close

2009年3月1日
繊維トレンド3・4月号 2009 No.75

■特別レポート

日本繊維産業連盟2009年役員総会における前田勝之助会長の挨拶 「創造と信頼の繊産連」「提言と実行」の指針に則り、会員相互の信頼関係を強化しつつ「工商一体のトータルインダストリー」として、思い切った行動を -平成21年日本繊維産業連盟活動方針-

日本繊維産業連盟は、日本紡績協会、日本化学繊維協会、日本アパレル産業協会など27 団体で構成されており、繊維産業に関係する重要課題について、諸々の対策を講じる団体である。 去る1月28日(水)に開催された役員総会の冒頭に、前田勝之助会長が挨拶に立たれ、現下の日本の繊維産業を取り巻く厳しい事業環境を認識した上で、これまで幾多の試練を乗り越えてきた産業のフロントランナーとして生き残っていかなければならないと強調されて、2009年の同連盟活動方針のポイントを紹介された。 2007年策定の繊維ビジョン「繊維産業の展望と課題 技術と感性で世界に飛躍するために-先端素材か らファッションまで」に示された3つの柱=(1)「構造改革」、(2)「技術力の強化」、(3)「情報発信力・ブランド力の強化」に加え、2つの基盤=(1)「国際展開の推進」、(2)「人材の確保・育成」の5項目について、世界大不況という厳しい環境においても、揺るがぬ指針であることを再認識することを強調された。 挨拶のおわりに、前田会長から10年間務められた繊産連会長を退任し、後任を下村彬一副会長に託すとの意向が表明され、一番重要なことは、「だから、具体的にどうする」ということであると、後を受け継ぐ繊産連幹部、繊維業界関係者に熱いエールとメッセージを送られた。 連盟のご協力を得て、役員総会における会長挨拶をここに掲載し、皆様の参考に供したい。

■海外動向

2008 年の世界の化繊生産動向

日本化学繊維協会 業務調査グループ グループ長 杉原 克

【要点(Point)】
(1)2008年の世界の主要繊維生産は約6,470 万トンで、2005 年以来3 年ぶりの減少となった。
(2)化繊生産は前年比3.5%減の3,970万トン。世界的に景気が低迷した1982年及び1975年に続く、戦後3番目の下落幅であった。
(3)化繊生産では、14年連続で2桁増を続けていた中国が2%増に減速。インドを含め、その他の主要国・地域は軒並み減少。

今次大不況で、世界繊維産業はどう変わるか -世界織物工業の各国の現状と今後の変化のポイント- 

小山 英之 特別研究員

【要点(Point)】
(1)世界同時不況によって、今年の世界織物生産は世界経済成長率がゼロ成長なら10~15%の減産に見舞われる可能性が高い。今回の世界織物不況は、今年下半期に大底段階に入ると予想され、底這い状態が長期化し、第二次世界大戦後の最も深刻な不況に陥るであろう。
(2)今次不況は、金融バブルの崩壊に端を発し、各国共に金融機関の貸出し抑制が強まり、キャシュフローが世界織物企業のサバイバルを決する大きな要因になりつつある。不況期の倒産は大底からやや回復に向かう時が最も危険であり、来年の上半期が大きな試練の時期になるであろう。
(3)大増設を続けてきた中国織物工業は、今回の大不況で大きな転機を迎え、高付加価値化による成熟段階に入ると思われる。他方、有杼織機大国のインドは、織物企業の債務が少ないことから不況の抵抗力が強く、今回の不況を契機に革新織機の導入を強化し、高度成長が始まると予想される。

PDF : 詳細(PDF:467KB)

China News アジアン雑貨の魅力を上海に -東南アジア雑貨ショップ『Hari Rabu』オーナー高山辰彦氏へのインタビュー-

横川 美都 研究員

今回は、以前にインタビューをしたデザイナー佐藤真弓さんが、上海で一番最初に自身のデザインした洋服を置いてもらったという、泰康路田子坊にあるアジアン雑貨のお店。実は筆者も、開店当時に訪れたことがあります。多くの女性と同じように、こまごまとした雑貨が大好きな筆者にとってはそのお店は禁断の地であると感じ、その後訪れることを控えていました。佐藤さんへのインタビューの際に、このお店『Hari Rabu』の経営者が日本人であることを知り、ぜひ、一度お話を聞いてみたいと思っていました。 そして、先日、プライベートの集まりで親しい友人を介して知り合ったのが偶然にもオーナーである高山辰彦氏。早速、取材をさせていただきました。

