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2006年3月1日
部下が上司をモチベートする!?

 少し前から、また世の中で「モチベーション理論(動機付け論)」がはやっています。(一定の周期でブームがあるようです。)これらは主に、マネージャーの方々とか、職場の上の方々向けに論じられているものが多いです。もしくは個人そのもののやる気について触れられています。  しかし個人的には、若干違和感があります。なぜなら、「私だって組織の一員として、いつも上司や組織をモチベートしたい!」と思っているからです。そうでなくとも、最近の上司、特にミドルマネジメントの方々は、職場の人も減り、立場的に上の人と下の人に挟まれ、仕事もプレイングマネージャーとして忙しく、かなり参っているように見えます。部下の立場からも、上司や組織をモチベートしたいと思うようになるほどです。  試しに、これまで仕事でお世話になった方々に本稿の趣旨をご相談したところ、「確かに自分の若い頃にも似たような想いがあったなぁ」とのことでした。  以下、思いつくままに最近感じていることを申し上げてみます。 最近、プロジェクト型の仕事が増えてきました。  世の中でもよく言われているようです。プロジェクト型の仕事の特徴として、日々以下のようなことを感じています(本稿では、職制上の「組織」とは区別して、プロジェクト単位の集まりのことを「チーム」と呼びます)。 プロジェクトの発生が不意である(または業務の優先順位が刻々と入れ替わる)。 目標(納期、量、スペック)が、どんどん変更されていく(追っても追っても逃げていく、変わる)。 燃えるプロジェクトでは、年次や社内外の資格、上下関係に関係なく、チームメンバーは平等である(ポジションではなく、プロジェクトの前進・解決に貢献できる人同士が手を組む。社内外の枠を越えて協働しあう)。  このようなプロジェクト型の仕事が増えてくると、不思議とチーム内に一体感が出てきます。チームによる仕事では、まずそれぞれが自身の役割・責任を果たしつつ、常に他のメンバーの進捗、およびそれらを統合した全体の進捗(または整合性)を意識して業務に取り組みます。そして全体の進捗によって、また日々自身の役割・責任を変えていく、といった連続が起こります。メンバーの専門知識が高く、また人間的に成熟している人同士であるほど、特定の誰かが一方的にメンバーをモチベートしたり、もしくは指導したり、といったことは発生しません。相互にモチベートし合いながら、ゴールを目指して行きます。きれいごとでは言い尽くせない喜怒哀楽、汗と涙の共有・一体感のようなものを感じます。年齢や立場の上下を超えた「戦友」という表現が一番近いのでしょうか。  一方で、実際に自分の手を動かすことが少なく、最後までやり抜かない“ちょいかみ型”のメンバーや、トラブルの発生(または発生しそうな)時に有効な解決策を打てない(特に社内外の重要ステークホルダーへの説得ができない)メンバー、または納期が迫り力技でやっつけなければならない業務が発生した時に、一緒に汗をかけないメンバーは、自然とプロジェクトから外れていってしまうようです。  さてここでプロジェクトの話はひとまず終えて、もう一度、本稿のタイトルに戻ります。会社の職制でいえば私のような部下にあたるものが、本当に「上司や組織をモチベートする」ことはできるのでしょうか?結論から言えば、私は「できる!」と思います。プロジェクトでメンバーが相互にモチベートし合うようなメカニズムを、職制上の仕事に活かすことができれば、可能であると思います。私個人としては、あくまで、自身の仕事っぷりを通じて、上司や組織をモチベートしていくことが大切であるし、私にもできることだと考えています。  世の中では、カウンセリングやコーチング、双方向コミュニケーション(面談の充実)・キャリアカウンセリングなどの重要性が言われ、教育研修・講演会等も盛んです。もちろん、組織をモチベートするために日常的なコミュニケーションや、細かな気配りも必要でしょう。しかしながら、私個人は、あくまで基本となる「仕事」で、一つひとつの仕事を大切にして、上司や組織への貢献とモチベート、自身の成長をしていきたいと考えている今日このごろです。