close

2021年7月28日
【論点シリーズ】No.21-06
2050年の日本のカーボンニュートラル実現は可能か
- 原油価格の動向と日本の脱炭素化の動き -
部長(産業経済調査部)
 チーフエコノミスト
福田 佳之

・2020年における原油価格は世界的な新型コロナウイルス感染の影響で激しい動き。20年11月以降、1バレル40ドル前後で推移していた油価は上昇へ。主要産油国の減産継続や米国の大型景気対策の発動もあって21年6月には70ドル台に突入。中期的には上流開発投資の削減が原油供給を不安定に。 ・シェールオイルの生産は伸び悩む。背景に金融機関などによる温室効果ガス排出削減への要請。気候変動対策を重視する米国バイデン政権の登場が影響。 ・世界各国で2050~60年にかけて二酸化炭素(CO2)排出量実質ゼロを目指すというカーボンニュートラル実現に向けての動きが目立つ。日本も菅首相が20年10月に2050年カーボンニュートラルの目標達成を表明し、21年4月には2030年時点のCO2排出量について2013年度比46%削減目標を明らかにした。こうした世界各国の動きの背景には、再生可能発電の普及が進み始めたことがある。 ・経済産業省は第6次エネルギー基本計画策定の議論を進めており、2050年の電源構成目標を参考値として示した。それによると、再生可能発電5~6割、水素(H2)・アンモニア(NH3)火力発電1割、その他火力・原子力発電3~4割としている。そして2030年の電源構成については再生可能発電36~38%、原子力発電22~24%、従来火力発電41%、水素・アンモニア火力発電1%としている。むろん日本のカーボンニュートラルに向けた2030年、2050年への道は遠く、またその道のりはいばらの道である。 ・日本のカーボンニュートラル目標達成に向けての議論をたどる中で、いくつか疑問が生じる。こうした疑問について、4つの論点にまとめてQ&A形式で解説した。 ・2030年はさておき、2050年の日本のカーボンニュートラルの実現は民間企業の事業参入と展開のダイナミズム次第と考えており、こうした民間の動きを政府などが支援できるかどうかにかかるだろう。

【キーワード】

原油価格(WTI)、新型コロナウイルス、バイデン政権、OPECプラス産油国、シェールオイル、イラン制裁、米国EIA、上流開発投資、損益分岐点、カーボンニュートラル、再生可能エネルギーによる発電(再生可能発電)、均等化発電コスト(LCOE)、第6次エネルギー基本計画、水素・アンモニア火力(カーボンフリー火力)、CCUS(二酸化炭素回収・利用・貯留)、調整力、送電線、FIT制度、電化、新電力、営農型太陽光発電、ノンファーム型接続、水素キャリア、カーボンプライシング

PDF : TBR産業経済の論点 No.21-06(1,100KB)