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2021年5月7日
【TBRカナリアレポート】No,21-03
民間調査機関が予測する2021年度日本経済の特徴
3.9%と高成長、昨年度の大幅マイナスからの反動とワクチン普及の効果による
部長(産業経済調査部)
 チーフエコノミスト
福田 佳之

 2021年3月9日の2020年10~12月期四半期別GDP速報(2次速報値)の発表(前期比2.8%、同年率11.7%)を受けて民間調査機関は日本経済見通しを発表しています。21年1月8日に首都圏など11都府県に緊急事態宣言が再発出され、日本経済に与える影響が懸念されています。ただし、今回の発出が及ぼす日本経済への影響は昨春の初回の発出時ほどではないとしています。昨春の発出時は個人消費だけでなく、生産や輸出も減少しましたが、今回は生産や輸出は堅調に推移しています。業種別にみても、外食や小売りなどの非製造業は打撃を受けていますが、製造業は堅調に推移しています。したがって、3月21日に緊急事態宣言の再発出が解除されて21年度に入るころには日本経済は再び回復軌道に乗り、高めの成長を続けると予想されています。  民間調査機関11社による21年度の日本経済の実質GDP成長率見通しは平均して3.9%となっています。この21年度の成長率見通しは近年まれに見るほどの高い伸びであり、仮にこの見通しどおりの成長率となった場合は1980年代後半のバブル期以来の高い成長率となります。21年度が非常に高い成長率を記録する背景として、まず前年20年度の成長率がコロナ禍で大幅マイナス成長となったその反動という側面があります。それ以外にも、新型コロナウイルスのワクチンが普及して経済活動が正常化していくことや、海外、特に米国で追加の大型景気対策が実行されて高い経済成長が期待されるため、力強い外需の拡大が予想されることが挙げられます。  ただし、11社の成長率見通しの内訳をみると、中でも比較的高い成長率を予測する3社の平均は4.5%に達する一方、相対的に低い成長率を予測する3社の平均は3.5%となっており、かなりの幅が生じています。低い成長率を見込む調査機関は、昨年度と異なって現金給付などが予定されておらず、賃金上昇も望めないなど所得環境が低迷することや新型コロナウイルスのワクチン普及が順調に進まない点を重視しているように思われます。さらに4月25日には、新型コロナの感染が再び拡大していることを受けて4都府県で3度目の緊急事態宣言が発出されています。こうした日本経済の下振れ材料がどの程度まで顕在化するかどうか今後注意する必要があるでしょう。

「TBRカナリアレポート」では、東レ経営研究所の研究員が時事的なトピック等について解説します。
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PDF : TBRカナリアレポート No.21-03(538KB)