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2007年6月1日
経営センサー6月号 2007 No.93

■経済・産業

異質との共存・共生 -グローバル社会と日本の課題-

三井リース事業株式会社 エグゼクティブアドバイザー 海東 泰

 東レ経営研究所『中国繊維ファッションビジネス研究会』客員研究員である齋先生は、中国経済の最前線にある上海市政府内で、上海市商業経済研究センター主任、上海市商業情報センター主任、教授を務めており、今回は、その活動の中でまとめた上海市のサービス業1 発展についてのレポートをご紹介します。   本レポートで、上海市の小売業を中心とした、ごく最近の商業発展の推移と現状を見ることは、拡大する中国市場を理解するうえで、大いに役立つと考えます。

【要点(Point)】
(1)2007年2月末の上海株式市場の急落は、世界全面株安を惹起した。今日の世界経済がグローバル化していることを物語っている。
(2)IT技術によって加速するグローバル化は情報化社会の側面を持ち、特質は均質化、スピードとパートナーシップである。
(3)グローバル社会における日本の課題は、社会の変化を明確に意識し、真に世界としたたかに共生する国への脱皮である。

原油高と人口増で存在感を増すイスラム圏 -市場としての可能性を探る-

産業経済調査部 産業アナリスト 永井 知美

【要点(Point)】
(1)日本は、石油輸入の多くを中東に依存しているにもかかわらず、地理的・歴史的・文化的な遠さから、中東を始めとするイスラム圏への関心が低い。だが、その一方で、原油価格上昇による中東諸国の好況と人口の急速な増加で、イスラム圏の存在感は着実に高まっている。
(2)経済規模の拡大は、イスラム圏を消費地として無視できない存在にしているが、中東・北アフリカのイスラム圏では、豊かな国は人口が少なく、人口が多い国は貧しい。
(3)本稿では、イスラム諸国中、人口規模と1人当たりGDPという見地からサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、エジプト、トルコの4カ国に焦点を当て、自動車市場としての可能性を探った。
(4)中東・北アフリカのイスラム圏の自動車市場は、現状規模が小さいが、縮小または頭打ち傾向にある先進国市場に比べ成長性が高い。政治・経済情勢の安定を前提とすれば、今後も市場の拡大が期待できる。

PDF : 詳細(PDF:550KB)

医薬品業界の2010年問題と新薬開発

クレディ・スイス証券株式会社 調査本部株式調査部 ディレクター 酒井 文義

【要点(Point)】
(1)1980年代から活発化した日本の大手医薬品企業の海外進出は紆余曲折を辿りながら、世界最大の医薬品市場である米国で高水準の収益を上げるまでに成長した。しかし、2010年にかけて主力品の特許切れが相次ぐため、その対応に失敗した企業は大幅な戦線縮小を余儀なくされる。
(2)一方、海外市場へのアクセスが限定された準大手・中堅製薬企業は国内の基盤強化だけでは不十分であり、今後の生き残りへ向けた課題に直面している。
(3)医薬品企業にとって、潤沢な金融資産を有効活用することは重要な選択肢である。

■視点・論点

ノーと言える経営組織

ジェイ・ボンド証券株式会社 代表取締役社長 斎藤 聖美

 10人ほどの仲間と、為替の勉強会を始めてもう6年半になる。3カ月に一度集まり、夕食を楽しみながら為替の動向を話し合い、3カ月後の為替レートを予測して成績を競う。しかし、「宝くじよりも当たりませんねえ」という誰かのため息まじりの弱音がきっかけで、3年ほど前から会の趣向が変わってしまった。   相変わらず、為替の動向に関連してマクロ・ミクロの経済の話はするのだが、食事が終わるやいなや、さて、とみんなの目の色が変わる。1人2千円ずつ拠出して合同で宝くじを買うようになったのだ。

