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2014年11月1日
経営センサー11月号 2014 No.167

■今月のピックアップちゃーと

「日本の1日」は4年前とどう変わったか? ~増えない男性の育児・家事時間、女性の歩数は大幅増~

■経済・産業

今なぜ異業種コラボレーションなのか ―高まるイノベーション創出効果への期待―

産業経済調査部門長 チーフエコノミスト 増田 貴司

【要点(Point)】
(1)最近、異業種とのコラボレーション(協働)によって新たな価値の創出を図る企業の動きが活発化している。
(2)コラボレーションが増加した背景には、①コモデイティ化の速度が速まったため、製造業企業は「モノからコトへ」の発想転換が必要になったこと、②「つながる経済」化が進み、異業種間競争が頻発する時代になったこと、という二つの潮流がある。
(3)自社単独の力ではイノベーションを実現できない場合が増え、コラボレーションによるイノベーション創出が企業に必須の技能になりつつある。
(4)歴史をひもとけば、異なる業種・分野の知識の導入、応用によって革新が生まれたケースが数多く見られる。
(5)異業種とのコラボレーションによってイノベーションが生まれやすい理由の一つは、業界の常識や慣行にとらわれず、自社のビジネスを広い視野から俯瞰して捉え、自社がいる階層の上位の階層まで意識することができるようになる点が挙げられる。
(6)異業種間のコラボレーションには、「業界の常識は他業界の非常識」というギャップを埋める形で新結合が生まれ、イノベーションにつながるというメリットがある。

PDF : 詳細(PDF:1,424KB)

■アジア・新興国

2014年5月クーデター後のタイ ―経済社会改革の加速に期待―

独立行政法人 日本貿易振興機構 アジア経済研究所 研究企画部 主任研究員 今泉 慎也

【要点(Point)】
(1)2013年からの政治混乱は2014年5月の国軍のクーデタでいったん終息。今後、軍主導の暫定政権のもとで民政復帰の前提となる新憲法の起草が行われるが、選挙制度や政治腐敗防止等をめぐって各勢力に隔たりがある。
(2)他方、クーデタ後の暫定議会は法案審議が加速するため、経済的・社会的に重要な改革が進む可能性が高い。とくに成長に伴う格差拡大が問題となるなか暫定政権は税制改革などに意欲を示している。

■業界展望

クアルコムの知財戦略 ―3G携帯端末の知財を押さえて急成長、目下の懸念材料は中国との泥仕合―

産業経済調査部門 シニアアナリスト 永井 知美

【要点(Point)】
(1)インテル(米)、サムスン電子(韓国)に次ぐ世界第3位の半導体メーカーであるクアルコム(米)は、2013年、世界の半導体市場が伸び悩む中、半導体売上高を前年比31%増と大きく伸ばした。
(2)クアルコムの高成長を支えているのは、第3世代携帯端末関連の知財群である。「スマホのインテル」の異名を持ち、スマートフォンの心臓部、アプリケーションプロセッサーで世界シェアの過半を占めている。
(3)鵜飼の鵜匠よろしく、世界の端末メーカー、半導体メーカーが稼いだ金を吸い上げているクアルコムだが、難敵が現れた。中国である。同社のCDMA(符号分割多元接続方式)関連技術を使用した企業からライセンスフィーやロイヤリティーを徴収しようとするクアルコムに、中国の国家発展改革委員会が、独占禁止法に抵触する可能性があるとして調査を開始した。
(4)クアルコムは、CDMAという画期的技術を基盤に業容を拡大したこともあり、日本では技術志向の企業と見られることが多いが、同社の本質は「何が売れるか」を最優先で考えるマーケティング・カンパニーである。
(5)日本メーカーが、稼ぐ仕組みづくりに長けた同社から学ぶべき点は多い。

PDF : 詳細(PDF:1,329KB)

