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2004年9月1日
繊維トレンド9・10月号 2004 No.48

■海外動向

シリーズ「実践 中国ビジネスの果実と毒 ・・・中国ビジネス成功の秘訣」 第5回 事例で学ぶ中国ビジネス成否のノウハウ 

中国ビジネス研究所 所長 中国弁護士  馬 英華 

【要点(Point)】
(1)ともすれば日本式の管理スタイルや物差しで押し切ろうとしていませんか
・・・原則を曲げずに中国風にアレンジする工夫が大切です。
(2)ローカル幹部の行動をきちんと管理できていますか
・・・彼らの思考パターン・行動パターン、そしてニーズを十分把握すること、更に彼らの前向きな提言を汲み上げ、コントロールしていくことが大切です。
(3)中国人スタッフを管理する時、彼らの面子や誇りを意識し、尊重していますか
・・・彼らへの動機づけの側面に加えて、難しいトラブルが発生しても面子をきちんと立てれば比較的簡単に解決できることもあります。
(4)ローカルスタッフ育成を単なる“スキルアップ”で達成しようとしていませんか
・・・優秀な“評価者”の存在こそが“人材”を育て、企業の競争力を高めるための基本です。

シリーズ「何処へ行くか“世界の市場”化-中国」 第1回開放からWTO加盟まで

日本繊維新聞社 編集委員  森下 敬一

「中国の小売市場は1世紀かかる発展を10年間で成し遂げた」-と言われる。 さて、それは-

【要点(Point)】
(1)1978年開放経済がスタート。タブーに置かれていた小売業に対し1992年、初めて11都市に22の百貨店の開設が認められ、1994年11都市追加、1996年にはイトーヨーカ堂、メトロ(オランダ)の全国チェーン小売業の開放-と緩和が相次ぐ。
(2)これに乗って欧米日系主体の外資小売業199社が認可される(ただし認可ベースをめぐりチェック)。注目は業態の多様化で、百貨店をメーンにチェーン業態が大きく開花。しかもこの業態が市場をリードする主役となる(1995年-1999年の5年間に企業数は250社→1,800社、売上高は150億元→1,500億元、小売市場に占める割合は0.73%→4.8%に、大都市では特に高く、北京は7%、上海は17%)。
(3)チェーン業態のシェアアップは百貨店業態の凋落を意味し、この5年間では倒産や赤字企業の増加など、百貨店業態は再編を迫られる。また、再編の要因ともなった商品の供給の過多=価格下落の悪循環が続く。
(4)1999年、遅れていた卸売業の開放が法文化され、2001年8月に外資第1号として丸紅・上海-百集団の合弁「上海百紅商業貿易(有)」が発足する。また、同時に小売業について出店対象が各省都、自治区首府、直轄市、経済特区まで広げられる。そして2004年、約束通りのWTO加盟3年後、外資小売業は、ほぼ全面的に開放され、中国の流通業は新たな時代を迎えることになる。

下期の市況を読む 

向川 利和 特別研究員 繊維産業アナリスト

【要点(Point)】
(1)世界は空前の高成長にあり、中でもアジアは中国を牽引役として、まさにgrowingcenterである。今年も6.8%の成長が見込まれる。
(2)EUも新規に10カ国が加盟し、EU25になった。新加盟国の潜在力とEU25のインパクトは、ヨーロッパ全体を刺激し、中国を含めたユーラシアダイナミズムを感じさせる。
(3)アメリカは、「双子の赤字」の再拡大で経済にひずみが出ているが、人口増加という活力を下支えする要因をもつ。毎年1%人口が増えるアメリカは強い。
(4)米国の低金利局面の終了で、商品市場に流入する投資マネーが細り、原油高騰も沈静化する見方があったが、原油需要のタイト化が大きな流れとしてあり、下期の原油相場は一段高もありうる展開。
(5)アジアの合繊原料市況、合繊製品市況は、高値膠着状態が続く。高値に追随できないユーザーは、「減産か値上げか」の選択に揺れている。