■マネジメント

グローバル企業・トップインタビュー 変化する日本市場-成功する外資系企業のトップから学ぶ 第八回クインタイルズ・トランスナショナル・ジャパン株式会社

クインタイルズ・トランスナショナル・ジャパン株式会社 代表取締役社長 成松 洋氏

-社名にトランスナショナルという言葉が使われていますが、どういうことを意味しているのですか。 成松:transとnationalの2つの意味を合わせたものと言えます。トランスとは横切って、超えて、貫いて、ということ。トランスナショナルとは国を超えて、国を貫いて、という意で、辞書には「国籍を超えた」「超国籍の」とあります。創業者で会長のデニス・ギリングスに尋ねたことがありますが、グループ傘下の企業が、それぞれ属する国や地域の特色、存在意義を活かしながら、グローバルでチームを組んでいこうというイメージですね。

中国における企業所得税制改革

望月コンサルティング(上海)有限公司董事長 公認会計士 望月 一央

【要点(Point)】
(1)中国においては2008年1月1日から外資企業と内資企業に対する税制が統一されることとなった。
(2)中国における企業所得税制改正により、従来外資企業に認められていた優遇税制が解消される。
(3)企業所得税改正を契機とする一連の税制変更により、日本からの対中投資が第三国を経由したものに変更されるケースが予想される。

PDF : 詳細(PDF:296KB)

働きがい」を感じているのは27% -若手社員1,000 人「働きがい」調査結果から-

取締役 人材開発部門長 渕野 康一

【要点(Point)】
(1)当研究所では、昨年12月に全国の若手社員1,000人を対象に「働きがい」に関する本格調査を実施した。今回、分析した結果を要約して紹介する。
(2)本調査結果から、日本の20~30歳代若手社員の「働きがい」の現状と課題が初めて浮き彫りになった。「働きがい」を左右する要因についても言及する。
(3)この調査を契機に、日本でも「働きがい」に関する議論や調査研究がさらに深まり、若手社員の活力向上策に繋がれば幸いである。

PDF : 詳細(PDF:350KB)

「戦略的技術マネジメント研修」について(第4回) -付加価値創造におけるMOTの役割り- 

神戸大学経済経営研究所 延岡健太郎教授インタビュー

【要点(Point)】
(1)MOT(技術経営)は、「製造業の経営学」。「技術者が経営学を学ぶ」という単純なものでなく、技術を経営に結び付けて長期的な視点で考えるという、複雑かつ不確実な分野で、大変難しい領域。
(2)我が国の製造業は、卓越した技術力により製品の価値創造(Value Creation)には優れているが、企業価値を生み出す価値獲得(Value Capture)へのマネジメントに問題を抱えている。
(3)この大きな原因の一つが、製品の急速なモジュール化によって、短期間に過当競争へ陥ること。自動車のように「擦り合わせ」が必要な商品では、これに対する対価を獲得できる。
(4)企業の競争力を高めるには、他社が容易に真似できない独自のコア技術を鍛え、これを実現する組織能力を高めるなど、本当の意味での骨太な企業を目指す「コア・コンピタンス経営」が重要。
(5)経営には、サイエンスとアートの二つの能力をバランスよく身につけることが必要。

気付きから学びへ -東レ経営研究所 人材開発の現場から- 第九回 心地よく閉じたコミュニティで学ぶことのススメ

特別研究員 竹内 伸一

 「ブレーン」「懐刀」「番頭」「幕僚」-。自分の力を外的に補い、向上させてくれる人物を表す言葉が日本語には多い。こうした言葉が数多く育まれた背景には、「人がひとりでできることは知れている」というわが国の人間観が横たわっている。   しかしながら、ビジネスリーダーを目指す人は、「ひとりでできることは知れている」が真理だからと言って、開き直ってよいわけではない。

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード ・「世界特許」 ・「バイオエタノール」

■お薦め名著

『<育てる経営>の戦略』 -報酬はお金か、仕事の内容か-

高橋伸夫 著

■ズーム・アイ

経験から学ぶ力をつける問いかけ

人材開発2部 川畑 由美

 企業の現場では、知識や技能を継承するための様々な取り組みがなされているが、以前と比べてOJTの機会が減少していると聞く。このような環境においては、少ない学習機会をフル活用して仕事の質を高める能力が重要になる。

■今月のピックアップちゃーと

日本人の「クルマ離れ」が止まらない ~進む使用年数の長期化、平均車齢の高齢化~ 乗用車の平均車齢と平均使用年数