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2018年8月1日
経営センサー7・8月号 2018 No.204

■今月のピックアップちゃーと

インテルとサムスン電子が首位交代~メモリー価格高止まりでメモリー・メーカーが躍進~

■産業経済

地域で進むオープンイノベーションによる新製品・新事業創出の動き

理事 産業経済調査部長 チーフエコノミスト 増田 貴司

【要点(Point)】
(1)本稿では、地域におけるオープンイノベーションの取り組みが増えている背景を考察した後、地域で企業がオープンイノベーションによる新製品・新事業の開発に取り組んでいる事例について紹介する。続いて、第4次産業革命による企業行動・産業立地の変化を踏まえた地域活性化策のあり方について考察し、最後に地域における企業のオープンイノベーション推進と地域活性化策のポイントを示したい。
(2)地域経済の持続的な活性化のためには、内発型の発展を実現することが課題であり、そのためにはオープンイノベーション推進が重要である。
(3)実際に、地域においては、企業間連携や産学官連携を進め、オープンイノベーションによる新製品・新事業の創出に取り組んでいる事例が数多くみられる。本稿では、①愛媛県における炭素繊維関連事業創出に向けた連携、②リンカーズ(株)のサービスを活用したオープンイノベーション事例、③(株)リバネスが支援している地域におけるオープンイノベーション事例、④郡山市における中小企業のオープンイノベーション事例、について紹介する。
(4)第4次産業革命期に生じる企業行動・産業立地の変化を踏まえれば、地域経済活性化策として地域における企業のオープンイノベーションを促進することが不可欠である。その際、個々の企業を支援する視点よりも、オープンイノベーションが生まれるネットワーク構築を支援する視点が重要である。
(5)日本の地域活性化策に挑戦的な手法が導入された(2017年7月施行された地域未来投資促進法、同年12月に経済産業省が公表した「地域未来牽引企業」)。支援対象企業候補をデータから地域の牽引度合を分析して選定することや、応援すべき主体を国が選んで公表することなど、これまでにない政策が動き始めた。
(6)オープンイノベーションと地域産業活性化策の要諦としては、「事業を創る」発想の重要性、有能なコーディネーター(コミュニケーター)の重要性、地場中小企業で見られる新規事業創出意欲、大学を核としたイノベーションのエコシステムの可能性、町工場とベンチャー・大企業をつなぐイノベーション拠点の可能性、素材産業クラスターの可能性、等を挙げることができる。

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■世界情勢

「一帯一路」構想の展開と日本への示唆

日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所 上席主任調査研究員 大西 康雄

【要点(Point)】

(1)「一帯一路」構想は、外交政策であるだけでなく、「中所得国の罠」に対応した新しい対外経済政策、経済構造転換政策でもある。
(2)経済的効果として期待されるのは、第一にインフラ整備による産業集積形成であり、第二に中国からの直接投資増加である。
(3)提起後5年が経過し、中国と援助・投資受け入れ国の思惑の食い違いや既存の多国間枠組みとの調整など課題も顕在化している。

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■技術・業界展望

プラスチックを"サーキュラー化"する試みは成功するか? ―エレン・マッカーサー財団の取り組みからプラスチック循環化の可能性を考える―

繊維・市場調査部 主席研究員 岩谷 俊之

【要点(Point)】

(1)プラスチックと繊維という、二つの素材をターゲットに資源循環化を進める英国のエレン・マッカーサー財団(E.M.財団)。そこには資源枯渇という問題だけではなく、プラスチックの環境漏出や海洋汚染に対する強い危機感がある。
(2)一方、中国が廃棄物輸入規制を設けたことで欧州のプラスチック廃棄物は“売り先”を失った。欧州が廃プラスチックであふれる前に循環利用を推し進める必要に迫られた欧州当局はプラスチック循環化の政策目標を発表。この動きは上述のE.M.財団の目指す方向と完全に重なるといってよい。
(3)E.M.財団は世界のエクセレント・カンパニーと次々パートナー関係を構築。パートナー企業はプラスチック循環利用に向け、新しい技術開発・製品投入を活発に進める。
(4)海洋投棄プラスチックを原料にスポーツシューズやフォーマルウエアを作る"アップサイクル"などの事例はまだ量的な影響力は少ないが、大手企業が取り組むことによる業界影響力・社会影響力は大きい。プラスチック循環化の拡大はプラスチックサプライチェーンそのものも変えていく可能性を秘める。

