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2005年10月1日
経営センサー10月号 2005 No.76

■経済・産業

予防医療の真髄 -予防医療は人と日本経済を変える-

東京大学医学部付属病院22世紀医療センター 健診情報学講座 教官 HCCヘルスケア・コミッティー株式会社 代表取締役社長 古井 祐司

【要点(Point)】
(1)日本人の死因の3分の1を占める心筋梗塞、脳卒中などの「生活習慣病」が、多くの場合に予防できることは意外に知られていない。
(2)わが国でも専門家が立ち上がり、現在、企業健保組合などを支援する形で有効な予防プログラムを組合員へ提供し、効果を上げ始めている。
(3)危機的なわが国の公的医療保険制度。健康に責任が持てない人は、将来はペナルティーを受けることもあるのかも。

今後の景気の焦点は設備投資の持続力 -攻めの投資に乗り出す企業、リスク要因は原油高・円高・米住宅バブル-

増田 貴司 産業経済調査部 チーフ・エコノミスト

【要点(Point)】
(1)9日本経済は、IT関連の在庫調整終了に伴い、踊り場を脱出し、再浮上している。
(2)企業部門の明るさが家計部門に波及している。ただし、家計の所得改善ペースが緩やかなため、個人消費は景気の下支え役にはなるがリード役にはならない。
(3)景気回復の持続性を決める最大のポイントは、企業の堅調な設備投資計画が今後も維持されるかどうかという点である。
(4)このところ設備投資が堅調なのは、短期的な景気サイクルが上を向いたからではなく、中期的な増加トレンドに入っているためである。企業は、生産性向上のための更新投資、将来の競争力強化のための「攻め」の投資に乗り出している。
(5)日本経済は、今後も民需主導で緩やかに拡大を続け、2005年度、2006年度とも2%近辺の成長率になると予想される。
(6)先行きのリスク要因は、原油高、円高、米国の住宅バブル崩壊の3点である。
(7)一般個人にとっても、資産保全のために長期金利を注視し的確に予測することが重要な時代がやってきた。

石油資源は枯渇するのか?新エネルギー実用化の見通しは? -世界エネルギー需給の超長期的展望-

早稲田大学 講師 土本 皓二

【要点(Point)】
(1)世界のエネルギー消費は2030年に1.7倍、2100年には3倍前後になると予測されるが、少なくとも2030年頃までは資源構成比に顕著な変化はない。
(2)石油類似資源を含めれば今世紀中に「石油」が枯渇することはないが、2050年前後には生産量のピークを迎える可能性が高い。
(3)新エネルギーは今後増加し、当面は補助的・補完的な役割を担う程度であるが、2050年から2100年頃には主役になると期待される。
(4)資源枯渇化と価格高騰の時代に向かい、資源小国・日本にとって、新エネ・省エネを含めたあらゆるエネルギー分野での技術開発が不可欠である。

■視点・論点

不動産の流動化・証券化の健全な発展と投資家の役割

ストラクチャードファイナンスコンサルタント 永田 国幸

【要点(Point)】
(1)不動産は自らの「所有」に代わって投資家に協力を得、「利用」する考え方が浸透し、2004年度不動産証券化は7.5兆円と過去最大規模。
(2)証券化の健全な発展の鍵はリスクマネーを提供するエクイティ投資家の資金協力と証券化商品に対する鋭いリスク判断能力に期待。
(3)一方、当該不動産商品には将来価値の向上策が求められ、不動産の「アセットマネジメント」という価値を創造する「経営」が必須。
(4)投資家としてはこの「アセットマネジメント」の経営能力を見抜く、目利きが肝要。この能力次第でリスク量と利回りが変わる。

■マネジメント

「やってみなはれ」で不可能を可能に

サントリー株式会社 先進技術応用研究所 主任研究員 水谷 正子

【要点(Point)】
(1)バラには青色色素に必要な遺伝子(青色遺伝子)が存在しないため、これまで青いバラの開発は不可能だと言われてきた。
(2)遺伝子組み換えを含むバイオテクノロジーを駆使して他の植物から取得した青色遺伝子をバラに導入。
(3)開発に当たっては、工場設備の先進性は無論、事業所全体で、経済・環境・社会の面で社会的責任を果たしていくことを目指した。
(4)パンジー由来の遺伝子がバラで機能することを発見し、バラに青色遺伝子を導入するシステムを改良した。
(5)サントリーは2004年6月、青色色素デルフィニジンを持ち、バイオテクノロジーを用いた「青いバラ」を世界で初めて開発することに成功した。

中国における企業集団財務公司設立の意義(下)

望月コンサルティング(上海)有限公司 董事長 公認会計士 望月 一央

【要点(Point)】
(1)企業集団財務公司の経営範囲
(2)金融機構としての企業集団財務公司の設立要件及び運営条件
(3)企業集団財務公司における支店または連絡事務所の設立

新「会社法」のあらまし 第3回

弁護士 松崎 曻

1.計算関係 会社の計算に対する新会社法による改正内容は、資本3原則の合理化(緩和)と、これを補う趣旨でのディスクロージャーの拡充ということができる。

■人材

アントレプレナーシップを育てる企業文化 -戦略経営資源としての企業文化をどう設計するか- 

株式会社コンセプトワークショップ 代表 佐藤 修

【要点(Point)】
(1)時代に合わせて自己変革していく企業のダイナミズムを高めていくために、アントレプレナーシップを育てていく企業文化づくりが、これからの経営にとっての戦略課題になってきている。
(2)多様な情報と異質な価値観との触れ合い、それらに触発された発想の転換と自由闊達な話し合いが、社員のアントレプレナーシップ(起業家意識)を育てていく。
(3)アントレプレナーシップを高めた社員が、思い切り能力を発揮し、成果をあげていくためには、事業戦略や組織制度とつながった、実体のある社員支援型の企業文化が必要である。

・上級MOT短期集中「戦略的技術マネジメント研修」第3期のお知らせ ・関係会社向けソリューションセールスプロセス講座のご案内

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 「資源外交」「公益通報者保護法」

■お薦め名著

『技術経営の挑戦』 -技術経営の新たな指針を示唆- 寺本 義也/山本 尚利 著

■ズーム・アイ

日本人よ何処へゆく

深津 孝男

 ちょっと大袈裟かも知れないけれど、日本人の行く末に何とも言い難い危惧の念を抱いている人が少なくないのではないだろうか。  歴史的に振り返ると、日本人にとっての激動期は、古くは縄文人社会に弥生人が襲来してきて混合文化である稲作&畑作の農耕文化が根づいたとき。7世紀の遣隋使に始まる中国文化の輸入と日本独自文化への昇華('漢字'という知的財産を無償?で譲り受けたとも言える)。次いで国内的には武家政治の始まりと暫くしての鎖国と続く。

■今月のピックアップちゃーと

もう、みんな持っている? ~息切れ気味の新・三種の神器~

■TBRの広場

2005年度特別講演会開催のご案内