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2016年8月1日
経営センサー7・8月号 2016 No.184

■今月のピックアップちゃーと

中国人の海外旅行先ナンバーワンはタイ! 日本は何番目?

■経済・産業

企業がIoT時代を生き残るために必要なこと

産業経済調査部門長 チーフエコノミスト 増田 貴司

【要点】
(1)
IoTは、これまでデジタル化されていなかったアナログプロセスをデジタル化するものである。
(2)
IoTの進展により、製造業の競争軸はモノの製造・販売にとどまらず、モノを介した顧客価値の提供全般へと広がる。競争力の源泉はハードウエアからソフトウエアに移行し、製造業はモノ自体の進化だけではなく、モノを取り巻くサービスやユーザー体験などを含めた広い視野からイノベーションの種を見つける必要が出てきた。
(3)
IoTを実現するには、自前主義を捨てて、他社との連携を進めることが必須となる。
(4)
IoT時代に大企業が取り組むべきは、「他社(異業種、新興・中小企業)が破壊的イノベーションを起こした時の既存事業の防衛戦略」を先手を打って講じることである。
(5)
IoTでは先端技術力よりも課題発見力が競争力の源泉になることが多い。企業に必要とされる能力として、以前からの「考える」「試す」に加えて、「気づく」「伝える」能力が必要になった。
(6)
規制のあり方がIoTによる新市場創造の実現可能性に大きく影響する。
(7)
IoT時代には、新しい試みに迅速、果敢に挑戦し、トライ&エラーを繰り返し、時代を先取りするイノベーションを生み出す取り組みが必要である。これを実現するには、失敗を恐れずリスクをとって挑戦する企業風土の醸成が不可欠である。
(8)
こうしたIoT時代を生き残るための知恵は、IoTを推進する企業・担当者だけでなく、すべての企業・ビジネスパーソンが認識しておくべき事項である。

PDF : 詳細(1604KB)

■アジア・新興国

ASEAN経済共同体の創設:成果と課題

亜細亜大学アジア研究所 教授 石川 幸一

【要点】
(1)
ASEAN経済共同体(AEC)は2015年末に創設された。創設のための行動計画であるAECブループリントは100%は実施されてはおらず、2015年末は通過点である。
(2)
AECの最大の成果は関税撤廃である。ASEAN6は99.2%の関税が撤廃され、CLMVも2018年には関税が撤廃される。一方、非関税障壁はほとんど撤廃されておらず、サービス貿易の自由化 も例外が残る。人の移動は熟練労働者のみで単純労働者は対象外である。
(3)
ASEANの経済統合の進展は遅かったが、所得格差が大きく行政能力やインフラ整備でも格差が大きい中で全ての国が同じペースで自由化を進めることは難しく、漸進主義による柔軟な経済統合がAFTAの成功の要因である。
(4)
サービス、投資の自由化、非関税障壁の撤廃など統合の深化に向けて、ASEANは2025年を目標年次とするASEAN経済共同体2025のブループリントを2016年より実施している。

■産業技術

“エネルギー自立ビル”が建つ日は来るか? ―ネット・ゼロ・エネルギービル=ZEBの普及可能性と課題を考える―

調査研究・コンサルティング部門 主席研究員 岩谷 俊之

【要点】
(1)
ZEB(=ネット・ゼロ・エネルギービル)という言葉は、わが国ではまだ広く浸透してはいないが、日本のみならず欧米各国も導入を目指しているもので、エネルギー収支がゼロもしくはマイナスという、まさに究極の省エネビルといえる。
(2)
ビルの省エネというと、業務部門のCO2排出削減、地球温暖化防止という効果と結びつけがちだが、ZEBの本質は環境貢献よりもむしろエネルギー自立、エネルギーリスクの100%排除にあると言ってよい。
(3)
エネルギーリスクを排除したビルが普及することの意味は、特にわが国においては非常に大きい。しかし完全なエネルギーゼロのビルを作ろうとすれば、現状では技術的制約が大きいのも事実。
(4)
地球温暖化防止への貢献だけにとどまらない、エネルギー自立ビルの持つ意味を認識した上でZEBの普及に向けた、息の長い技術開発が必要。そのためには電機や設備だけではなく、材料や化学といった業界も含めた幅広い取り組みが求められる。

