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2008年7月1日
繊維トレンド7・8月号 2008 No.71

■特別レポートI

北陸繊維産業シンポジウム『北陸産地の復権を目指して』講演抄録 東レの自動車材料事業戦略

東レ株式会社常任理事 自動車材料戦略推進室長 胡谷 一路

去る3月7日に、福井市のフェニックス・プラザ(大ホール)において、東レ株式会社と株式会社東レ経営研究所の共催で、繊維産業シンポジウム『北陸産地の復権を目指して』を開催しました。当日は、JUKI株式会社工業用ミシン事業部縫製研究所知久幹夫主査、伊藤忠商事株式会社丹羽宇一郎取締役会長、東レ株式会社胡谷一路常任理事の3人の講師に、ご講演いただきました。本号では、そのうち、胡谷一路常任理事の講演内容をご紹介いたします。なお、知久幹夫主査の講演内容は本誌前号にて、また丹羽宇一郎会長のご講演は 弊社のマネジメントビジネス誌『経営センサー』6月号にてご紹介しました。

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■特別レポートII

上海市の消費市場- 2008年の展望

東レ経営研究所客員研究員 上海市商業経済研究センター主任 教授 斎 暁齋

本論は、東レ経営研究所『中国ビジネス研究会』客員研究員である、上海市商業経済研究センターの斎主任教授(上海市商業情報センター主任兼務)が、同センターの活動の中でまとめた上海市の商業発展調査のレポートを翻訳してご紹介するものです。中国では行政が各地域の市場について、質や、量などすべての情報を集約し、施策の一つ一つに反映させて業界を指導しています。斎先生はその中心として活躍されており、本稿は上海についての最も正確な情報と言えます。

■海外動向

下期の市況を読む -景気減速とコストアップが同時進行の中で新しい価格体系をどう構築するか-

向川 利和 特別研究員 繊維産業アナリスト

【要点(Point)】
(1)米国を震源地とするサブプライムローン問題により、世界経済は悪化することが鮮明になってきた。景気減速とインフレが同時に進行しており、国際金融市場の混乱解決までの時間は長引きそうだ。
(2)世界経済が悪化する中で、合繊メーカーの最重要課題は、原燃料コストアップ分の売値への転嫁。安定収益確保のための新しい挑戦が続く。

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第7回アジア化繊産業会議の概要 -合繊の供給過剰状態を共通認識-

日本化学繊維協会業務調査グループ 主任部員 鍵山 博哉

【要点(Point)】
(1)第7回アジア化繊産業会議は、2008年5月15、16日、マレーシア・ペナンでアジア10カ国・地域(オブザーバを含む)の134名が参加し開催された。
(2)世界の化繊生産に占めるアジア化繊産業連盟(ACFIF)加盟国・地域のシェアは約8割を占め、中でも中国、インドの位置付けが高まっている。
(3)日本からは、従来通り、世界の化繊需給の中長期見通しの報告を行った。2012年に合繊で1,590万トンの供給過剰を見通したものであった。この報告に対して、中国、インドを中心に活発な議論が行われ、その結果、合繊が供給過剰状態にあることについては参加者の共通認識ができた。

戦略的互恵による日中ビジネスの展開

坂口 昌章 客員研究員 有限会社シナジープランニング代表取締役

 100年に一度の世界同時不況の中、単価の安さなどからアクセサリー(服飾雑貨)の重要性が見直されている。ここではニューヨークで開催されるレディースアクセサリーの見本市展示会Accessories TheShow について、現地でファッション情報誌のエディターを務めるカワムラ氏にご紹介いただく。

【要点(Point)】
(1)日中関係は、日中両国の企業にとって最も重要な二国間関係である。
(2)長期にわたる相互協力が日中両国の企業にとって唯一の選択である。
(3)日中企業の平和共存、世代友好、互恵協力、共同発展を実現する。
(4)将来にわたり、絶えず相互理解を深め、相互信頼を築き、互恵協力を拡大する。
(5)日中両国企業は、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない。
(6)日中両国企業の平和的関係がアジアや世界に大きなビジネスチャンスと利益をもたらす。
(7)日中両国の企業トップ同士が相互訪問を強化し、相互理解と信頼関係を一層強化する。

China News China Fashion Week 09 春夏コレクション

横川 美都 研究員

今回は、去る3月25日から31日までの7日間にわたり北京で開催された中国国際時装週チャイナファッションウィーク(以下、CFW)09 春夏コレクションについてレポート致します。弊誌前月号にてレポートしたように、CFW開催期間中に北京では様々なアパレル関係のイベントが同時に開催されており、CFWだけを見ていることができませんでした。そのため、残念ながら今回は見学したショーはあまり多くありませんでした。

中国におけるファッションビジネス教育のあり方 第1回 -上海東華大学における実験講座を中心にして-

宝塚造形芸術大学専門職大学院 デザイン経営研究科長 教授 菅原 正博

【要点(Point)】
(1)ファッション実務に関連したマーケティング、マーチャンダイジング面での大学教育のあり方を試行錯誤する実験講座という形で中国上海との国際交流を行った。結果的には、当初懸念していたほどには日中間のギャップが感じられなかった。
(2)今回は、特に上海市場で勝ち組に入っている11 のブランドの市場調査から始まって、その参考ブランドを5 人1 組のチームでブランドを企画立案するという点を教育目標において授業を展開した。少なくとも、参加した大学院生は実験講座の狙いをかなり理解してくれた。
(3)問題は、学生たちがこの教育成果を卒業後、中国のファッション産業内でどう活かしていくかである。今後は中国でも教育の現場と産業界の実務の現場と、どのように交流を図っていくかが残された大きな課題である。ただ、上海市場へは、ZARAやH&Mという先進企業が進出しているだけに、この教育と産業とのギャップが速いピッチで埋められていくのではないか、と今回の実験講座を通じて感じた。