PDF : 詳細(PDF:885KB)

シリーズ 在イタリアデザイナー現場リポート(生産現場・市場・トレンド) 第1回 ヨーロッパの変わりつつある服、着こなし、素材、展示会について 

デザイナー 小川健一

渡欧30年、“FENDY”“TRUSSARDI”等のイタリアトップブランドの仕事を手掛けつつ、ヨーロッパの生産現場、市場、トレンドをつぶさに見ているイタリア在住のデザイナー小川氏にマスメディアで報じられないリアルな最新現地情報をレポートいただく。

インドの繊維産業 第2回 -独立後の現状、国内産業保護政策から脱皮の道のり-

元インド三井物産株式会社 社長 森 秀三

不況の長期化への懸念が広がる中、改めてインドの巨大市場と生産拠点としての役割期待に注目が集まっており、長い歴史を持つインド繊維産業に、今、新たな転換点が訪れようとしている。前回に続き、この号ではインド繊維産業の成長の可能性や課題について、元インド三井物産社長の森秀三氏に解説いただく。

■国内動向

所有から使用へ -不況下だからこそ可能なレンタルビジネスモデルの提案-

坂口 昌章 客員研究員 有限会社シナジープランニング 代表取締役

【要点(Point)】
(1)自由主義、資本主義、市場主義が招いた環境問題は、全体的なコントロールを必要としている。統制経済のように活力を失うことなく、自由と統制のバランスを考えたい。
(2)常時、店頭に商品を陳列して販売する店舗販売は、在庫処分が必要である。また、店舗流通を基本とする社会では供給過剰に陥りやすく、環境への負荷が高い。
(3)廃棄物を減らすには、常に、需要より供給を少なくコントロールするか、同一商品を継続販売し、バーゲンセールを無くすことが必要である。
(4)通信販売は、店頭在庫が不要であり、店舗運営経費も不要である。また、都心の豪華なオフィスではなく、地方の物流センターに付属した本社機能で十分であり、トータルコストが低い。環境への負荷も少ない。
(5)リサイクル、環境対応を徹底するためには、「所有しない」というコンセプトが有効である。消費者に所有させ、処分を依存しているから、リサイクル問題、ゴミ問題が解決しない。
(6)若い時には自由に商品を選び、好きなものを食べたいと思うが、高齢になるほど、専門家に選んでほしいと考えるようになる。「自分で選択しなくてもいい」という選択肢があってもいい。
(7)地球は誰の所有物でもなく、自分の子供や孫の世代によりよい環境を残す義務がある。商品も地球を材料にしているものであり、所有するものではない、という考え方もできるだろう。
(8)紳士スーツを所有せずに、レンタルすることにすれば、シーズン初めからバーゲン価格で着用でき、家庭内の収納スペースも軽減できる。一度、着用した製品も古着として再度流通させれば、よりよい品質を志向するようになるのではないか。
(9)テキスタイルメーカー、デザイナー、縫製メーカーのチームによる運営も可能になる。また、デザイナーのコレクションもレンタルを基本に考えることも可能である。
(10)以上のビジネスを展開するには、相応のスペースが必要だが、倒産した地方百貨店やSC、商店街の空き店舗スペース、空き倉庫等を活用することで問題は解決できる。小売りだけでなく、地産地消の拠点として機能させることで、地域活性化にもつながるだろう。

PDF : 詳細(PDF:499KB)

