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2015年10月1日
身だしなみは理想の自分への第1歩
コンサルタント
内藤 陽子

朝の通勤時間、たまに同じ車両に乗り合わせる女性が気になっています。飾り気のないショートカットのその女性は、年齢は30 代半ばくらいで社会人と思われるのですが、いでたちが今一つパリッとしない印象を受けます。気になるのは、彼女がどうやらピンクがお好きだということです。常に全身淡いピンク色を基調にしたコーディネートは、どうにもやり過ぎ感が否めません。特に目立つのは、いつも持っている革のトートバッグ(もちろんピンク)です。若い女性にとても人気があるブランドの、フリル付のかわいらしいトートバッグとその女性には、残念ながらかなりの違和感があります。が、そこには「ピンクを着る」という彼女の強い信念のようなものを感じて、そのオーラについ目が向いてしまいます。最近では、怖いもの見たさにも似た気持ちで電車に乗ると彼女の姿を探してしまうようになりました。  社会人にとっての「身だしなみ」は、個人で楽しむ「ファッション」とは違う、これは新入社員のマナー研修で最初に教えることです。  先日、WEB で「身だしなみ」には三つのポイントがあると書かれた文章を目にしました。  いわく、一つ目のポイント「Must」は、常識的な社会人として、TPO に合わせ、場や格にふさわしい服装をすることです。  二つ目のポイント「Want」は、「Must」を踏まえながらも、なりたい自分を表現する服装です。例えば知的に見せたいならメガネをかける、貫禄を出したいならダブルのスーツを着るなど、自分を相手にどう印象付けるかを演出することです。  最後、三つ目のポイントは「Can」。残念ながら、なりたい自分は必ずしもなれる自分ではなく、似合わない演出は人に違和感を与え、その人だけでなく会社のイメージをも落としかねません。身近な人に 意見を聞きながら、バランスを考えて自分らしい服装をしていくのが重要ということです。  一方で、スポーツなどではよく「形から入る」と言います。まずはそれらしい服装でやる気を高揚させ、モチベーションが維持できれば、服装に見合う実力をつけることもできます。「Can」は全く不可能というわけではありません。少し背伸びをしても、なりたい自分に近づく努力は大切なことでしょう。  この三つのポイントを読んだとき、朝見かける女性のことを思い出しました。彼女のピンクは間違いなく「Want」ですが、あいにく「Can」とは言い難い気がします。でも自分はどうだろうか。社会人として「Must」は当然ながら、これまで身だしなみにおける「Want」や「Can」を考えたことは、あまりなかったように思います。社会人生活も長いはずなのに、色に限らず今の自分の「Want」「Can」が何であるか、あらためて考えてみるとはっきりと答えられません。  仕事で着る服はどうしても万人に受け入れられやすい無難なものになりがちです。けれど、お店で「Want」を意識して服を眺めるだけでもいいのだと思います。もしかしたら、なりたい自分の発見があるかもしれません。それは「Can」になるかもしれないし、ならないかもしれないけれど、今の自分を省みる良いきっかけになるのではないでしょうか。