■視点・論点

手段と目的のはき違え

ジェイ・ボンド東短証券株式会社 代表取締役社長 斎藤 聖美

女性活用の真の意味 発電プラントに使われるモーターやタービンなどを製造する東芝京浜事業所を見学した。「ものづくり日本」、ここにありと感動した。作るものが大きいだけに、敷地も建屋も広大、天井も高く、大型クレーンがいくつもつるされていた。

■マネジメント

世界最大級のプロフェッショナルネットワーク「リンクトイン」の事業展開 ―リンクトイン・ジャパン代表代行インタビューをもとに―

リンクトイン・ジャパン株式会社 日本オフィス代表代行 杉本 隆一郎 〈企画・取材・執筆〉 経営センサー編集部 石川 裕子

【要点(Point)】
(1)リンクトインは、ビジネス特化型SNSで、個人のプロフェッショナルはもちろん、法人向けに採用・広告マーケティングなどのサービスを行っている。
(2)日本でもパナソニックや楽天がグローバル採用のプラットホームとして活用している。
(3)今後はリンクトインを使った「ダイレクトリクルーティング」が採用活動の主流となるだろう。

自律型人財を育む組織風土づくり ―自ら手を挙げ協働する生き生きした組織集団を目指して―

HRDアソシエイツ代表 人財育成アドバイザー 前田 恒夫

【要点(Point)】
自律型人財を育む組織風土づくりに肝要なこと
(1)従来型の「組織中心型人事機能」から「個人の成長重視型人事機能」へのパラダイムシフト
(2)経営トップの役割と責任:厳しい経営環境下でも、組織風土改革との覚悟での中長期的な取り組み
(3)社員の役割と責任:上司を巻き込んだ、主体的な仕事の取り組みと自己研鑽の下での多様な仕事の計画的な取り組み
(4)マネジャーの役割と責任:部下の強みや主体性を生かした多様な成長機会の提供と支援
(5)社員の自律的成長と組織活性化を目的とする支援体制づくりと運用、および社員意識調査による定点評価

■人材

人材育成の視点 東レ経営研究所MOT研修シリーズ(第24回) 全期合同同窓会「T-MOTマスターフォーラム(宮木塾)」例会 「非常時のリーダーシップ」

衆議院議員 復興副大臣 元山古志村村長 長島 忠美 氏 講演録 企画: (株)東レ経営研究所 シニアリサーチフェロー MOTチーフディレクター 東京農工大学大学院 工学府 産業技術専攻 ゲスト講師 宮木 宏尚 記録: フリーランス・ライター (株)東レ経営研究所 特別研究員 山崎 阿弥

【要点(Point)】
自律型人財を育む組織風土づくりに肝要なこと
(1)非常時のリーダーは、「何を?」「いつまでに?」というような明確かつ具体的な目標を示さなければならない。「掛け声」だけでは、全員と目標の共有化をし、本気で立ち上げさせることはできない。目標を共有しない限り困難を耐え忍べない。
(2)被災者に対しては、「してあげる」という気持ちではなく、「一緒にやろう」という気持ちで接しないと心を開いてはもらえない。「自分でできることは自分でやる」という気持ちが、困難から立ち上がる力を生む。
(3)非常時のリーダーは、実務面だけでなく精神面での心配りの余裕が重要。人と人との輪をつなぎ留め、心を一つにすればいつかは困難を乗り越えられるという意識を生むことが最も重要である。

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 

「タイプラスワン」 「バラスト水」

■お薦め名著

『ブーメラン』 ―あなたの内に秘むギリシャイズム―

マイケル・ルイス 著 東江 一紀 訳 藤沢 数希 解説

■ズーム・アイ

遊んで学ぶ財務

調査研究・コンサルティング部門 繊維調査担当 森本 有紀

「財務」「会計」(以下、財務という)などと聞くだけで、なんとなく嫌な気分になる人は多い。その手の学習からずっと逃げ続けている人、果敢に立ち向かったものの負けた人がそういう気分になるのだろう。当然、私もその1人であった。