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2008年9月1日
経営センサー9月号 2008 No.105

■特別レポート

メーカーのチャネル公平性と販売店の信頼との関係 -中国の携帯電話産業の事例-

清華大学経済管理学院 マーケティング博士課程 劉 佳 清華大学経済管理学院 マーケティング学部長兼主任 胡 左浩 清華大学経済管理学院 趙 平 鹿児島国際大学経済学部 地域創生学科 准教授 康上 賢淑

 本論は販売店の視点からメーカーのチャネル公平性が販売店との信頼関係にどのような影響を与えるかを、実証レベルで研究したものである。そこで明らかになったのは、メーカーの分配公平性とプロセス公平性は、販売店の信頼に顕著なプラス影響があること。しかも、プロセス公平性の影響はもっと強いこと。同時に、販売店の収益レベルとチャネルメンバー間関係の長さは、ある程度公平な信頼関係への影響過程を調節することである。その中で、販売店の収益増加によって、分配公平性における販売店信頼への影響は下がるが、チャネルメンバー間関係の長さの増加によって、プロセス公平性の販売店信頼への影響は強まることが言える。 

■経済・産業

「戦後最長景気」後の日本経済

三菱UFJ証券株式会社 景気循環研究所 シニアエコノミスト 鹿野 達史

【要点(Point)】
(1)戦後最長の景気拡大を続けてきた日本経済だが、2007年末以降、景気後退局面に入っている可能性が大きい。
(2)米国を中心とした海外経済の弱含みから、輸出、生産の一段の落ち込みが見込まれ、景気後退は、09年1~3月期にかけて続くと見られる。
(3)ただ、国内の在庫調整圧力は小さく、景気後退も相対的に軽度にとどまり、海外経済の持ち直しを受け、09年度には、景気は再び拡大に向かおう。
(4)一方、設備投資、建設投資の中長期的な上昇局面に変わりはない。09年度は堅調な推移が期待できる。

太陽電池製造装置で世界一 食品関連から見事な転身を遂げたエヌ・ピー・シー

福田 佳之 産業経済調査部 シニアエコノミスト

【要点(Point)】
(1)世界的に競争が激化する中で、国内需要は縮小しており、日本企業は自社のコア技術を活かして成長分野に参入することが求められている。
(2)もともと真空包装機メーカーであったエヌ・ピー・シー(NPC社)は太陽電池製造装置事業に進出し、近年、太陽電池市場の拡大に伴い同事業が拡大している。
(3)NPC社の隣(ちかき)良郎(よしろう)社長は元伊藤萬(現・住金物産)の社員。転職した企業が破綻したが、その企業を引き継ぐ形でNPC社を立ち上げた。
(4)NPC社創業2年後に真空包装技術をもとに太陽電池製造装置事業を興して米国進出。その後、事業領域を拡大。顧客への緻密な対応とものづくりへのこだわりが2000年代の躍進を実現させた。
(5)同社は会社存続を最優先事項としており、そのためにはリスクを排除し、夢にこだわらない経営姿勢を保持。また、顧客から得た精度の高い情報をもとに研究開発・戦略策定を遂行している。
(6)成長分野で事業を興すには、コア技術を活かすだけでなく、自社の技術や人的資源を拡大・統合させる必要がある。また、外部環境の変化や自社の失敗から学んで将来に備える進化能力を持たねばならない。

PDF : 詳細(PDF:566KB)

研究評価の現状と課題

増田 真 産業技術調査部 リサーチャー

【要点(Point)】
(1)厳しい財政運営を迫られる中、国費を用いた研究開発にも、重点的かつ効率的な資金配分が求められており、そのための意思決定を助ける手段として、研究評価の重要性がいっそう高まっている。
(2)追跡評価は、公的研究開発プロジェクトの性格に基づく特有の評価で、そのための事実情報の収集が追跡調査である。
(3)研究成果の質を定量的に示すと考えられている研究評価指標にも固有の限界があり、数値化できるデータだけでなく、定性情報も合わせた多面的な評価が必要である。

