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2014年12月1日
繊維トレンド11・12月号 2014 No.109

■特別レポート

繊維学会 創立70周年記念事業 -日本繊維業界における要の役割を担う-

繊維調査部

繊維学会は、2013年に創立70周年を迎え、記念事業として記念式典・記念講演会・記念祝賀会、国際シンポジウムISF2014、新繊維技術展示会を開催した。また、この記念事業では、更に記念出版として英文書籍の刊行が予定されている。 ここでは、2014年9月28日から10月1日にかけて、東京都江東区有明のビッグサイト東京ファッションタウンビルにて開催された各事業について紹介する。

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■ファイバー/テキスタイル

Made in Italyを製品価値の証しとする戦略 -フィレンツェ2015/16秋冬ピッティイマジネフィラティ展示会から-

株式会社インテグレード 代表取締役社長 欧州繊維専門月刊誌『Twist』 在日特派員 永松 道晴

【要点(Point)】
(1)この展示会の基本コンセプトは素材から完成品まで生産を地元で完結することだ。デニムイタリアーノと名付けて地元の紡績、生地メーカー、縫製メーカーが連携してMade in Italy の旗印の下にデザイナー、デニム生地とアクセサリーをそろえて出展している。
(2)かつて地元欧州の特産品でもあった繊維製品の生産を極東から欧州に戻す流れが出てきて、「Made In ○○」ラベルが最高級ゾーンでトップ品質の価値ある商品の証しとして復活してきている。
(3)この流れは英国でも顕著となってきて、Let's Make It HereなるウエブサイトがUKFT(英国ファッション・テキスタイル協会)によって立ち上げられ、小売店が地元のメーカーを簡単に検索できる仕組みが出来つつある。
(4)厳しい冬に備えて獣毛を使った暖かくて快適な製品が多く展示され、へアリー(毛羽があるような)な表面効果とボリューム感を持たせるために特にモヘアとアルパカが注目されている。
(5)トレンド色は冬の季節にしては非常に明るめで、ホワイト・イエロー・ピンクなどパステルカラーにブラウンやワインレッドがアクセントとして使われている。ファッションの全分野でトレンドとなっているデニムを反映してダークブルーからブライトなコバルト色にまでブルーを基調とした色にも人気が集まっている。

グローバルな繊維の動向と展望 -原料から製品まで-

テキスタイルジャーナリスト 米長 粲

【要点(Point)】
(1)世界の繊維生産と消費需要は堅調に伸びている。特にアジアがその推進力になっている。
(2)不振であった綿繊維も中国を中心に回復する兆しであるが、在庫高が需給バランスの重しになっている。
(3)世界の繊維交易は先進国と途上国の生産すみ分け等で増進している。
(4)化合繊維の高性能、高機能化は日欧米を中心に鋭意進められ、これらが繊維の需要をさらに押し上げ、世界全体としてみれば繊維産業の将来は明るい。

世界の繊維品貿易動向 - 2013 年の世界の繊維品貿易は過去最高を更新-

日本化学繊維協会 業務調査グループ 主任部員 鍵山 博哉

【要点(Point)】
(1)2013 年の世界の繊維品貿易額は7,662億ドルと過去最高を記録した。
(2)主要国の繊維品輸出をみると、中国、インドのほか、ベトナム、バングラデシュ、カンボジアなどアジアを中心とする低コスト国の好調な伸びが繊維品貿易の拡大を支えた。
(3)2009年以降、世界の繊維品貿易構造に変化がみられる。すなわち、拡大するFTAネットワークやEU等の先進国の特恵関税の変更といった通商環境の変化、中国の繊維品輸出は拡大しているものの、日欧米の輸入市場ではそのシェアは低下していること、アジア域内の繊維貿易の拡大などである。

■縫製/アパレル

インドのアパレル産業 -巨大な国内市場-

専修大学 経済学部教授 内川 秀二

【要点(Point)】
(1)インドのアパレル産業は輸出を伸ばすとともに、急成長している国内市場向けにも生産している。
(2)大企業の多くは輸出か国内の高級品市場に供給している。小企業は大企業の下請となるか、国内の低級品市場に供給している。
(3)今後インドに進出を検討する場合は、既に参入している国際的ブランド企業との競争を前提にどのセグメントに入っていくかが重要な戦略となる。

