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2010年6月9日
新興国市場としての中東地域
日本企業にチャンスはあるか(前編) 
~中東の市場としての特性と自動車市場の状況~
チーフアナリスト
永井 知美

・金融危機後、新興国市場への関心が高まっている。だが、中国・インドへの関心の高さに比べ、中東地域への注目度は低かった。日本企業にとって中東諸国は産油国、あるいは政治的動乱の続く遠い国々であり、市場として見る向きは少なかった。 ・だが、中東地域は、(1)人口増加率が高い、(2)若年層が多い、(3)一定の富裕層が存在し、今後中間層の増加が見込まれる、(4)(トルコを除いて)地元企業との競合がほとんどない、(5)日本製品を高く評価している、などの特徴もあり、日本企業にとって有望市場に成長する可能性がある。 ・中東地域は経済格差が大きいことから、どの国のどのような消費者をターゲットとするのか、明確にする必要がある。本稿では、所得水準が高く人口規模が比較的大きいサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)、人口規模が大きく、今後経済成長が期待されるエジプト、トルコの4ヵ国を分析対象とする。 ・中東4ヵ国の自動車市場を見ると、所得水準の高いUAEとサウジアラビアでは、日本の自動車メーカーのプレゼンスが高いものの、所得水準の高くない(つまり、典型的な新興国市場である)トルコ、エジプトでは韓国メーカーに押され気味である。韓国メーカーは、現地ニーズを徹底的に研究し、「値段の割には高品質」を武器にシェアを拡大している。 ・日本メーカーは、新興国市場の中間上位層~富裕層には一定の支持を得ているが、今後市場拡大が期待される中間層からは「高品質ではあるが値段が高い」とのイメージを持たれている。日本製品に寄せられている高い信頼を保ちつつ、新興国市場の中間層でも手の届く製品の投入を急ぐ必要があるだろう。

【キーワード】

新興国市場、中東地域、人口増、中間層拡大、日本製品、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、トルコ、エジプト、自動車市場、現代自動車、韓国車、中国車、新興国市場戦略のジレンマ

PDF : TBR産業経済の論点 No.10-06(748KB)