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2009年8月4日
金融危機後の経営環境はどう変わり、日本企業はどのように対応しているか
チーフエコノミスト
増田 貴司

・本稿では、金融危機後に一変した経営環境の変化を整理した上で、日本企業がこの変化をどのように乗り切り、成長しようとしているのかについて、具体事例も取り上げつつ考察した。 ・企業を取り巻く環境変化のキーワードとしては、(1)需要蒸発、(2)新興国のボリュームゾーン、(3)コモディティ化、(4)安くつくれる技術、などが重要である。 ・世界経済の構造が転換し、ゲームのルール(儲けの土俵)が変わったことを認識する必要がある。さもないと、日本企業はこれまで以上に「技術で勝っても事業に負ける」ことになりかねない。 ・企業は戦後最悪の不況をコスト削減など「守りの経営」で乗り切ると同時に、需要反転後の跳躍力を蓄える「攻めの成長戦略」に取り組む企業が少なくない。受注減を逆手にとって人材育成を強化する企業や、環境・エネルギーなど重点分野では高水準の研究開発投資を維持する企業が多い。 ・中小企業の中には、今回の不況を優秀な人材確保のチャンス、あるいは低コストで新工場を建設できるチャンスととらえる企業もある。 ・金融危機後も、日本企業は内向き志向に陥ることなく、アジア新興国を中心とする海外市場の開拓を強化している。新興国専用に開発した製品の投入により新興国市場の攻略を強化する動きが相次いでいる。 ・日本企業が海外市場開拓で成果をあげるには、グローバルな「市場づくり」を強化するとともに、他社とは異なる強み(サムシング・ニュー)を築くことが求められる。

【キーワード】

需要蒸発、デカップリング論、新興国のボリュームゾーン、コモディティ化、安くつくれる技術、不況期の人材育成策、不況期の研究開発投資、新興国専用モデルの開発、グローバルな「市場づくり」、サムシング・ニュー

PDF : TBR産業経済の論点 No.09-05(565KB)