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2009年12月1日
経営センサー12月号 2009 No.118

■特別レポート

世界経済はどうなるのか

東レ経営研究所では、10月13日、経団連会館にて、「『日本の改革』-経済、企業、個人の視点から-」と題し、2009年度特別講演会を開催しました。本号では、東京大学大学院経済学研究科教授、総合研究開発機構(NIRA)理事長伊藤元重氏の講演をご紹介します。

■経済・産業

金融危機後、「国際競争力」はどうなったか ―ランキングの変動から見えるもの―

高橋 健治 常務理事 特別上席エコノミスト

【要点(Point)】
(1)金融危機後の国際競争力ランキングを見ると、日本は経済の落ち込みが大きいにもかかわらず若干上昇した。低下したのは主として中小国。
(2)日本が1993年までランキング1位を続け、それ以降、米国が1位を続けたのは、いずれもバブルの影響で競争力が過大に評価されていたからである。
(3)日本の競争力はかつての1位から24位まで大きく低下したが、バブル時の過大評価とその後の過小評価が影響、実体は5~6位→10数位程度の低下であろう。
(4)アイスランドなど、かつてランキングの上位にあった中小国の低下が目立つ。中小国の競争力は一時期、実体以上に過大評価されていた。
(5)日本経済の落ち込みは、米国向け大型自動車の輸出急減が主因である。当面、輸出は厳しい環境が続く。

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2010年世界経済を読み解く10のキーワード  ―企業は潮流を見極め、大胆なかじとりを―

福田 佳之 産業経済調査部 シニアエコノミスト

【要点(Point)】
(1)本稿は2010年の世界経済の動向について、キーワードを抽出しながら解説するものである。2010年単年の世界経済動向を取り上げるというよりは、その後数年程度の流れにも配慮した。
(2)まず、2010年世界経済の動向と攪乱要因を分析する。次いで、ポスト京都議定書の交渉について思い切った進展があると予想し、それに関連した材料を提示した。最後に、東アジア経済の構造を変化させる二つの動きに注目し、韓国や台湾などアジア企業の活動がこれらの構造変化を取り込んで東アジア経済を成長させると展望している。
(3)次の10点が2010年世界経済を読み解くキーワードである。企業はこれらの世界の潮流を見据えた対応と戦略を講じていくべきであろう。
①原油・商品バブル ⑥ボゴール目標
②貧困問題 ⑦市場品質
③ポスト京都議定書 ⑧「サンドイッチ現象」からの脱却
④排出権取引制度 ⑨チップセット
⑤官民連携 ⑩プラットフォームビジネス

PDF : 詳細(PDF:1,164KB)

旅行業界の現状と課題 ―ビジネスモデルの転換迫られる旅行会社、「観光立国」の行方は?―

永井 知美 産業経済調査部 シニア産業アナリスト

【要点(Point)】
(1)2008年9月の金融危機以降、低迷していた旅行需要は、5連休と日並びの良かったシルバーウイーク効果もあり、2009年9月の出国日本人数が約4年半ぶりの2ケタ増となるなど、底打ちの兆しを見せている。
(2)旅行、観光は日本では「遊び」のイメージが強く、軽視されがちだが、旅行消費額は2007年度で23.5兆円と意外に大きく、運輸業・宿泊業など他産業への生産波及効果も大きい。2008年10月には観光庁が発足、ビジット・ジャパン・キャンペーンの展開、規制緩和などで訪日外国人旅行者数増加を目指している。
(3)旅行需要はこのまま回復軌道に乗るのだろうか。中国を中心とするアジアの旅行熱の高まりを、日本はうまく取り込めるのだろうか。「若者の旅行離れと先行き不安のシニア層」「インターネットと旅行業界」「中国人旅行者と訪日観光」の3つをキーワードに、旅行業界の現状と対応を見ていきたい。

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■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 「iPS細胞」「潜在成長率」