シリーズ 日本ファッションアパレルの課題と今後の展開 第2回 ラグジュアリブランドの本場、ヨーロッパで日本アパレルを売るには

信州大学 繊維学部 創造工学系 教授 大谷 毅

【要点(Point)】
(1)2008年9月「新経済成長戦略・フォローアップと改訂」でいうイノベーションと所得還流とは、ファッションでいうならば、外国から買ってばかりいないで、パリ・ミラノにいって売ってきてごらん・・・とも読める。しからば、パリ・ミラノで売れる衣服をどうやって造るのか。
(2)済産業省の石黒憲彦氏は感性価値を創造すればよいと考え、「感性価値創造イニシアティブ」施策を考えた。感性価値とは、・・・生活者の感性に働きかけ、感動や共感を得ることによって顕在化する価値・・・、・・・日本人は、時に作り手の手間、こだわり、時間などに共感し、それに価値を見出す・・・などという。
(3)石黒説の感性価値創造がうまくあてはまる事業と、そうでない事業がある。ファッションビジネスはこのような創造をやってきた。でも、ファッションビジネスは儲かっているであろうか。若干の危惧がある。
(4)シャネルやアルマーニのスキームは、「FR・ITの事業者がFR・ITの感性でものづくりしてJPでも売る」と描け、石黒説は「JPの事業者がJPの感性でものづくりしてFR・ITで売って欲しい」となるが、ファッションビジネスに必要なのは、「JPの事業者がFR・ITの感性でものづくりしてFR・ITでも売る」ノウハウではないのか。したがってM&Aや無形資産評価が重要テーマになる。
(5)ファッション素材の創り手の熱意やこだわりは、規格を競うというよりも、デザイナーがそれに接したときの見た感じや手触りで評価される・・・と
(6)“プレタポルテ”の場合は、創り手はクリエイティブディレクター、買い手はCRMで測定される一団の集団プラス潜在顧客(ただし実名)、その仲介を果たす販売スタッフが感性価値をキャッシュに結び付けている。

シリーズ 高コスト先進国における企業生き残りのKey Factor 第9回 岐路に立つブランド論(1) ―不完備契約の克服か、個別文化の創造か―

青山学院大学 経営学部 准教授 東 伸一

【要点(Point)】
(1)マーケティングの働きかけの対象となる個人の性質は、「人間人(にんげんじん)」として表現することができるが、その本質は、人間満足と経済満足を折衷した価値実現指向に基づいている。
(2)マーケティングの発想は、消費が「非合理的」なものへと変わってゆく中で、それらに対して「合理的な操作」を行い、市場関係に固有の契約の不完備性を補完する役割を果たしてきたとも言えるが、この役割は一部において岐路に立たされている。
(3)マーケティング発展の一つの重要な基盤となった消費文化の拡散は、その成熟度が高まるにつれ、伝統的なマーケティング指向では対応することの難しい消費様式を生み出している。このことは、不完備契約克服性というマーケティングの主要機能に加え、「個別文化創造性」という第二の側面の重要性を示唆している。
(4)マーケティングによる個別文化創造とは何か。この主要課題については、次号以降、その論理の成立背景や実践事例を踏まえて考察していく。

環境低負荷型染色加工技術の着眼点 I

森本技術士事務所 技術士(繊維) 森本 國宏

 

【要点(Point)】
(1)汎用繊維製品の製造には多くの資源が使用されているが、特にその付加価値を付与する染色加工々程では、エネルギー、水、化学物質が際立って多用されており、原油価格の高騰による経営への圧迫が大きいことから脱石油と省エネへの努力の結果が経営の存亡を左右する事態となっている。
(2)地球温暖化防止の観点からは、原燃料の転換でなく、工学的手法による省エネ技術、エネルギー管理技術が必要である。

キャリアマーケット分析 第3回

東京ファッションプランニング株式会社 デザイン・企画カンパニー 社長 山田 桂子

【要点(Point)】
(1)全国の主要商業施設で、衣料品売上高の高い商業施設は10施設となり、すべての施設が衣料品売上高100億円以上となっている。
(2)3以上の商業施設に出店している59のショップを5つのファッションテーストに分類することができる。
(3)百貨店における「キャリア」は、「ヤング」「ミセス」とは異なり、極めて曖昧な位置付けとなっている。
(4)百貨店に導入されている主要キャリアブランドは10分類することができるが、キャリア雑誌で人気の高いテースト、ブランドと必ずしも一致しているわけではなく、ブランド構成の見直しが必須。
刊行物・書籍

■知りたかった繊維ビジネスのキーポイント

地産地消 -環境問題と流通問題の視点で考える-

坂口 昌章 客員研究員 有限会社シナジープランニング 代表取締役

■『中国ビジネス研究会』インフォメーション

中国ビジネス研究会第15回オープンセミナー開催報告

■統計・資料

主要商品市況

1.原油 2.ナフサ3.PTA 4.EG 5.カプロラクタム 6.アクリロニトリル 7.ナイロンフィラメント、同織物 8.ポリエステルフィラメント、同織物 9.ポリエステルステープル 10.アクリルステープル、同紡績糸 11.綿花 12.ポリエステル綿混(T/C)紡績糸及び織物