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2017年10月2日
繊維トレンド9・10月号 2017 No.126

■ファイバー/テキスタイル

パリ2018春夏向け生地のトレンドと ミラノ2018/19秋冬向け糸のトレンド -オーストリアのレンチング社による環境対応の開発成果の紹介-

株式会社インテグレード 代表取締役社長 欧州繊維専門月刊誌『Twist』 在日特派員 永松 道晴

【要点】
(1)
2018年春夏向けパリのプルミエールヴィジョンではニットウエア、軽めのジャケット、ジャージー、薄手のツイード、レジャー着など春から夏に、夏から秋に季節をまたいで利用できる生地が注目され、男女区別を越えた物つくりがトレンドで、淡いエレガントな色合いとファンシーな糸や織りの展示が目立つ。
(2)
2018/19秋冬向けミラノFilo の糸展示会は、織り編み用の革新的なファッション糸素材が満載だった。クールな色合いにオレンジ・赤からクリーミーなベージュ、木の実のブラウンに濃いエコグリーンなど暖かいアースカラーをコントラストにしたもので、地球とその自然をファッショントレンド全体のインスピレーションの源泉としている。
(3)
トランプ大統領が地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を発表して問題となっているが、PVでもFiloでもラグジュアリーなトップブランドが率先して環境問題を取り上げ、それを支えるサプライチェーンも節水や廃水処理、素材のリサイクルなどサステナビリティ(環境・資源保持性)を優先課題としている。消費者も環境保護のためのコストを製品価格に加えることを受け入れる流れが醸成されつつある。繊維産業でのこのトレンドが変わることはないだろう。
(4)
オーストリアレンチング社による繊維原料生産での革新的な環境対応の開発成果を紹介する。第一はリサイクルした廃棄綿くずからできる新しい繊維レフィブラで、これは原料生産から最終製品消費までのサプライチェーンで産業廃棄物がほぼゼロとなる循環経済を実現した、第二は木材からパルプに至る加工段階で着色顔料が投入され、各色の顔料が溶融紡糸工程で繊維分子に原着されたLenzing Modal Color で、これによりCO2排出などの環境負荷が大幅に減り、従来品に比べて、水の使用量は64% 減、電気エネルギーは20%減、化学品薬剤の使用は90%減、廃水は64%減、廃熱は63%減となる。

 

日本の中小繊維企業の再興 デザイナーと繊維産地との関わり -tamaki niimeのケース-

株式会社フランドル 社長室 経営戦略・広報室 次長 篠原 航平

【要点】
(1)
日本の繊維産業においては、分業化による高い技術力というメリットを最大限に享受しつつ、いかに複雑なサプライチェーンというデメリットを最小化していくか、という点が重要な課題の1つである
(2)
tamaki niime は、播州産地に移住した玉木新雌氏が、サプライチェーンのほぼ全てを内製化して運営するブランドである
(3)
玉木氏が播州産地に移住したきっかけは、テキスタイル開発のスピードを飛躍的に上げることができるからであった
(4)
玉木氏が内製化を進めたきっかけは、繊維産地が疲弊していることへの危機感と自身が求めるモノづくりの方法とブランディングにフィットしていたからであった
(5)
繊維産地への移住と内製化には強い覚悟が必要である
(6)
デザイナーは、違う役割に関して学び、またブランドのビジネスモデルを練ったものにしないといけない

 

