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2021年2月18日
【論点シリーズ】No,21-01
新型コロナはサプライチェーンの強靭化を促進
― 不確実性の高まりと日本企業の立地・投資戦略 ―
部長(産業経済調査部)
 チーフエコノミスト
福田 佳之

・日本企業はグローバル戦略の一環として消費地に近い地域で事業活動を行う地産地消に取り組んできた。その結果、日本企業の海外生産比率は上昇した。 ・最近において海外生産比率は横ばいで推移しているが、米中対立やコロナ禍など世界情勢の不透明感など不確実性の高まりによるリスク許容度の低下が一因である。なお国内回帰の動きは過去も現在も一時的であり、その規模も限定的であった。 ・米中対立を巡る内外当局の動きや新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大は、国境を超えるサプライチェーンが脆弱であることを示した。こうした中でサプライチェーンを見直す日本企業が出てきている。 ・サプライチェーンの見直しは、これまで推進してきた国境を越えたサプライチェーンの強靭化を図る動きであって、決してこれまでの日本企業の地産地消の立地戦略を否定するものではない。日本企業はサプライチェーンの強靭化に伴うコストアップを吸収するだけのコスト競争力を長期にわたって涵養する必要がある。 ・不確実性の高まりはサプライチェーンの強靭化を促すだけではなく、国内の設備投資そのものを落ち込ませた。世界的なデジタルやグリーンの設備投資が叫ばれる中で、日本企業の投資意欲がこのまま減退すれば、景気回復が遅れるだけでなく、世界の企業間競争に劣後することとなり、注意が必要である。

【キーワード】

新型コロナウイルス(COVID-19)、米中対立、地産地消、サプライチェーン、不確実性、海外生産比率、国内回帰、国際分業体制、強靭化、デジタルトランスフォーメーション(DX)

PDF : TBR産業経済の論点 No.21-01(652KB)