PDF : 詳細(PDF:320KB)

■視点・論点

米銀1990年代の金融改革・再編とサブプライムローン問題について

ストラクチャードファイナンスコンサルタント 永田 国幸

【要点(Point)】
(1)米銀は1990年代に2大金融改革法の対応のため、小売部門の強化と合併・買収にて対処、1990年初に約30行の有力銀行は2004年までの15年弱の間に5行に再編された。
(2)再編された巨大商業銀行5行、投資銀行5行及び欧州系銀行2行の計12行による最強の金融機関の商品開発競争の中で、サブプライムローンは1994年頃に登場し、証券化商品として仕立て上げられた。
(3)少数の最強の金融機関がある特定の商品(この場合サブプライムローン)を追いかければ市場はバブル化し、逆になれば市場は瞬時に動揺する新たな現象として捉えられる。このように寡占化ゆえの潜在リスクは新たな市場リスクとして加えておく必要がある。

■マネジメント

元気なモノづくり中堅企業に学ぶトップインタビュー(第3回) 皮革のすべてを生かしたオリジナルバッグが獲得し118万人のイビサファン

株式会社イビサ取締役会長 吉田 茂氏

【要点(Point)】
(1)吉田茂会長は皮革問屋から身を起こし、1972年にオリジナルバッグブランド「イビサ」を立ち上げた。
(2)製造はまず革を見て形を発想するところから。その表情を大切にし、余った革もモチーフやパッチワークにして使い切る。
(3)販路は問屋を通さず、百貨店のコーナー展開やショールーム形式など独自のスタイルで展開。
(4)顧客サービスもパーティの開催や工場見学会など充実しており、総計118万人ものファンを獲得している。

■人材

上級MOT短期集中研修「戦略的技術マネジメント研修」について(第12回) 日産改革の視点と教訓 -「特別講演」企業経営とリーダーシップ-

中央大学大学院客員教授 楠美 憲章氏 講演録 企 画:MOTチーフディレクター 宮木 宏尚 記録・写真: 山崎 阿弥(フリー・ライター)

【要点(Point)】
(1)失敗にこそ学ぶところが多い。サクセスストーリーの内容を見ると、最後の顕在化した表層の一部分だけのことが多く、ヒントにはなるが学ぶところは意外と少ない。
(2)抜本的な企業変革を考える際には、まず徹底した敗因分析を行うことが重要。この後、これに基づき大戦略、大戦術を立て、実現に向けて実行することが求められる。
(3)多くの場合、企業経営の失敗は現場のパフォーマンスによるのでなく、トップのマネジメントによることが多く、これが勝ち組と負け組を分ける。この場合は、マネジメントが良くなれば、勝ち組に復帰できる。
(4)従来のマネジメント方式と決別する“戦時の変革”のためには、信頼できる新たな人材に全てを任せる覚悟が重要である。
(5)単なる意識改革や気合で、抜本的な企業変革はできない。目標管理制度や評価制度といった意識改革を支える具体的な仕組みを用意し、変革が後戻りしないようにしなくてはならない。

PDF : 詳細(PDF:544KB)

気付きから学びへ ―人材開発の現場から―(第21回) 職場の“交響楽”はリーダーのタクト一振りで

酒巻 洋行 特別研究員

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 「ジニ係数」「LCA(ライフサイクルアセスメント)」

■お薦め名著

『ブランドロイヤルティ』 -経営の透明性と明解なメッセージを!-

Matt Haig 著 和田 利彦訳

■ズーム・アイ

質問力のすすめ

人材開発部 石川 裕子

■今月のピックアップちゃーと

日本市場はガラパゴス? ~ 世界市場で影が薄い日本の携帯電話メーカー~

■TBRの広場

東レ経営研究所 特別講演会のお知らせ