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2010年6月1日
経営センサー6月号 2010 No.123

■特別レポート

『ポスト金融危機と日本の成長戦略

丸紅株式会社 丸紅経済研究所 所長 柴田 明夫

2010 年3 月5 日に開催した繊維産業シンポジウム「北陸産地復活を目指して」(東レとの共催)における丸紅株式会社 丸紅経済研究所 所長 柴田明夫氏の講演をご紹介します。 なお、当日は一橋大学大学院教授 石倉洋子氏、東レ株式会社佐野髙男常務取締役の3人の講師にご講演頂き、石倉洋子氏の講演内容を次号(『経営センサー』7・8月号)、佐野髙男氏の講演内容を『繊維トレンド』5・6 月号で紹介しています。

 

「テスラ」になれなかったGM :「ボルト」で巻き返せるか?

東京大学 総長室アドバイザー 村沢 義久

【要点(Point)】
(1)ゼネラルモーターズはテスラモーターズや三菱自動車工業(株)の10年以上も前に電気自動車「EV1」の開発・発売に成功したが、唐突にキャン セルしてしまった。
(2)そのため、GMは「電気自動車のパイオニア」になるチャンスを逃したが、その技術はテスラ「ロードスター」とGM「ボルト」に生かされている。
(3)GM の今後の巻き返しは成功するか?

■経済・産業

「危機」を経営にどう生かすか -トヨタ、サムスンに見る経営-

高橋 健治 常務理事 特別上席エコノミスト

【要点(Point)】
(1)トヨタ問題はブレーキだけではない。米国における大型車販売不振の情報に関しても経営陣の認識、判断が遅れたのではないか。
(2)現場からの情報発信に対し、経営陣は迅速な対応、リーダーシップが求められる。
(3)韓国のサムスンは、危機をバネに経営改革を断行した。日本企業を分析し、選択と集中、スピー ド化、グローバル化を図ったことが躍進の背景にある。
(4)技術優位にあるわが国企業は、危機を生かし、経営戦略を再構築できるのか。

 

水は産業活性化の起爆剤となるか(前編) -日本の水関連産業の競争力と「和製水メジャー」-

福田 佳之 産業経済調査部 シニアエコノミスト

【要点(Point)】
(1)水は世界的に超過需要の時代が続いており、これを解消するために水道事業の民営化が1990年 代から始められている。民営化当初、英仏の水メジャーの独壇場であったが、2000年代に入って、 米独企業や新興国企業が参入している。
(2)日本の水関連企業は水道事業やプラント建設では存在感はないが、ろ過膜やポンプなどの素材・ 機器分野では強みを持つ。ただし、同分野も新興国企業の参入等を受けて競争が激化している。
(3)水関連素材・機器分野における世界各国の輸出の変動要因を分析すると、中国、韓国、シンガポール、ハンガリーなど新興国の輸出増は競争力の向上に基づく一方、欧米など先進国の輸出増は世 界的な需要の増大によるものと言える。
(4)また、輸出単価を使った分析では、新興国の技術力の上昇が競争力の向上を説明するにしても、すべてを説明できるほど強くはない。実は、水関連素材・機器の輸出増には、多国籍企業や政府の戦略がかかわっている。

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アジアの高成長はいつまで持続するのか ~ 「人口ボーナス」論から見たアジア経済の展望~

株式会社 日本総合研究所 調査部 環太平洋戦略研究センター 主任研究員 大泉 啓一郎

【要点(Point)】
(1)少子高齢化・人口減少はわが国特有の問題ではなく、アジア全域で起こっている問題として考える べきである
(2)出生率の低下が急速であった韓国や台湾などのNIEs、中国やタイでは、人口構成が成長を促進さ せる人口ボーナスの効果はまもなく失われる。
(3)大都市は他地域から人口を吸収し続けるため成長を持続することができるが、地方・農村との格 差は拡大する。

 

