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2010年10月1日
経営センサー10月号 2010 No.126

■特別レポート

『G2(中国、アメリカ)がリードする風力発電』

東京大学 総長室アドバイザー 村沢義久

【要点(Point)】
(1)世界の自然エネルギー活用では太陽光より風力が中心である。
(2)風力発電の牽引役はアメリカと中国であり、インドも最近急上昇している。
(3)20% 強のデンマークを筆頭に、総発電量の10% 以上を風力で賄う国が増えてきた。
(4)日本は世界13 位で風力小国であるが、洋上風力発電などによる巻き返しに期待がかかる。

■経済・産業

金融仲介機能の回復が鍵を握る米国経済

株式会社日鉄技術情報センター 市場調査部 北井 義久

【要点(Point)】
(1)米国経済は、戦後最大の不況から2010 年半ばまで予想外に順調な拡大を続けてきた。これは巨額の財政刺激政策とゼロ金利政策の効果による。
(2)一方で、企業・金融機関は依然として雇用・投資・資金供給に慎重な姿勢を崩していないことから、10 年半ばに一時的な停滞局面に入った。
(3)金融仲介機能正常化と共に11 年に向けて米国経済は2%台の底堅い成長を続けるが、双子の赤字と家計の過剰債務には引き続き要注意である。

 

もう一つの水ビジネス -下水関連ビジネスの海外展開の可能性を探る- 

福田 佳之 産業経済調査部 シニアエコノミスト

【要点(Point)】
(1)もう一つの水ビジネスである下水関連事業が今後、世界的に拡大すると見られている。2025 年には世界の同市場は35.5 兆円まで拡大する見通しである。
(2)高成長を続ける中国でも下水道整備や汚泥処理などの需要が高まり、2025 年には4.8 兆円の市場規模にまで達する見込みである。
(3)世界のメガシティは高度な下水関連技術を必要としており、日本企業がそれらを提供することで海外進出できる可能性がある。
(4)GCUS(下水道グローバルセンター)はそのような企業の海外進出を支援するために設立された機関であり、意識の活性化に貢献している。
(5)最後に、下水関連分野での日本企業と日本政府の課題について5 点列挙し、解説した。

PDF : 詳細(PDF:2,024KB)

 

コンビニ業界の現状と課題 -競争激化、飽和に近づく市場、少子高齢化で伸び悩むコンビニ業界、新たな成長源を見つけられるか-

永井 知美 産業経済調査部 シニア産業アナリスト

【要点(Point)】
(1)コンビニエンスストア販売額は、猛暑効果もあり足元では回復の兆しを見せているが、競争激化、少子高齢化、消費者の低価格志向といった構造問題を抱え、先行きは楽観できない。
(2)新規出店で成長してきたコンビニ各社が、市場が飽和に近づくなか、既存店のてこ入れに舵を切ろうとしている。個店強化を図るセブン- イレブン・ジャパンとファミリーマートに対して、ローソンは店舗フォーマットの多角化で顧客の取り込みを図っている。
(3)大手3 社は海外進出を加速している。有望視されているのは、経済成長が著しく市場規模が大きい中国などアジア諸国である。
(4)国内市場でこれまで未開拓領域だった女性と中高年層を取り込めるか、アジア市場で成果を上げられるかが、コンビニ業界の今後を左右するだろう。

PDF : 詳細(PDF:1,938KB)

■視点・論点

「つくる」キャリア、「なる」キャリア、「うむ」キャリア

慶應義塾大学SFC 研究所キャリア・リソース・ラボラトリー 上席所員(訪問) 古畑 仁一

キャリア形成:3 つのタイプ 就職氷河期と言われるように、新卒者を含む若年層は深刻な就職難に直面していますが、一方、働いている人達にとっては、企業合併やM&A による転属や転籍、技術革新のスピードに対応するための頻繁な組織や職務の改廃、年功序列廃止による昇進昇格システムの変更、果ては、企業業績不振による退職募集など、キャリアを不安定にさせる要因の枚挙にいとまがありません。このような環境のなかで、多くの企業は、キャリア・カウンセラーやキャリア・アドバイザーなどを社内に配置し、従業員のキャリア開発に積極的に取り組むようになってきました。 

■マネジメント

元気な中堅企業に学ぶ トップインタビュー(第11回) マスから個へのアピールで新たな販売の地平を拓く

株式会社オギノ 代表取締役社長 荻野 寛二 氏

【要点(Point)】
(1)オギノは山梨県を地盤とするGMS(ゼネラル・マーチャンダイズ・ストア)・スーパーマーケットのチェーンで、全国規模の大手流通チェーンの相次ぐ進出にも関わらず地盤を守り続けてきた。
(2)その強さは、「オギノカード」を使ったFSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)のデータ分析に起因する。
(3)顧客を各クラスターに分けて徹底分析。顧客の目線に立った売場づくりを徹底させている。
(4)一方で非常に先進的な商品センターを持ち、売場の効率化を図っている。
(5)平均値・マスで市場・顧客をとらえることをしない。

 

中台新時代の到来と日本企業の経営課題

浦上アジア経営研究所 代表 浦上 清

【要点(Point)】
(1)2010 年6 月、中国重慶市で中国と台湾が画期的な経済協力協定に調印した。これが「海峡両岸経済合作架構協議」(海峡両岸経済協力枠組み協議)である。今、経済協力協定調印を踏まえ、中国と台湾は新しい「経熱」時代を迎えている。
(2)中台新時代の到来は世界の企業に新しいビジネスチャンスをもたらす。日本企業が、この経済協力協定の発効を見据えて、これからどのような経営戦略を構築し、実行に移すかが大きな経営課題である。
(3)本稿では、中台新時代を迎えた今、日本企業の中華圏事業の新しい組織の在り方を提言すると同時に、東アジアの産業連携の重要性に言及する。

PDF : 詳細(PDF:817KB)

■人材

組織風土アセスメントをテコに「変革のための条件」をつくる

株式会社スコラ・コンサルト 代表 水迫 洋子

【要点(Point)】
(1)単なる社員意識調査ではなく、企業が環境変化に適応するための組織風土変革につながるアセスメント、コンサルティングが広がりを見せている。
(2)先の読めない時代にあっては「受動的な現場」から「主体的に考える現場」に生まれ変わる必要があり、「考え抜く仕事のしかた」ができる人材を育てていかねばならない。
(3)損得抜きに自発的な協力のできる「正の学習風土」を根付かせるために、自社の「人と組織の状態」を直視し、本音で議論し合うオフサイトミーティングが有効である。

■ワークライフバランス

政府における仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の取り組み -その矛盾と課題-

【要点(Point)】
(1)仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)について政府の公式な定義づけがされておらず、国民の認知度も低い。
(2)仕事と子育ての両立、正規・非正規雇用といった働き方の2 極化、高齢者雇用、生産性の向上等多様な問題に対して包含して対応するものとして政府はワーク・ライフ・バランスの推進に取り組んでいる。
(3)政府の取り組みにおいては、施策を旗振りする国家公務員の長時間労働や、産業界と労働界の思惑の違い、といった矛盾が内包されている。
(4)「ワーク・ライフ・バランス憲章」や「指針」に定められた数字は必達目標として施策遂行していくべきだ。
(5)国家公務員の働き方を改め、自らワーク・ライフ・バランスを率先し国民運動として展開していくべきだ。

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■経済用語解説

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