■国内動向

内外環境激変の下で、新産地創造の胎動が始まった化合繊テキスタイル業界 -新繊維ビジョンと北陸産地の対策-

小山 英之 特別研究員

【要点(Point)】
(1)繊維ビジョンの答申の年は、北陸産地を取り巻く環境が激変し、不況に見舞われる確率が高い。今回もジンクスが再現し、産地の景況は悪化の様相を強め、先行き不透明感が高まっている。
(2)北陸産地は、国内産地の中で最も真剣に繊維ビジョンを羅針盤として、体質改善に取り組んできた産地の1つである。デメリットはメリットであると言われるが、毎回のごとく繊維ビジョンの年に困難な状況に見舞われ、それをバネに産地企業の経営改革が促進されてきている。
(3)新繊維ビジョンの特徴は、先進国繊維産業としてのポジションを確立する最後のステップアップを図るためのビジョンであり、北陸産地にとって“世界への飛躍と先端技術分野の開発強化”が課題になっている。

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営業利益を食べる一般管理費 -ファッションビジネスことはじめ- 第2回

信州大学繊維学部 感性工学科 教授 大谷 毅

【要点(Point)】
(1)ファッションビジネスでは、大規模企業特有の「専門化の原則」を適用しにくい部分があり、デザイナーは、ヒューリスティックな処理を果敢に推進しなければならない。
(2)アパレル+百貨店という東京プレタポルテ主流プレーヤーたちの営業利益は一般管理費に食われすぎ、世界に通用するファッションビジネスを考える余裕はないのかもしれない。
(3)いささか出来過ぎのキライはあるが、LVMHの一般管理費は売上の8%である。
(4)LVMHのBernard Arnaultは例外の原理と権限委譲、そして目標による管理を使って管理コストを削減、中小企業集合体を構築し、その延長に、Marc Jacobsらを位置づけた。
(5)日本の企業エリートは、このような構築や位置付けの作業を苦手とするかもしれない。

シリーズ高コスト先進国における企業生き残りのKey Factor -第6回 「ブランド」について考える その(2)-

青山学院大学 経営学部 准教授 ヘリオット・ワット大学経営大学院 ロジスティクス・リサーチ・センター 研究員 東 伸一

 

【要点(Point)】
(1)ファッション産業において、QRやSCMといったネットワークモードをベースとした市場調整機構の理念型モデルでは、情報統合による結合利益を達成することが難しい。
(2)市場即応型のマーケティング枠組みでは、消費者のファッション商品購買選択基準の一部にしか対応することができない。
(3)システムとしてのファッションには、本質的な運動目的と副次的な運動がある。このうち、より可視的な要素は後者であり、それが市場対応型のマーケティング枠組みを機能させる原動力となっている。しかしながら、長期的なブランドの育成という目標を考えるときには、前者の運動原理とそれを実現するための流通システムについて熟考する必要がある。

ヤングマーケット動向 第2回 -世界が注目、日本の東京ストリートファッションから-

東京ファッションプランニング株式会社 デザイン・企画カンパニー 社長 山田 桂子

 東レセハン株式会社から、不織布に関する今後の市場展開について、レポートをいただきましたので、ここでご紹介します。

【要点(Point)】
(1)いまや日本を代表するものはマンガ、アニメ、オタクとなった。海外にはない“日本独自の”ストリートファッションが海外からも注目されている。
(2)東京ストリートからエビちゃん風が消えた。猫の目のように激しく、短サイクルで変化していく。これは東京ストリートの最大の特徴だ。
(3)ヤングのファッションタイプは8つあるが、大別すると、ファストフード型とスローフード型に分類することができる。

■新市場・新製品・新技術動向

シリーズ 無店舗販売の可能性を探る 21世紀は、Eコマースの黄金時代となりうるか

フリージャーナリスト 土井 弘美

【要点(Point)】
(1)サブプライムローン問題や原油の高騰で、消費マインドは冷え込み、どの流通チャネルも元気がない。
(2)これに対し、Eコマース関連のチャネルは急速に伸びている。パケット料金(定額制)が普及したため、モバイルの伸びは目覚ましい。更に地上デジタル時代がこれに拍車をかけている。
(3)Eコマースの市場は成長しており、既にトレンドを発信できるまでになっているし、近い将来流通のリーディング的存在になるであろう。
(4)しかし、実店舗とは性質が異なるので、出店には十分研究し、工夫することが必要である。競争も激化している。

■知りたかった繊維ビジネスのキーポイント

80後(バーリン・ホ~)

坂口 昌章 客員研究員 有限会社シナジープランニング代表取締役

■図表解説

トピックスチャート百貨店業界再編 山積する課題

■統計・資料

主要合繊輸出入統計 I.主要短繊維糸・織物の相手国別輸出入統計  1.綿織物輸出  2.純綿糸輸入統計  3.綿織物輸入  4.ポリエステル綿混織物(T/C)輸入 II.主要長繊維糸・織物の相手国別輸出入統計  1.ナイロンフィラメント(N-FY)の輸出 2.ポリエステルフィラメント(P-FY)の輸出  3.ポリエステルステープル(P-SF)の輸出 4.アクリルステープル(A-SF)の輸出  5.ポリエステル長繊維織物の輸出 6.ポリエステルフィラメント(P-FY)の輸入  7.ポリエステルステープル(P-SF)の輸入