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2011年5月1日
経営センサー5月号 2011 No.132

■特別レポート

21世紀の産業革命 -1.「上から経済」の曲がり角-

東京大学 総長室アドバイザー 村沢 義久

【要点(Point)】
(1)20世紀は、政府、中央、大企業主導のサプライサイド・エコノミー(「上から経済」)の時代であった。
(2)その代表が電力と自動車である。どちらも国民に多大な恩恵をもたらしてきたが、電力は原発問題で、自動車は昨年のトヨタのリコール問題などでほころびが目立つようになってきた。
(3)20世紀型「上から経済」が今大きな転機を迎えている。

■経済・産業

東日本大震災は日本の製造業に何をもたらしたのか -3・11後のものづくりの課題-

増田 貴司 産業経済調査部長チーフ・エコノミスト

【要点(Point)】
(1)東日本大震災の被災地は、基幹部品・素材の工場の集積地だったため、直接被害を受けなかった地域においても、これら部材を原材料として使うセクターで広く生産や経済活動に支障をきたした。
(2)震災によって、日本の製造業のビジネス環境は構造的に悪化した。具体的には、(1)電力供給の制約、(2)法人減税の見送り、(3) TPP(環太平洋経済連携協定)への参加検討先送り、(4)大地震再来への備え、(5)放射能汚染の懸念、安全・安心の日本ブランド低下とインフラ輸出への打撃、などによって企業が日本に生産拠点を置く場合のコストとカントリーリスクが高まり、「ものづくり日本」のブランドが傷ついた。
(3)新興国市場の開拓や立地分散のために、今後、企業の海外生産シフトが加速することは避けられない。しかし、東北・北関東に数多く立地する基幹部品・素材の工場に関しては、海外シフトを安易に進めるべきでない。東日本が基幹部材の「世界の工場」としての地位を失えば、地域の雇用が減少して経済活力が低下するばかりでなく、日本のものづくりが競争力を失ってしまう。
(4)震災で生じた部品や素材のサプライチェーンの寸断が長引けば、世界のメーカーは日本製部品に依存することにリスクを感じ、代替調達先への切り替えを検討する。製造業の空洞化回避のため、国を挙げてサプライチェーンの修復を急ぐべきである。
(5)持続的な雇用を生み出す産業が地域に育って初めて、復興が実現する。今回の国難を転機として東北・北関東を再生し、新しい日本を創ることを表明した復興ビジョンを早急に打ち出す必要がある。
(6)復興のシンボルとなるテーマを掲げ、内外から優良企業、優秀人材、投資マネーを呼び込むことが重要である。

PDF : 詳細(PDF:1,345KB)

■業界展望

会計も「開国」すべきか -国際会計基準の最近の動向と日本の対応(上)-

永井 知美 産業経済調査部 シニアアナリスト

【要点(Point)】
(1)企業活動に多大な影響を及ぼす会計基準が、大きく変わる可能性がある。金融庁企業会計審議会は、2012年をめどに、上場企業の連結財務諸表に国際会計基準(IFRS)を強制適用するかどうかを判断することになっている。
(2)IFRSが「エスペラント語」から有力基準になったのは、EU が域内上場企業の連結財務諸表にIFRS 適用を義務付けたことを契機とする。新興国を中心にIFRS の容認・適用が進んだほか、IFRS と距離を置いていた日本、米国も自国基準とIFRS とのコンバージェンス(収斂)を行っている。
(3)IFRSの特徴は原則主義、資産負債アプローチである。IFRS と米国の会計基準設定主体のコンバージェンス等により、今後IFRS の内容が大きく変わる可能性があることにも留意する必要がある。
(4)2000年代以降、広がりを見せていたIFRS を取り巻く国際情勢に、最近変化が見える。米国が早期適用を取り下げたほか、中国、インド等新興国も様子見やコンバージェンス延期に転じている。

PDF : 詳細(PDF:1,274KB)

■視点・論点

そんなの不公平だ!

ジェイ・ボンド東短証券株式会社 代表取締役社長 斎藤 聖美

赤坂の道を歩いていたら、クシャクシャの紙が目に入った。取り上げたらそれは5 千円札だった。厄介なものを拾ってしまったと、拾った途端に後悔した。警察に届けたって絶対に落とし主が出てくるはずはない。かといって、何の良心のとがめもなく「ラッキー!」と自分の財布に入れてしまうことはできない。どうしよう。しかたない。どこかの団体に寄付するか。 会社に戻って、この結論を話したら、一斉にブーイングを浴びせかけられた。善良な市民は警察に届けるべきである、というのが全員一致の意見だった。それではいくらなら届けないでいいのか、と議論が発展して、なかなか楽しい息抜きになった。

■マネジメント

中国ビジネスと在庫管理 -電子部品などのハイテク生産財を中心に-

浦上アジア経営研究所 代表 浦上 清

【要点(Point)】
(1)「ビジネスの激戦区・中国」における厳しいビジネス競争を戦うためには企業のたゆまぬ業務革新が不可欠であり、業務革新によるコストの削減が企業の大きな経営課題である。
(2)在庫管理は、中国進出企業の基幹業務のなかで最も難度が高い業務の一つであると同時に、大きなコスト削減効果が期待できるという意味で重要な業務分野である。
(3)本稿では、電子部品などのハイテク生産財に焦点を当て、中国の日系企業における在庫管理の問題点と実務遂行上の留意点について述べる

PDF : 詳細(PDF:1,508KB)

■人材

人材育成の視点 次世代経営者への期待 -『思い』を大切にする経営-

プロミス株式会社 顧問 松本 睦彦

【要点(Point)】
(1)銀行員として、また、経営者として、企業合併・再編、金融自由化に伴う業務改革への挑戦、企業不祥事への対応など、数々の修羅場を経験してきた。
(2)その中で、組織の長として課題・現状をしっかり認識し、メンバーにメッセージを発し、「目指すべきこと」への「思い」をお互いに共有することを大切にしながらやってきた。
(3)いかに組織の構成員が「思い」を共有できているかが組織の強さを左右する。
(4)発するメッセージの一つの言葉、一つの文章の区切り方にも徹底的に拘り、また誰にでも伝わる平易な言葉で「熱く」「しつこく」メッセージを発し続けることが重要。また、メッセージがどのように受け止められているかをフォローすることも肝要。
(5)仕事は皆でやるものだ。仕事を成し遂げたときに、携わった全員がそれぞれに「俺がやった!」と思えるような組織運営が理想。

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 

「管理フロート制」「スマートシティ」

■お薦め名著

『組織行動論の実学』 -企業の健全性は「再起力」にあり!-

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部 編訳

■ズーム・アイ

通勤電車でのストレス解消術

川野辺 幸夫 企画管理部

会社員にとって通勤電車はどのような場所なのでしょうか。 2009 年11 月にある調査機関が会社員約2,800名を対象に調査した「通勤電車でのすごし方」のアンケート結果は、次の通りでした。(複数回答) 

■今月のピックアップちゃーと

台頭する新興国の水道会社

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