各国さまざまなASEAN 繊維産業 -日本の衣類調達先として存在感を増す-

日本貿易振興機構アジア経済研究所 貧困削減・社会開発研究グループ 明日山 陽子

【要点(Point)】
(1)過去5年間、中国からベトナム、インドネシア、ミャンマー、カンボジア、タイといったASEAN諸国へ、日本の衣類調達先が一部シフトしつつある。
(2)一口にASEANの繊維産業といっても、各国さまざまであり、製品アイテムによって生産に適した場所は異なるだろう。
(3)近年の急速な賃金上昇に見合う生産性上昇を実現できるか、素材の現地調達比率をどれだけ上げられるか、がASEAN繊維産業に共通する課題といえる。

中国の衣料品の輸出入に関して

株式会社フランドル 上海事務所 所長 篠原 航平

【要点(Point)】
(1)2013年の時点で中国は世界最大の輸出国であり、世界第2位の輸入国である。
(2)衣料品においては、輸出は世界最大であるが、輸入は15位である。しかし輸入金額は急速に伸びている。
(3)品目別で見ると、輸出ではニット・カットソー衣類の比率が最も高く、輸入では布帛衣類の比率が最も高い。
(4)衣料品の6カテゴリー別で見ると、輸出先、輸入元の大半は欧米やアジアの先進国である。しかし増加率ではアジアの新興国に勢いがある。
(5)輸出入におけるアジアの成長国へのシフトはこれからますます強まる可能性がある。

安全・安心な繊維製品を世界に -これからの世界基準“CSR& コンプライアンス”-

エコテック・ジャパン株式会社 取締役会長 近藤 繁樹

【要点(Point)】
(1)将来、世界の消費者に対して安全・安心を担保するために、製品のサプライチェーンに関わる企業のそれぞれに企業責任がある。
(2)担保の内容は、企業の社会的説明責任、化学物質に対する人体への影響の把握、環境保全に対する取り組みにある。
(3)メイド・イン・ジャパンを世界に売り出すには、それぞれの工程分野における国内メーカー間の繋がり責任を誇示できるかである。

■小売/消費市場

ノームコアの日本市場における可能性 -ファッショントレンド用語として浮上した「ノームコア」-

東京ファッションプランニング株式会社 デザイン・企画カンパニー 社長 山田 桂子

【要点(Point)】
(1)「ノームコア」という言葉がトレンド用語となっている。ノーマル(=普通)とハードコア(=中核)を合わせた造語で、「究極の普通」という意味となる。2014年2月にNYのトレンド予測集団K-ホールがニューヨークマガジンで発表した。
(2)2014年春夏のストリートでは、ひざ下丈のトレンチコート、ひざ丈のフレアースカート、メンズライクなシャツやシャツワンピース、ボーダーTシャツ、ロゴ入りスエットなど、ノームコア的なベーシックがヒット商品となった。
(3)日本のファッション市場を踏まえ、ベーシック、スポーツ、ミニマル、ガーリーの4方向から「ノームコア」を分析したが、「ブランドやトレンドを着て自己主張をせず、普通の服を着て自分を魅力的に見せる」というマインドの部分は大きく異なっている。
(4)日本における「ノームコア」は一過性の現象であると考えられる。ただし、メンズにおいては、実用性、機能性の高い服を志向する流れが強いため、影響力が継続していくだろう。

■知りたかった繊維ビジネスのキーポイント

現代繊維機械発達史攷 -「機械」「電子」「情報」三位一体の時代に-

ダイセン株式会社 「繊維ニュース」記者 宇治 光洋

■統計・資料

主要商品市況

1. 原油  2. ナフサ  3.PTA 4.EG 5. カプロラクタム 6. アクリロニトリル 7. ナイロンフィラメント、同織物 8. ポリエステルフィラメント、同織物 9.ポリエステルステープル 10. アクリルステープル、同紡績糸 11. 綿花 12. ポリエステル綿混(T/C)紡績糸および織物