PDF : 詳細(1331KB)

■視点・論点

採用狂想曲 ―新卒採用から国内外の雇用の違いを考える―

リロ・パナソニックエクセルインターナショナル株式会社 顧問 早稲田大学トランスナショナルHRM研究所 招聘研究員 東北大学大学院経済学研究科・東海大学政治経済学部経営学科 非常勤講師 異文化経営学会 監事 中村 好伸

プロローグ ある中堅メーカーの2016年度の採用の反省会で、担当者は口々に2016年の新スケジュールである、採用広報開始:3月1日、選考開始:8月1日、内定開始:10月1日についての不満や反対意見を、中村部長にぶつけていた。

■マネジメント

ライフサイエンス・イノベーションへの道、日本は勝てるのか!! ―外資系理化学・バイオ企業を35年生き抜いて日本企業へエールを送る― 第4回 米国ベンチャー企業立ち上げへの貢献

バイオディスカバリー株式会社 代表取締役 一般社団法人日本分析機器工業会(JAIMA) ライフサイエンスイノベーション担当アドバイザー 岩瀬 壽

【要点】
(1)
数学理論から生まれた新技術
(2)
無名ブランドで市場に放り出されると何が起こるか
(3)
真のマーケティング力を危機感の中で体感し学ぶ

 

スポーツ都市戦略

早稲田大学 スポーツ科学学術院 教授 原田 宗彦

【要点】
(1)
スポーツは、「アマチュアイズム」が支配する体育の世界から、ビジネスを基調とする「ビジネスイズム」の世界へ進化し、グローバルな巨大産業へと成長した
(2)
スポーツのパワーが増大することで、スポーツには、地域活性化やまちづくり、そして都市経営の「触媒」という戦略的な役割が付与されるようになった
(3)
スポーツ都市は、スポーツに親しむことができる都市で、スポーツ観戦やスポーツ参加を通じて、健康でアクティブなライフスタイルの実践が可能である

PDF : 詳細(1051KB)

 

B2B市場における統合型コミュニケーション ―広告を中心として― 

アジア太平洋マーケティング研究所 所長 立教大学大学院ビジネスデザイン研究科 客員教授 笠原 英一

【要点】
(1)
産業財市場における購買プロセスである「認知(recognize)⇒理解(comprehend)⇒態度(attitude)⇒意図(intention)⇒購買(purchase)」という過程を理解する。
(2)
購買プロセスに対する伝統的なコミュニケーションである広告に関する要点を押さえる。
(3)
見込み客に、製品やサプライヤーを認識させ、ブランド選好に導き、購入によって要件が満たされると確信させ、最終的に実際に購入へ導くプロセスとしてのプロモーションのエッセンスを整理する。

PDF : 詳細(1350KB)

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード

産業経済調査部門 「シンギュラリティ」 「同一労働同一賃金」

■お薦め名著

『プライドの社会学』 ―プライドは創造と破壊のダイナミクス―

奥野 智之 著

■ズーム・アイ

何でも釘に見えてくる件

人材開発部 小西 明子

「人はハンマーを持つと、何でも釘に見えてくる」 弊社が主催する技術経営(MOT)異業種交流研修の講師の一人が引用する警句です。MOT研修ではさまざまなツールやフレームを伝授しますが、習ったツールは使いたくなるのが人の常。今の状況や条件を見極めることなく、むやみに自分の持っているツールで分析したり解決したりしようとすると失敗するし、第一押し付けがましくて周囲の人にも嫌われますよ、というわけです。身につまされる警句ですが、最近、身近でこれにぴったり当てはまる事例を耳にしました