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産油国が協調減産を緩和、原油相場の先行きは小幅上昇へ

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 調査部 主任研究員 芥田 知至

【要点(Point)】

(1)産油国は2017年1月から協調減産を開始したが、当初は、石油在庫が高止まりし、減産の延長・再延長へと動いた。
(2)2018年は、協調減産による需給引き締まりに加え、地政学リスク要因が支援材料となり、ブレント原油は一時80ドルをつけた。
(3)米国の対イラン制裁が需給引き締め要因だが、米シェールオイルの増産傾向が続き、原油相場は緩やかな上昇にとどまろう。

 

世界1位の「バイオ製薬会社」に飛躍したギリアド・サイエンシズの行方

日本化学会フェロー 田島 慶三

【要点(Point)】

(1)長年、世界2位の「バイオ製薬会社」であったギリアド・サイエンシズ社(以下、ギリアド)は、2014年にアムジェン社を追い抜いて世界1位の「バイオ製薬会社」に躍り出た。しかし、飛躍の原動力であったC型肝炎薬の治癒率が高いために市場が急速に縮小するという予想外の事態に直面している。
(2)創業当初から他の大手製薬会社との提携やバイオベンチャーの買収など、外部資源の有効活用を図るという特徴ある経営をギリアドは行ってきた。
(3)ギリアドは、効果的な治療法のない疾患に対する革新的な治療薬の開発に果敢に取り組んできた。2000年代半ば以降は抗ウイルス薬が売上高の9割前後を占めている。経営陣が選択した、抗ウイルス薬以外の新分野を開拓できるか否かの岐路にあ

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■マネジメント

リ・ポジショニングとパーセプションチェンジ ―シーブリーズの事例から―

東京富士大学大学院 経営学研究科 教授 井原 久光

【要点(Point)】

(1)リ・ブランディングとはブランド再生のことで、少なくとも「リ・ポジショニング」と「パーセプションチェンジ」が含まれる。
(2)リ・ポジショニングとは「ブランドのポジショニングを変えること」であり、しばしばターゲットの変更やブランド・コンセプトの変更を伴う。ここでいうポジショニングとは「心の空白地帯にメッセージや名称やイメージを送り届けること」である。
(3)パーセプションチェンジとは「パーセプションを変えること」である。ここでいうパーセプションとは「知らず知らずのうちに"そういうものだ"と思い込んでしまっていること」で、人々が「重要と考えていない」からこそマーケターにとって重要である。

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【連載】「働き方改革」は「仕事の進め方」改革―その実践的方法(第1回/全2回) ホワイトカラーの労働生産性向上3つの観点

株式会社ロゴ 代表取締役社長 津曲 公二

【要点(Point)】

(1)残業規制や有給休暇取得促進など法制度の改革が急ピッチで進んでいる。法制度の整理・再編は必要なことであることは疑いない。民間企業としては、日本的勤労観に頼り過ぎて、改革を先送りしてきたツケがきている。
(2)ビジネスのグローバル化はますます組織人材の構成を様変わりさせている。日本人の勤労観・労働観も変化してきた。上司または部下に異動があっても、明日から仕事が円滑に進むような普遍的な仕事の進め方が求められる。そのための共通言語的な存在として、プロジェクトマネジメント(PM)がある。
(3)わが国には、仕事の進め方において自主・自律をベースにした独自のカルチャーがある。例えば、わが国の製造現場で定着している5S活動などを活かすことができる。わが国にぴったりしたスジの良い活動に取り組む必要がある。

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■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード

「GDPR」「核酸医薬品」

■お薦め名著

『2050年の技術』英『エコノミスト』誌は予測する

英『エコノミスト』編集部 著 土方 奈美 訳

■ズーム・アイ

日本人ですが、それは存じません

繊維・市場調査部 岩谷 俊之

唐突ですが、経営センサー読者の中で「アキバフクロウ」といわれて「ああ、それ知っています」と言える方はどの程度おられるのでしょうか。ちなみに、私は全く知りませんでした。