■視点・論点

企業経営と文化の効用(第4回) ―科学技術と文化的背景―

谷川ヒューマン・テクノ研究所 代表  谷川 孝博

自然科学は最も普遍的な学問で、文化や思想の影響を受けないというのが一般的な通念である。特に日本の現在の教育では、あらゆる教科が全く相互の関連性を持つことなく分離されており、それぞれの科目が独立の知識を詰め込んでいる。したがって、物理でガリレオやニュートンを知っても、彼らがつくり出した力学の歴史的、文化的背景を学ぶことはまずない。物理学は論理性中心で、その背景にある歴史や思想、あるいは哲学などは全く無縁な学問としてこれまで教えられている。

■マネジメント

環境マネジメント成功事例集ー問題意識から利益の創出へ  企業を強くする「環境経営」  ―環境対応と利益創出を同時に実現させる方法―

株式会社リコー理事・技師長社会環境本部本部長 谷達 雄氏 インタビュー

【要点(Point)】
(1)リコーグループは90年代前半から本格的に環境問題に取り組み、製品の徹底したリサイクルを実現した。現在では製品リユース、部品リユース、材料リサイクル、原料化などによって、99%以上がリサイクルされ、焼却・埋め立て処分されるものは平均0.5%にすぎない。
(2)更に2050年までに省資源、温暖化防止、汚染予防の各項目を8分の1にまで削減することを目標として掲げている。
(3)この中ではCO2の削減が最も難しく、目標達成のために生産ラインをコンパクトにして対応、大きな成功をおさめた。
(4)環境経営は、環境問題に取り組むと同時にコストダウンを実現して利益を創出させること。この実現にはトップの高い意識と、全社に高く掲げた目標が不可欠。

中国におけるIFRS導入の状況

望月コンサルティング(上海)有限公司 パートナー公認会計士 望月 一央

【要点(Point)】
(1)中国においてはIFRSへのコンバージェンスが進められており、今年9月に中国財政部がコンバージェンスへ向けたロードマップを公表した。
(2)中国会計基準とIFRSとの同一性評価について、当初2009年1月までを経過期間として条件付きで認めるものとされていたが、当該経過期間について2011年末まで延期されることになった。
(3)中国においては、2011年までに“中国企業会計準則”とIFRSの差異調整を完了し、当該準則を今後も継続的に適用することを前提として、コンバージェンスを実現するものとされている。

■ダイバーシティ&ワークライフバランス

海外のワークライフバランス 前編

ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長  渥美 由喜

【要点(Point)】
(1)ワークライフバランスに関する国際比較調査を見ると、「不満は大きいが、あきらめてしまっている」という日本の状況は、世界的に見てかなり特異だ。
(2)諸外国の取り組みを見ると、英米型はワーク軸が強く、欧州大陸型はライフ軸が強い。日本は英米型よりも更にワーク軸が強い。
(3)国の負担で企業にコンサルタントを派遣する英国の仕組みを真似て、日本も今後5年で5,000人のワークライフバランスコンサルタントを養成する予定だ。

■お薦め名著

ローマの哲人セネカの言葉 -生き難い今の日本人に生を与えるセネカ-

中野孝次著

■ズーム・アイ

ディズニーの魔法でキツネになった人

人材開発部 福田 貴一

ディズニーランド、ディズニーシーを合わせた東京ディズニーリゾート(TDR)への入園者数は本年4月~9月の半年間で1,230万人を超え、過去3位の記録だったそうです。依然として根強い人気です。東レ経営研究所は、TDRがある駅(舞浜)の隣駅の近くにあります。そのため、朝の通勤時は“夢と魔法の王国”と言われるディズニーの世界へ向かう人たちと、夜はそこから帰ってくる人たちと、同じ電車に乗り合わせるのが常です。

■今月のピックアップちゃーと

社会問題化した薬物汚染 ~増える覚せい剤密輸、若者に広まる大麻~

産業経済調査部

■TBRの広場

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