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2020年9月10日
【論点シリーズ】No,20-08
米国の石油化学分野のシェール革命は、中国の石化工場増設と循環経済の進展に左右される恐れも 
―原油市場と米国石油化学産業の動向―
部長(産業経済調査部)
 チーフエコノミスト
福田 佳之

・原油価格(WTI)は、5月以降、上昇している。産油国の減産実行に加えて、新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動を制限していた先進国や新興国で経済活動を再開させたことによるところが大きい。 ・その後、原油価格は6月下旬から9月にかけて1バレル40ドル台前半のボックス圏で推移している。原油需要が供給を上回る状況ではあるが、新型コロナの再流行の恐れが油価の上値を抑えており、50ドルを超えて上昇する局面ではない。 ・シェール革命は米国のエチレンプラントの大規模建設をもたらした。同建設は2017年から20年にかけて実行され、20年8月時点では本格稼働しており、生産されたポリエチレンなどの誘導品は世界各地域に向けて輸出される。なお中国の関税引き上げの影響は小さかった。ただし、米中対立の激化で中国がエチレンプラントを増設して自給体制の構築に向かえば米国の石化産業は大輸出先を失うこととなるだろう。 ・長期的には、循環経済(サーキュラーエコノミー)の進展でシェール由来のプラスチックの需要減少が懸念される。

【キーワード】

WTI、新型コロナウイルス、OPECプラス産油国会合、IEA、シェールオイル、シェール革命、エチレンプラント、米中貿易摩擦、循環経済(サーキュラーエコノミー)、ケミカルリサイクル

PDF : TBR産業経済の論点 No.20-08(777KB)