新興国市場としての中東地域・日本企業にチャンスはあるか (後編) -中東電機市場の状況と日本企業の中東ビジネス発展へ向けての インプリケーション-

永井知美 産業経済調査部 シニア産業アナリスト

【要点(Point)】
(1)本誌2010 年5 月号掲載の「新興国市場としての中東地域・日本企業にチャンスはあるか(前編)」 では、中東地域が(1)人口増加率が高い、(2)若年層が多い、(3)一定の富裕層が存在し、今 後中間層の増加が見込まれる、(4)(トルコを除いて)地元企業との競合がほとんどない、(5)日 本製品を高く評価している、ことなどから、日本企業にとって有望市場に成長する可能性があるこ とを確認した。
(2)前編では、所得水準が高く人口規模が比較的大きいサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)、 人口規模が大きく、経済成長が期待されるエジプト、トルコの4 カ国を分析対象として、中東地 域の自動車市場の状況を概観した。日本企業は、UAE、サウジアラビアといった所得水準の高い 国では高いプレゼンスを誇っているものの、典型的な新興国市場であるエジプト、トルコでは現 代自動車(韓国)に追い上げられている。
(3)後編では中東の電機市場の状況を概観する。電機市場では、エジプト、トルコはもちろんのこと、 所得水準の高いUAE やサウジアラビアでも、サムスン電子やLG エレクトロニクスのプレゼンス が高い。
(4)韓国メーカーは、現地ニーズを徹底的に研究し、お値打ち品からハイエンドまで幅広い価格帯の製 品を取り揃えて営業攻勢をかけ、シェアを拡大している。日本メーカーは、新興国市場の中間上位 層~富裕層には一定の支持を得ているが、今後市場拡大が期待される中間層からは「高品質ではあ るが値段が高い」とのイメージを持たれている。
(5)中東地域は、現地代理店を通じた販売が主流であること、統計が未発達であるため現地ニーズがつ かみにくいなど、新興国市場特有の難しさもある。
(6)中東地域の電機市場では、Made in Japan は依然として最上位ブランドに位置づけられているが、 市場開拓に本腰を入れている韓国メーカーに対して劣勢に立たされている。日本企業は、現地ニー ズに対応した製品の投入、製品ラインアップ拡充による中間層の取り込み等を図り、失地を回復す る必要があるだろう。

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■視点・論点

機械に負けるな -人間にしかできない仕事をしよう-

ジェイ・ボンド東短証券株式会社 代表取締役社長 斎藤 聖美

■マネジメント

中国企業再編 -企業合併-

望月コンサルティング(上海)有限公司 パートナー 公認会計士 望月 一央

【要点(Point)】
(1)中国においては合併または個別資産負債の譲渡が企業統合の主な手法であり、現状では後者が一般 的である。
(2)中国における合併手続きにおいては、合併当事者、各種当局、債権者債務者の間で様々な手続き が必要とされている。
(3)中国外商投資企業の合併にあたっては中国国内税務だけではなく国外における税務についても注 意を払わなければならない。

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■人材

創発がもたらすリーダーとしての気づき 「新しい経営感覚を磨く次世代経営者育成塾」第7 期生座談会

出席者:ソニー株式会社 杉本 仁志 氏     株式会社ダイメディア 植木 浩美 氏     東レ株式会社 佐々木 康次 氏     郵便事業株式会社 小池 信也 氏 司会:東レ経営研究所 小西 明子 取材・写真:東レ経営研究所 内藤 陽子

【要点(Point)】
(1)次世代のあるべき経営者像を模索するリーダーには、業務を離れた幅広いテーマに接し、議論する 経験が大きなヒントを得る機会となる。
(2)単なる「ノウハウ」ではなく、自身の体験に基づき現場感をもって「志」「パッション」を語る講 師が受講者を惹き付ける。
(3)答えのないテーマについてとことん考えることで、今後直面する課題解決にあたっての引き出し を増やすことができる。
(4)異業種だからこそお互い本音で意見をぶつけ合う中で「創発」が生まれ、今までになかった視点を 得られる。

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■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 

「マネーストック」「都市鉱山」

■お薦め名著

『ハーバードビジネススクール』 不幸な人間の製造工場− HBS のMBA 実体験と改革への提言−

フィリップ・デルヴス・ブロートン 著 岩瀬 大輔 監訳・解説 吉澤 康子 翻訳

■ズーム・アイ

使ってみたい言葉

繊維調査部 安楽 貴代美

■今月のピックアップちゃーと

職業としての国家公務員 どこが魅力? ~やりがいはあるが、仕事のスケールはそれほどでも・・・~

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