2016 年および直近のアジア主要国の合繊市況

日本化学繊維協会 業務調査グループ 主席部員 鍵山 博哉

【要点】
(1)
2016年の世界経済は、米国の景気減速の動きや、中国の減速、欧州の英国EU 離脱などの不透明な情勢から、景気回復のテンポが緩やか
(2)
こうした背景から、アジアの合繊産業の市況、繊維需給、貿易についても、2016年は全般的にさえない状況
1.合繊市況 原油価格上昇に伴い、合繊原料価格は2016 年を通じて上昇基調も、原油が低価格圏にあり、比較的合繊産業に優位な状況
2.日本 化繊生産は減少続き、化繊輸入の増加でミル消費は維持
3.韓国 合繊生産は長期減産からやや回復の兆し
4.台湾 化繊生産、繊維品輸出とも減少、産業規模は縮小へ
5.中国 化繊生産の伸びは鈍化、化繊輸出は300 万トン突破、繊維品輸出は減少に転じ内需拡大や構造転換進める
6.タイ 化繊生産は横ばいも繊維品輸出は減少
7.インドネシア 化繊生産、繊維品輸出とも減少、化繊輸入は増加へ
8.マレーシア 化繊生産は規模小さいが比較的安定的に推移
9.インド 拡大への積極姿勢示すも、輸出の低迷から化繊生産は伸び悩み

テクテキスタイル展2017(フランクフルト)報告

東レ株式会社 繊維加工技術部  塩谷 隆

【要点】
(1)
2017年5月9~12日の4日間、ドイツ・フランクフルトのメッセ(国際見本市会場)にて、テクテキスタイル展2017が開催された。出展社・機関数は1,477、来場者数は33,670名と報告されており、過去最高を記録した。また、同時開催のテックスプロセス展を合わせると、約47,500名が来場した。
(2)
「火星へのミッション」と題して、特別展示"Living in Space"(宇宙での生活)が企画され、今回のハイライトとなった。テクニカル・テキスタイル適用の主要領域の1 つ「航空宇宙分野」の展示製品や技術を幅広く展開していくことを狙いとしていた。
(3)
革新賞(Techtextil Innovation Award 2017)などの受賞製品・技術は、テクニカル・テキスタイルの最新動向を捉えているものが多く、サステナブル対応、土木・建築用途、スマートテキスタイル、3D構造体などが中心であった。
(4)
企業の展示が大多数を占めたが、大学や公的機関の展示もあり、中長期テーマの産官学連携が進んでいる。今回、以前にも増して目立っていたのは、欧州各国内における地域内連携(クラスター等)の展示であった。

■縫製/アパレル

脱百貨店の姿を表したギンザシックス

東京ファッションプランニング株式会社 デザイン・企画カンパニー 社長 山田 桂子

【要点】
(1)
「脱百貨店」を掲げたギンザシックス。その実体は、オフィスビルとファッションビルを合体した、新しい形の複合施設だ。
(2)
ギンザシックスの特徴は、旗艦店、新業態、日本初、銀座初という「冠」ブランドを多く導入して差別化を図っていることである。
(3)
ギンザシックスの顔として並ぶ6つのラグジュアリーブランドが象徴するように、ハイプライス&グローバルな高級路線を主体とする。
(4)
初年度売上目標600億円。年間の来館者目標2,000万人。高額品を主体とするブランドの顧客獲得、訪日外国人客の獲得、「食」分野のリピーター獲得が、売上、来館者目標達成には必須だ。

■キーポイント

日EU 経済連携協定(EPA)

日本化学繊維協会 常務理事 杉原 克

日本とEU が7月6日、日EU 経済連携協定(EPA)で大枠合意に達した。総人口約6.4億人、世界のGDP の約28%、世界貿易の約37% を占める、世界で最大クラスの自由な経済圏が誕生することになる。 日本の繊維貿易にとって、EUは重要な存在である。図表1にある通り、輸出では全体の9.5%がEU向けである。中国(シェア31%)、ベトナム(11%)に次ぐ輸出先である。また輸入では5.4%を占めている。

■統計・資料

主要合繊別・国別・メーカー別設備能力(現状および増設計画) 合繊原料編 ・カプロラクタム ・テレフタル酸 ・DMT ・エチレングリコール ・アクリロニトリル 主要合繊編  ・ナイロンフィラメント ・ポリエステルフィラメント ・ポリエステルステープル ・アクリルステープル ・レーヨンステープル ・スパンデックス ・スーパー繊維