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2001年5月1日
経営センサー5月号 2001 No.30

■経済・産業

株式市場は低迷を抜け出したか -株価下落の要因、市場活性化策を考える-

高橋 健治  産業経済調査部長チーフ・エコノミスト

 昨年4月以降、株式市場が下落したのは、ナスダックに連動してハイテク株が下落したこと、外国人投資家が売り越しに転じたこと、景気が鈍化に向かうことを先見したことなどが背景にあった。政府・与党は、4月、緊急経済対策として株式市場活性化策を決めたが、金庫株、取得機構などは透明性確保の面で慎重な運営が望まれる。幸い、株式市場は、3月中旬から、ナスダック離れし、低迷を抜け出す兆候が出てきた。これを本格回復につなげるには、株主優遇税制の整備とともに、経済構造改革を進めることが必要である。

今度こそ不良債権問題は快方に向かうのか -不良債権最終処理策のポイントと実現可能性-

増田貴司  産業経済調査部主任研究員シニアエコノミスト

 不良債権の最終処理が日本経済の最重要テーマに浮上している。4月6日に発表された緊急経済対策でも、不良債権問題の解決が重要な柱とされ、最終処理の具体的な数値目標と期限が設定された。  これにより、日本経済は、ようやく不良債権の抜本処理に向かうスタートラインに立った。しかし、まだ総論が示されただけで、その実現のためには、(1)最終処理を装った「先送り」の防止策、(2)生かす企業・潰す企業を誰が選別するか、(3)コスト負担の議論の詰め、(4)最終処理が経済に及ぼす衝撃に対する国民の理解、(5)痛みを緩和する施策の充実、といった残された課題をクリアしなければならない。  不良債権最終処理の促進策は、「短期的には景気にマイナスだが、長い眼でみた日本経済再生のためには避けて通れない道」という点で橋本財政改革に似ている。橋本財政改革の失敗と同じ轍を踏むことのないよう、周到に進める必要がある。

欧米化学業界 -「選択と集中」の経営戦略に基づき、大規模な再編が進行-

永井知美 産業経済調査部 産業アナリスト

 住友化学工業と三井化学は2004年3月末に完全統合する。系列を超えた再編劇の裏側には、欧米化学企業の大規模な事業再編と規模拡大への危機感がある。欧米化学業界では、80年代半ばの米モンサントの事業再編を皮切りに大規模な再編が進展、業界地図が塗り変わった。「選択と集中」と呼ばれる経営戦略に基づき、事業分野の絞り込み・規模拡大のためのM&Aが繰り返され、収益力・株主保有価値の向上が図られてきたのである。主要企業の事業戦略の方向性としては、「総合型」、「ライフサイエンス型」、「スペシャルティケミカル型」、「石油化学型」に大別できる。

知っていますか?「リバース・モーゲージ」

競争力回復には「市場」に強い博士を - ジャーナリストから見た日本の技術 -

日本経済新聞社 論説副主幹 西岡 幸一

■マネジメント

わが国のM&Aの動向と今後の展望 

株式会社日本M&Aセンター 常任顧問 菅谷 健二

 近年我が国でもM&Aが注目され最近では重要な経営戦略として定着しつつある。特に企業を取巻く環境の変化と法制度の改正・整備により従来はほとんど活用されていなかった欧米流のM&A手法、LBOやMBO等の活用によるM&Aが増加傾向にあるほか、敵対的TOBも出現しており、我が国のM&A事情も大きく変化しようとしている。以下に我が国のM&Aの現状と将来の展望について概観してみたい。

ISO9001:2000の新しい概念  -プロセスアプローチの原則で審査はどう変わるか-

山下 重二 客員研究員   ISO9000 JQA/JRCA/IRCA登録主任審査員 ISO14000 JQA/CEAR登録審査員

 "プロセス"および"プロセスのネットワーク"の考え方は、1994年版のISO9001-1の中で、すでに述べられていましたが、今回の2000年版の改訂で、"プロセス"および"プロセスアプローチ"が重要な概念として、前面に出てきました。 本報では、ISO9001:2000ファミリー(9000,9001,9004)において"プロセスアプローチ"について何を求めているか、またそれに伴い、審査はどう変わるかについて、現状をまとめました。

■人材

素直な心で真実を見よう -自己変革への原体験「組織革新研究会」への参加を通じて-

守村 太郎 人材開発部 研究員

 私は2月に、職場の先輩からの強力な薦めで「組織革新研究会」へ参加した。この研究会は、ソニーの元常務取締役、故・小林茂氏がソニーでの体験をもとに発足した研究会で、テ‐マは「人と組織の変革」である。30年の歴史を持ち、過去に36,700人が参加しており、東レからも従来100人以上の方が参加している。  参加者は、4泊5日の研修の中で「S-20」という仕事モデルへの乗り組みを通じて、さまざまな「気づき」を得て、変革への途を見出していく。「S-20」とは、皆様もご存知の「歩行ラリー」(こま地図を持って、チェックポイントを求めて屋外を歩き回る方式)がより緻密に改良されたものである。

予備校に人材育成の原点を見い出す

酒巻 洋行 人材開発部長

 受験界のSKY戦争は益々激烈である。Sは駿河台予備校、Kは河合塾、Yは代々木ゼミナールで、首都圏をはじめ全国各地で受験生獲得に鎬を削っている。その中でも河合塾の事業戦略は多面的で、受験予備校のイメージを越えている。人材作り事業にもかかわらず、国の支援はなく、市場原理を基本に事業戦略・工夫は教育事業として予備校が一番進んでいると思われる。  学習塾・予備校の99年度売上高は8,300億円であった。その中で公文教育研究会についで2位のシエアをしめるのが河合塾である。あと代々木ゼミナール、栄光、市進と続く。  現在の我が国は、「教育ビッグバン」と呼ばれる大変革期の到来を迎えており、市場原理に基づいた教育の地殻変動が現れている。文部科学省答申では「塾との共存」「学校の補完」など学習塾の存在意義についての見解が示され、民間教育機関への期待が高まっている。市場では少子化、不況下での教育費抑制、教育プログラムの多様化、個別化への対応、顧客満足への充足などサービス業としての認識の高まりがある。従来にはなかったきめ細かい対応、ネット思考の教育システムの導入など従来の教育のイメージを根底から揺さぶる波が押し寄せている。名古屋市千種区の河合塾を訪ねてみた。  河合塾は1933年の河合英学塾に始まる。戦後のベビーブーム世代が就学年齢に達した1960年代から1970年代にかけて飛躍的に発展した。その後「情報のシステム化」に力を注ぎ、1970年代後半に入り東京を始め全国展開を行った。受験生の量的拡大に支えられてきたが、1992年度にピークを迎えた受験人口はその後減少に転じ、事業も質的充実が要求された。河合塾のいくつかのユニークな事業戦略を見てみよう。

反省は成長の糧 

古宮 達彦

■統計

1.日本の経済成長率 2.経済活動別の国内総生産(名目)  3.経済活動別の就業者  4.国内主要産業動向(鉱工業生産/卸売物価/消費者物価/貿易/原油/為替/百貨店/量販店/自動車/VTR/カラーTV/パソコン/半導体/住宅着工/機械受注/公共工事着工) 完全失業率(全体、性別)/完全失業率(年齢別)/有効求人倍率/完全失業率(地域別)  

■TBRの広場

参加者募集「TBR高分子材料・加工ビジネス戦略研究会」