イタリア繊維産地のビジネスモデルに学ぶ  -いしかわ繊維大学国際ビジネスセミナーから- 

小林 元 特別研究員

【要点(Point)】
(1)石川県の繊維産地は、高付加価値品、高級品のモノづくりを目指して、イタリア・コモ産地と緊密な関係を築いている。
(2)イタリアのモノづくりは「知」を基本にしたプロセスで、内と外の「知」を調和させ、組み合わせることによってイノベーションを行っている。
(3)イタリア・コモ地方の長繊維織物産地も成熟段階に達し、大企業よりも中小企業が元気である。

■国内動向

輸出拡大・・・即商談だけが近道ではない  - ジェトロLL事業を活用したビジネスモデルの可能性 - 

有限会社シナジープランニング 代表取締役 坂口 昌章

【要点(Point)】
(1)日本では、基本的に相手を信用してビジネスに望む。しかし、海外では、信頼関係のない相手とビジネスはしない。「最初に人間関係ありき」であり、人間関係を築くためのパーティや社交からビジネスチャンスを得るケースが多い。
(2)信用できる人間関係とは、「血縁」「同郷」「同窓生」「信頼できる人からの紹介」等であり、どれも利害関係のない場面で関係を結んでいる。こうした関係ができてこそ、初めてビジネスのテーブルにつくことができる。
(3)日本のテキスタイルを輸出するための交流プログラムとしては、第一にデザイナーとの交流(ヨーロッパ、アメリカ、香港、台湾、韓国、シンガポール、タイ、中国等)、第二にアパレル製品の供給基地(トルコ、アルゼンチン等)との交流、第三に今後成長が見込まれる国(BRICs諸国:ブラジル、ロシア、インド、中国)との交流等が考えられる。
(4)国際交流事業を展開するには、公的な支援が欠かせない。ジェトロが行っているLL事業を活用し、ビジネスを前提とした戦略的な国際交流を行うことが有効である。

シリーズ「ファッション・リテイリングの最新動向」 第1回 国内市場の動向 

株式会社小島ファッションマーケティング 代表取締役 小島 健輔

【要点(Point)】
(1)止まらぬ市場縮小と衣料消費ウエート(ファッション係数)の低下
(2)商業立地の構造的変化と商業施設の世代交代や大型化
(3)ファッションビジネスの総SPA化とSPAのマルチチャネル化
(4)グローバル企業とローカル企業た台頭する中、古い殻を破れない既存業態や企業

■新製品・新技術動向

高機能繊維市場の拡大および開発動向 - フッ素繊維とPPS繊維について-

東レ株式会社 機能素材事業室長 池田 政綱

【要点(Point)】
(1)東レは2002年デュポン社からのフッ素繊維“テフロン”買収を契機に、従来東レ・ファインケミカルで行っていた“トヨフロン”の販売機能を統合し、既存のPPS繊維“トルコン”と併せて高機能繊維事業の拡大強化のための組織として機能素材事業室を設置した。
(2)フッ素繊維、PPS繊維の主力用途はバグフィルターであり、東レが“NT21”で設定した今後の成長3領域の一つである環境・安全・アメニティー領域の環境対応事業として、日米欧先進国のみならず中国市場をも視野に入れた活動を強化中である。本年スタートのNT-IIで更なる攻めの体質強化で高収益事業を目指す。
(3)フッ素繊維、PPS繊維ともニッチで高機能という技術集積型素材であり、技術営業が必須であることから、テクニカルマーケティング戦力の育成強化が重要である。

■知りたかった繊維ビジネスのキーワード

インパナトーレ 

有限会社シナジープランニング 代表取締役  坂口 昌章

■統計・資料

主要合繊別・国別・メーカー別設備能力(現状及び増設計画)  I.合繊原料編 

1.カプロラクタム 2.テレフタル酸 3.DMT 4.エチレングリコール 5.アクリロニトリル

II.主要合繊編

1.ナイロンフィラメン 2.ポリエステルフィラメント 3.ポリエステルステープル 4.アクリルステープル  5.レーヨンステープル 6.スパンデックス 7.スーパー繊維