中国の産業動向とビジネスチャンス ~エレクトロニクス産業を中心に

一般社団法人九州・アジアビジネス連携協議会 理事・事務局長 中村学園大学 流通科学部 特任教授 国吉 澄夫

【要点(Point)】
(1)中国電子産業はパソコンや液晶テレビの生産で世界一となったが、産業発展のアンバランスが故に、製品のブランド力や基幹部品の自給率等ではまだ幾つかの課題を抱えている。
(2)政府の「自主創新」政策はそうした「ジレンマ」を解決すべく、この数年中国で国策として展開されてきた産業政策であり、設計~部品製造~完成品~応用製品の全ての分野において、強い地場企業の育成・強化を目指している。
(3)日本企業の対中事業でも、こうした中国側の国策を理解の上で、戦略的連携を通してビジネスチャンスを見いだすべきものと思われる。

■業界展望

日本の機械関連企業の海外進出の現状と新展開(上)タイ編 ―大洪水後も日本企業の進出が続くタイでの新しいビジネスチャンス―

一般財団法人 機械振興協会 経済研究所・研究副主幹 近藤 信一

【要点(Point)】
(1)在タイ日系企業に大きな影響をもたらした大洪水後も、日本企業のタイ進出は続いている。その背景には、従来からのビジネス環境の良さ、中国リスク回避、に加えて、近年ではアジア域内需要の拡大、が挙げられる。
(2)タイは、HDD産業と自動車産業を中心とした日系企業の集積が既に形成されている。したがって、商取引では日系企業が相手先となるケースが多いため、海外進出で比較的スムーズにいくタイビジネスであるといえる。
(3)しかし、今後はタイ国内の内需(日系企業向け需要)のみではなく、高まる外需(アジア域内輸出や日本への逆輸入)に対応するための仕事量も増すと考えられる。一方で、洪水で被害を受けてモノづくり体制を再構築している進出日系企業との新規の取引機会も考えられる。
(4)タイでは、従来から自動車産業と電気電子産業ともに国内系列とは関係のない取引が展開されていることから、ビジネスチャンスは大いにあると考えられる。

■視点・論点

企業経営と文化の効用(第7回) ─近代科学と東洋思想─

谷川ヒューマン・テクノ研究所 代表 谷川 孝博

近代科学は人間と自然の分離を前提として出発している。観る人間と観られる自然。これは主観と客観の明確な分離によって、人間の前に対象として立てられた自然世界のしくみを明らかにしようという思想が近代科学の土台となっている。人間と自然を分離する思想は同時に人間と他の生物を分離する思想にもつながっている。自然の中で人間を特異な存在として分離する思想は、人間が自然の中で主人公として自然を改造し、支配するという考え方を生み出す素地の役割を果たしている。

■マネジメント

審査員から見たISO9001/ISO14001などの効果的な活用法(第2回) ―‘自社の、自社による、自社のためのマネジメントシステム’をステップアップする具体策―

特別研究員 山下 重二

【要点(Point)】
(1)マネジメントシステム規格は、近年多分野に急速に拡大し、新たに多くの規格が制定された。これらを活用して自社のマネジメントシステムをステップアップする環境は整った。その全体像を別表〈マネジメントシステム規格一覧表〉に示した。
(2)自社のマネジメントシステムをステップアップする具体策として、次の3項がある。
a.まず、‘4W1H’の内容を充実すること。(Whatは強制)
b.費用対効果を考えて、既取得規格の関連の規格を新たに取得すること。(顧客などから要求された場合は必須)
c.複数の規格を取得している場合は、単独でなく複合的、統合的に運用すること。
(3)特に、‘内部監査’、‘自己評価’など、チェック機能を充実することが有効である。

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■環境・エネルギー

燃料電池車は「究極のエコカー」になれるか?

東京大学 総長室アドバイザー 村沢 義久

【要点(Point)】
(1)日本の大手自動車メーカーは2015年に燃料電池車を「本格導入」する予定である
(2)燃料電池車は、純粋電気自動車と比較して航続距離が大きく、しかも、日本の技術力が活かせる分野であり、期待は大きい。
(3)しかし、コストの大幅削減、インフラ整備など、克服すべき課題も多く「究極のエコカー」になるためには、さらなるブレークスルーが必要である。

■アジア・新興国

グローバル化の中のアジアと企業 ―存在感を増すアジア市場で日本企業は何をすべきか?―

浦上アジア経営研究所 代表 浦上 清

【要点(Point)】
(1)世界経済の中でアジアの果たす役割が着実に増大しており、世界の企業はアジア事業への取り組みを強化している。
(2)新しいグローバリゼーションの中核を占めるアジアの地で、アジア市場ニーズを捉え、アジア圏の国や地域の社会的課題解決への取り組みを強化することはこれからの日本企業の成長にとって重要なテーマである。
(3)近年、米国企業などがアジア事業開発を行う際にリバース・イノベーションの手法を活用し、「現地ニーズ密着型」の新しいビジネスを生み出しつつある。
(4)新しいアジア事業の推進を担う人材の育成は日本企業にとって最も重要でチャレンジングな経営課題の1つである。

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■ワーク・ライフ・バランス

世界の視点から日本のワーク・ライフ・バランスを考える ―WFRNのカンファレンスに参加して―

ダイバーシティ&ワーク・ライフ・バランス推進部 コンサルタント 松原 光代

【要点(Point)】
(1)わが国でもWLB関連制度利用者の評価のあり方がWLB運営上の大きな課題となっているが、米国においても制度利用者の評価が低くなる傾向があり、類似した課題を抱えている。
(2)わが国のみならず、欧米諸国でもWLBの課題が「仕事と子育ての両立」から「仕事と介護の両立」へ移行しつつある。
(3)各国ともWLBの実現には「職場の管理職のマネジメント力の向上」が重要であるとして、どのような管理職が部下のWLBを実現し生産性を向上させるか、といった要因分析が進んでいる。

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■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 

「ねじれ国会」 「教育バウチャー」

■お薦め名著

『シェア』 ―〈所有する〉から〈利用する〉時代へ―

レイチェル・ボッツマン/ルー・ロジャース 著 小林 弘人 監修・解説 関 美和 訳

■ズーム・アイ

「いつか」はいつだ?

繊維調査部 安楽 貴代美

いわゆる地デジ化の波から大幅に後れを取りつつ、やっと自宅にデジタルテレビを導入しました。景気付けに、2TBのHDDも設置したところ、面白そうな番組を片っ端から録画でき、大容量のありがたみをかみしめています。

■今月のピックアップちゃーと

日本は世界で一番クリエイティブ ~日米以外では圧倒的にそう見られている~