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2006年2月1日
「感性・・・アハ!体験」から学ぶ経営改革

 最近さまざまな分野で、「感性」が時代の寵児として話題を集める。「感性」は、今や社会組織論の重要なキーワードであり、人心掌握の決め手とされる。更にはリーダーシップの旗手と持て囃され、組織の中にあっては人間関係の決定的な要素である結束力の源として扱われる。そして上下関係のなかで醸成され、遂には「感動」「共鳴」へと連鎖して行く。 科学のセレンディピティー(Serendipity)と感性  筆者が知るところ、“科学のセレンディピティー(Serendipity)”の種本ペルシャ物語のなかの一節「セレンディップ(今のスリランカ)3王子の宝探し」(The Princes of Serendip) に、この「感性」が登場する。偶然を見逃さない鋭い「感性」を見事に表現したこの逸話は、3人の王子が山中に埋められた宝探しを王様から命ぜられたことから、そのストーリーが始まる。  登場する3人の王子の行動はパターン化され、「性格」の違い、否「好奇心」に端を発した「感性」の違いが見事に表現されることで、それぞれの生き様が3王子の人生の明暗を分けることになる。 第1王子は、 一目散に山頂に駆け登り、山頂近くで宝探しを行うも、残念なるかな目的の宝物は、遂に発見出来ず。 第2王子は、 足元の邪魔な小石に腹を立てながらも、一心不乱に宝探しを行うが、結果涙を呑むことに。 第3王子は、 同じく宝探しには失敗したものの持ち前の好奇心から、足元の珍しい小石を拾い集めることに面白さを発見。やがて観察眼に秀でる才能を開花させ、後に幸運を掴んだという。  この逸話は、偶然を見逃さない「感性」にまつわる話として後世に語り継がれる。 アメリカ靴メーカーの営業マン(ウーマン)の行動と感性  時は変わって、20世紀初頭。  アメリカの靴メーカーの社長が、新規市場の開拓にと優秀な3人(A君、B君、C嬢)の営業マン(ウーマン)をアフリカ大陸に出張させた。 A君は、 得意の頑張りで自分の靴底に穴を開ける毎日。 そして数日後本社にテレックスを打った。「アスモドル。ドジンハミナハダシ・・・(明日戻る。土人は皆裸足。商談凡そ不可能)」 B君は、 A君と同様、これ以上の販促は無駄と結論付け、本社に指示を仰いだ。「トウチノ ドジンハ ・・・(当地の土人は皆裸足。靴を履く習慣なき為、商談の可能性全くなし。出発前からネゴ中のヨーロッパに明日飛ぶ。追加出張費、送金頼む)」と打電した。 C嬢は、 これに反し、全く違う行動をとった。「ココアフリカハ・・・(ここアフリカは将来素晴らしいマーケットに育つ可能性有り。何故なら、皆裸足! 土人たち皆に我が社の靴を履かせれば、大きな商談間違いなし。1ケ月分の滞在延長費、至急送れ)」と督促電を打ったそうだ。  「感性」の拠所が何処にあるのか。そのポイントに迫る逸話として興味深い。 「アハ!体験」と感性  脳科学者 茂木教授の論旨を纏めれば、これらの反応やヒラメキ(即ち、第3王子やC嬢の行動)を「アハ!体験」と定義付ける。  ニュートンが木から落ちるリンゴを見て発見した万有引力の法則は余りに有名であるが、このような天才たちのヒラメキが人類の歴史を創ってきたとされる。即ち英語で言う「ああ そうか!」と合点、ハッと気づく感覚「アッハー!」に習い、これをもじった表現が「アハ!体験」である。ヒラメキ、そしてこの発想の原点こそが「感性」であり、時代を先取りする“勘どころ”もここに論拠がありそうだ。 「経営改革10の落とし穴」と感性  筆者も思い当たる話はないかと思い起こせば、ひとつ類似の話が閃いた。 そうだ! かつて、某ビール会社が快進撃の秘密と記した「経営改革10の落とし穴」―――時代とともに若干の新鮮さは失われてきたものの、その基本精神は脈々と生きている。 「経営改革10の落とし穴   1)「実行しない」、2)「成果なきプロセス」、3)「プロセスなき成果」、4)「言葉の独り歩き」、5)「拙速」、   6)「現状埋没」、7)「美文」、8)「問題のすり替え」、9)「経営(上司)不信」、10)「上司への盲従  いよいよ、変化に呼応した経営の姿勢が問われる時代へと突入した感が深い。時代に取り残されないよう、筆者としても「感性」に磨きを掛ける毎日でありたい。