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2016年4月1日
繊維トレンド3・4月号 2016 No.117

■特別レポート

日本繊維産業連盟 総会について

経営企画室 産業政策・調査グループ

 日本繊維産業連盟は、2016年1月15日、東京プリンスホテルにて日本繊維産業連盟総会を開催した。ここでは、当日の下村会長あいさつと、平成28年活動方針を紹介する。

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■ファイバー/テキスタイル

2015年の世界の化繊生産動向

日本化学繊維協会 業務調査グループ 主席部員 戸円 真弓

【要点(Point)】
(1)2015年の世界の主要繊維生産(速報推定値)は前年比1%増の9,059万トンで、史上最高を更新した。
(2)このうち化繊生産は同7% 増の6,647万トン。内訳でみると、合繊が8%増の6,139万トン、セルロース繊維がほぼ横ばいの0.5%増の508万トンとなった。
(3)主要国・地域別では、最大生産国の中国が前年比12%増と大幅に増加した。その他の主要生産国・地域はいずれも減少し、中国への生産拠点の一極集中傾向が続いている。

欧州のテクニカル・テキスタイル最前線(その4) -スイス連邦材料試験研究所(EMPA)- 

東レ株式会社 繊維加工技術部 塩谷 隆

【要点(Point)】
(1)スイス国内において、繊維先端材料やテクニカル・テキスタイル分野のフロントランナーである「スイス連邦材料試験研究所(EMPA)」を紹介する。
(2)EMPA は、スイス北東部のザンクト・ガレンに本拠地を置く国立研究所であり、1880年の創立である。スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETH)のドメインであり、「繊維」と「建築材料」の評価業務が起源であるが、現在は、材料科学・技術全般の研究・サービスを担っている。
(3)EMPA は「持続可能な未来のための材料と技術」をビジョンとして、研究の重点領域を、「健康と性能」「ナノ構造材料」「エネルギー」「サステイナブルな環境対応」「天然資源と汚染物質」と設定している。
(4)繊維においては、伝統的に紡糸技術や高分子改質に重点を置いている。 現在、繊維関係の研究の対象は、機能性原糸を主体とした原糸が最も多く、次いで、プラズマなどの機能性付与加工と機能性布帛である。

ミラノから2017年春夏 糸素材のトレンド -サステナブルな資源の活用を志向するレンツィンと旭化成- 

株式会社インテグレード 代表取締役社長 欧州繊維専門月刊誌『Twist』在日特派員 永松 道晴

【要点(Point)】
(1)Filo ではファンシーヤーン、メランジ、ループ等の装飾的な糸種が主流で、同時期に開催されたパリPVYarnsの冬生地に見られた凸凹感を麻や綿や合繊の糸で夏物に移し、さらに獣毛などの天然繊維を夏物として多用している。
(2)会場ではブライトなオレンジ、ブルー、ブラックが目立ったが、来春夏シーズン糸の基本色はLurexで見られたようにメタリックなジンジャーやゴールド、ピンク・グリーン・ブルー調の淡いパステルに移って魅力的な印象をもたらしている。
(3)オーストリアのレンツィンは2020年までにTencel、Lenzing Modal な どビスコース特殊繊維の売上を50%にまで引き上げる戦略目標‘sCore TEN’プロジェクトを推進している。その4つの目標はサステナブルな生産への社会的責任を果たす同社の並々ならぬ覚悟を表している。
(4)旭化成工業は再生セルロース繊維キュプラ(Cupro)とスパンデックスタイプのロイカ(ROICA)を組み合わせた革新的な魅力ある素材を紹介 して環境問題にますますセンシブルとなっている欧州市場で、高級ブランドアパレル向け中心にその存在感をアピールしている。

■縫製/アパレル

中国の衣料品EC 

東レ株式会社 繊維加工技術部 塩谷 隆

【要点(Point)】
(1)中国の衣料品のEC は、以前に比べるとその成長に陰りが見えてきているが、依然として力強い伸びを続けている。
(2)ECにおいて市場シェアが最大なのが衣料品である。取引されるプラットフォームサイトではアリババ集団の天猫への一極集中が顕著である。
(3)衣料品の中では婦人服カテゴリーのシェアが最大で、販売単価は安価である。消費者は沿岸部の地方都市に居住する女性の若年層の比率が高い。
(4)人気のブランドとしては、ユニクロや淘宝ブランドが挙げられる。
(5)越境EC は規模はまだ小さいが注目である。消費者は、高学歴、高収入で1級都市に居住する若年層の比率が高い。

中国「高級レディスアパレル」有力5社の成長戦略

牛田(上海)投資咨詢 有限公司 総経理 牛田 賢

【要点(Point)】
(1)中国の「中高級レディスアパレル市場」は、「レディスアパレル市場」全体と比べ成長率が高く、今後もこのトレンドが続く見通しである。
(2)2014年以降に上場を果たした高級レディスアパレル企業3社と、それ以前に上場した1社により、周辺業界を巻き込んだM&Aが活発に行われて いる。
(3)中国の高級レディスアパレル業界において、売上が一定規模を超えると 利益率が低下するケースが多々ある。多くの企業が採用する“マルチブランド戦略” において、新たなブランドを立ち上げる際、販売管理比率 が高まり、在庫回転率は低下する。在庫水準を下げるための各種施策の 結果、プロパー消化率1が低下し、粗利率が低下する。多くの場合、一定期間が経過した後も、“メインブランド”と同水準の売上が取れないことから、営業利益率が改善しないためである。

■小売/消費市場

新ブランド「NERGY(ナージー)」 -ジュングループとナイキが手を携え「アスレジャー」の地平を拓く-

フリージャーナリスト 土井 弘美

【要点(Point)】
(1)ジュングループとナイキがコラボレート、ナイキのスニーカー・スポーツ ウエアとジュンのカジュアルウエアを合わせる形で「ナージー」が誕生。
(2)ジュングループは「ソーシャルスタイル」を重視、スポーツを取り上げた。
(3)キーワードは「アスレジャー(アスレチック×レジャー)」で、流行に乗るのではなく、流行をつくる、新たなライフスタイルをつくるという意気込み。
(4)ファッションビル、路面店、ショッピングモールにそれぞれ出店、フォーマットを考慮中。

■知りたかった繊維ビジネスのキーポイント

繊維機械のオリンピック「ITMA」 -最新ソリューションと最新技術が集結-

ダイセン株式会社「繊維ニュース」記者 宇治 光洋

 4年に一度開催され、“繊維機械のオリンピック” ともいわれる国際繊維機械見本市「ITMA」が2015年11月12日~19日の8日間、イタリア・ミラノで開催された。中国の景気減速など世界経済の先行き不透明感が強まるなかでの開催となったが、世界47カ国・地域から1,650社以上が出展した。今 回展の来場者数は147カ国から延べ12万3,000人。主催者によると、前回展(2011年)に比べて約20%増えたという。国別内訳はイタリア17%、インド 9%、トルコ8%、ドイツ7%。続いてフランス、米国、イラン、ブラジル、パキスタン、スペインがトップ10を占めた。欧米の先進国と新興国が国別来場 者数の上位で共存するのはITMA の特徴。先進国の繊維産業に対する高機能資材向けやIoT(モノのインターネット)など最新のソリューションと、新興国 が求める高生産性や省エネ・省人化の最新テクノロジーが同時提案されているからだ。