close

2015年8月3日
経営センサー7・8月号 2015 No.174

■今月のピックアップちゃーと

一大ブーム到来「ふるさと納税」 ~問われる自治体の経営センス~

■経済・産業

円安進行による国内生産シフトは限定的か ―製造業の国内回帰と日本企業の立地戦略―

産業経済調査部門 シニアエコノミスト 福田 佳之

【要点】
(1)
円安などを受けて製造業の国内回帰への関心が高まっている。ただし、統計で確認されたのはつい最近になってからである。
(2)
現在生じている国内生産のシフトは、円安進行による逆輸入の採算悪化が関係しているものが多い。日本の製造業の立地戦略は原則として地産地消を掲げており、為替変動が及ぼす収益の悪影響を防ぐため、世界的な生産配分調整の一環として、機動的に国内生産を高めているにすぎない。
(3)
一方、海外の労働コスト上昇の克服などを目的とした国内回帰事例も見られるが、少数派である。
(4)
今後も円安の進行による国内生産のシフトは限定的である。ただし、3Dプリンターの普及や政府の製造業支援によっては、生産・投資の国内回帰が大規模に進む可能性もある。
(5)
生産の国内シフトが日本経済の人手不足に拍車をかけることが懸念される。国内経済の活性化には、サービス産業など労働力不足業種への省力・省人化投資だけでなく、女性や外国人など、新しい労働力の持続的な投入が不可欠である。

PDF : 詳細(1394KB)

■アジア・新興国

ASEAN経済共同体構築の進捗と日本企業

亜細亜大学アジア研究所 教授 石川 幸一

【要点】
(1)
ASEAN経済共同体(AEC)の最も重要な目標である市場統合は、欧州経済共同体(EEC)とは全く異なり、統合のレベルと範囲は経済連携協定(EPA)に類似している。
(2)
ASEANが公表した進捗率は90.5%である。関税撤廃など国境措置は実現するが、非関税障壁撤廃やサービス貿易自由化など国内措置は遅れている。2015年末は「通過点」であり、2016年以降も自由化は継続される。
(3)
日本企業はAECの自由化措置の恩恵を受けることができる。ただし、サービス貿易と投資では、ASEANで実質的に事業を行っているという条件がある。

■業界展望

未来型ライフサイエンスビジネスを切り拓く扉を開けるために

バイオディスカバリー株式会社 代表取締役 一般社団法人日本分析機器工業会(JAIMA) 先端診断イノベーション担当アドバイザー 岩瀬 壽

【要点】
(1)
バイオサイエンス研究の歴史は20世紀後半で急速に進歩しました。ヒトゲノム解読宣言後、世界では何が起きているのでしょうか。
(2)
ライフサイエンスという言葉の中に、私たちはどんなビジネスを考えられるのか、または最初の扉はどうすれば開くのでしょうか。。
(3)
分析計測、材料科学、精密工学、IT科学が今大きく世界を変貌させ、かつライフサイエンスビジネスでは、それが始まったばかりです。

■視点・論点

創発型戦略と学習型戦略

東洋学園大学大学院 現代経営研究科 教授 井原 久光

経営戦略論では計画型戦略論が主流を占めている。だが、創発型戦略論というものもある。このタイプの戦略は、企業の一貫した行動を後から解釈したものである。例えば、ミンツバーグ(Mintzberg, H.)は、①意図した戦略と②パターン(一貫した行動)として実現した戦略に分け、当初に意図しなかった戦略が実現したパターンを「創発型(emergent)」戦略と呼んでいる。これは、創発型戦略の一つの定義である。

PDF : 詳細(1101KB)

■マネジメント

ビジネススクールの今日までそして明日から

青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科 研究科長 教授 岩井 千明

【要点】
(1)
ビジネススクールの本質的な使命より良い世界を築く地球市民としての人材育成である。
(2)
黎明期の1990年代から今日までわが国のビジネススクールは時代とともに変化を続けてきた。
(3)
明日は一層の多様性と国際化が必要である。我々はそのために変わらないものと変えるべきものを選択し自己変革しなければならない。

■ワーク・ライフ・バランス

女性活躍支援 ~魅力あふれる女性リーダー特集~ 地元と密接につながり、「愛される駅」を目指す

東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本) 目白駅 駅長 前田 美也子 氏 聞き手 ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部長 宮原 淳二 ライター フリージャーナリスト 土井 弘美

【要点】
(1)
「びゅうプラザ」からスタート、王子駅の助役を経て目白駅の駅長へとステップアップ。
(2)
仕事は社員の人材育成と売上目標の達成。特に売上目標の達成のため、社員と一丸となり、さまざまな形で情報発信する。
(3)
「地域に愛される駅」を目指し、付近の学校や機関ともコラボレーション、開業130周年イベントなどを盛り上げる。

■人材

東レ経営研究所MOT研修シリーズ(第25回) 全期合同同窓会「T-MOTマスターフォーラム(宮木塾)」例会 国際情勢の読み方

講演抄録 日米協会会長、前駐米特命全権大使、上智大学・慶應義塾大学特別招聘教授 藤崎 一郎 氏 企画: (株)東レ経営研究所 シニアリサーチフェロー MOTチーフディレクター 東京農工大学大学院 技術経営研究科 ゲスト講師 宮木 宏尚 記録: フリーランス・ライター 山崎 阿弥

【要点】
(1)
国際情勢を読み解くとき、「心理」「力」「時間」という三つのエレメントから考えることが重要である。
(2)
国際情勢は、日々それほど大きく動くわけではない。新聞雑誌などマスコミ情報、識者の見解などをうのみにするのでなく、上記の三つのエレメントからじっくり考えてみると、ある程度の方向は見えてくる。

 

東レ経営研究所MOT研修 全期合同同窓会「T-MOTマスターフォーラム(宮木塾)」活動報告紹介 T-MOT通信 No.1

【通信 第1号】「T-MOT通信」では、(株)東レ経営研究所主催 上級MOT 短期集中「戦略的技術マネジメント研修」および「名古屋経営塾」の全修了生からなる同窓会「T-MOTマスターフォーラム(宮木塾)」の活動について紹介します。研修終了後も期を越えた異業種交流と生涯の友垣づくりと共に、MOT研修だけでは足りない次世代の企業リーダーに求められる幅広い教養を養う各種講演会や勉強会を開催しています。

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 

産業経済調査部門

「中国経済の「新常態」」「セルロースナノファイバー(CNF)」

■お薦め名著

『「Gゼロ」後の世界』 ―リーダー不在の世界をどう生きるか―

イアン・ブレマー 著 北沢 格 訳

■ズーム・アイ

「休息」を考える

調査研究・コンサルティング部門(産業技術担当) 黒澤 幸子

近年、仕事を行う上で「休息」が重要視されている。背景には、うつ病をはじめとした、精神疾患の罹患者の増加や、労働基準法を度外視した、いわゆるブラック企業の実態の露呈等が挙げられるが、有給休暇消化率の管理に奔走したり、プライベートの状況を気にして「失恋休暇」なるものを設定したりする企業まで出てきている現状はいささかやり過ぎな感が否めない。