close

2005年5月1日
経営センサー5月号 2005 No.72

■経済・産業

依然見えない土地デフレの出口 -局地的熱狂の都市部と下げ止まらない地方との二極化進む-

増田 貴司   産業経済調査部長チーフエコノミスト 

【要点(Point)】
(1)2005年の公示地価で大都市圏の地価底入れが鮮明となり、地方圏でも下落率が縮小したことから、土地デフレの終息が近いとの見方が浮上している。
(2)大都市圏の地価が反転・上昇する一方で、多くの地方都市では下落に歯止めがかかっておらず、二極化が依然として進行している。
(3)大都市圏の地価上昇の背景には、機関投資家による不動産投資の活発化、REIT等の不動産証券市場の拡大と不動産投資の構造変化がある。
(4)今回は不動産市場全体にバブルが波及するような状況ではないが、局地的に過熱している都市部の地価については、早晩行き過ぎ部分の調整が予想される。
(5)今の日本では不動産が供給過剰で余っているほか、減損会計の強制導入が企業の不動産売却を促進しているため、全般的な土地デフレの出口はまだ見えない。
(6)今の地価下落はバブル崩壊が原因ではなく、経済社会の構造変化によるものである。
(7)日本の脱土地デフレの道は依然として遠いことを十分に認識すべきである。

攻め寄せる韓国・中国勢、対抗姿勢を固める日系企業 -ASEAN地域で活動する日系企業の現状と展望(前編)-

福田 佳之  産業経済調査部 エコノミスト

【要点(Point)】
(1)1990年代後半からASEAN地域で活動する日系企業の外部環境に二つの変化が生じている。一つは、韓国、中国系企業のASEAN地域での勢力拡大であり、もう一つは、中国沿海部の投資環境悪化に基づく一極集中リスクの高まりである。
(2)韓国・中国勢の台頭には、日系企業は、ASEAN域内での効率的な分業体制を再編するとともに、域内統括拠点の設置、マーケティングや研究開発の強化、世界的な輸出拠点の構築を行って対抗している。

進化するホームロボット -ロボット技術の新たな挑戦-

株式会社東芝 研究開発センター研究主幹   松日楽 信人

【要点(Point)】
(1)ロボットの応用は特殊環境から生活支援など身近な環境へ移行している。特に情報化、少子高齢化、セキュリティ応用としてホームロボットが注目されている。
(2)ホームロボットは先端要素技術の集合体であり、インターフェースを中心にオープン化、ネットワーク化されることで、新市場創出の期待が高い。
(3)ロボットを普及させるには環境も同時にデザインすることが重要であり、標準化の他に法制度なども整備する必要がある。

■視点・論点

「政策を変える力」を企業は持っている

元日本経済新聞社 北米総局長 内閣府・市場開放問題苦情処理推進会議 専門委員   宮智 宗七

【要点(Point)】
(1)行政の過剰規制を防ぐ手段として発足しながら、十分に機能しなかった「パブリック・コメント」制度を再生させる兆しが出ている。
(2)契機の一つを在日アメリカ商工会議所が作った。日本の市場開放を積極的に進めようとする持続的で強い関心と努力が結実した。
(3)「民間=企業には政府の誤りを糾す権利がある」との信念がその行動を支えた。民主主義が市場経済の健全性を担保するというのは本当である。

■マネジメント

セイコーエプソンにおける知財業務改革

株式会社セイコーエプソン 知的財産本部 知財企画管理部 部長   真関 優

【要点(Point)】
(1)セイコーエプソンは創立以来、知的財産活動を重視し、出願権利化とともに自社・他社の権利を尊重してきた。
(2)数年来、知財業務改革に積極的に取り組んでいる。会社全体の業務改革に呼応して、ベテラン技術者の知財転換をドルフィン活動と称して展開する一方、ペーパーレス化など知財管理業務の合理化も推進している。

■人材

「その気」から「本気」へ ~やる気を原動力に夢を実現する~

渕野 富士男   取締役 人材開発部門長

【要点(Point)】
(1)やる気(意欲)は価値創造の源泉である。やる気は成果を左右する。夢や目標の実現に向けて、やる気をさらに探究する。
(2)一口にやる気といっても、「その気」「やる気」「本気」のレベルがあると考える。その「やる気圧」(レベル)の構造を解説する。
(3)やる気を持続するには?「その気」から「本気」に高めるにはどうしたらよいか?その方法を考察する。

人事歳時記 第八回 -「籾殻」のついた人材の発芽-

酒巻 洋行  特別研究員 主任講師

 東京よりも一足早く初夏を感じさせる沖縄に行ってきた。首里に住む友人が今年の秋にも関東に居を移す予定というので、その前に現地で会っておこうと思って出かけた。そして目の前に広がる沖縄の澄んだ青い海を眺めて見ながら、少し歴史に浸った。沖縄島の北西面が接する海は、東シナ海である。そこを太平洋最大の暖流海流で、「黒瀬川」とも呼ばれる黒い藍色をした黒潮が走っている。

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード  「REIT(不動産投信)」「生分解性プラスチック」

■お薦め名著

『失われた景観』 松原 隆一郎 -国土開発の虚構としての景観-

■ズーム・アイ

絶滅する専業主婦

田川 卓司

 「ちょこキャリ」という言葉をご存知だろうか。専業主婦が趣味や特技を生かして仕事をすることを言うのだそうだ。40代専業主婦を対象とした光文社のミセス誌「STORY」(月刊20万部)とその姉妹誌で30代専業主婦を対象とした「VERY」(月刊31万部)の中で、料理、お菓子、フラワーアレンジメント、アクセサリー作りなど同世代の女性たちの間で人気の高い趣味の教室やサロンの主宰者が、読者モデルとして毎号のように登場し、そのファッションや生活スタイルが紹介されている。

■今月のピックアップちゃーと

客離れ進む百貨店衣料品  ~堅調なSPA売上高と低迷続く百貨店衣料品売上高~

■TBRの広場

新しい経営感覚を磨く 「創発塾」のご案内