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2015年1月15日
ロボットにもIoTの波
チーフエコノミスト
増田 貴司

 ロボットが近い将来、本格普及期を迎えそうだ。安倍政権は成長戦略の柱の一つとして「ロ ボットによる産業革命」を打ち出した。米国では、グーグル、アマゾン・ドット・コムなどの IT(情 報技術) 企業が続々とロボット事業に参入している。  注目すべきは日米でロボット開発へのアプローチが異なる点だ。「インターネット・オブ・シン グス(IoT)」と呼ばれ、様々なものがインターネットでつながる世界が広がる中、米国ではロボ ットが新たな情報端末となり、ビジネスの成長分野と見なされている。また、機械学習というコ ンピューターの学習能力が進化し、人工知能(AI)がロボットに不可欠なものと認識されて、ロ ボットと AI の開発が一体で進んでいる。  一方、日本は高齢化、人手不足などの社会問題の解決に役立てようと、従来型のロボット 単体の技術開発に注力している。ロボットは先端技術の実験場という色彩が強く、事業化へ の取り組みは手薄である。また、ロボット開発はハードウエア優先で、ロボットとAI研究との融 合はあまり進んでいないようだ。  日米の方向性の違いは、自動運転車の開発でも見られる。日本メーカーは、自動運転をド ライバーの安全運転を支援する技術の1 つと位置付けてハードウエア開発に重点を置いてい る。これに対し、米国勢は自動運転実現のための機器・デバイスとサービスを組み合わせて、 新しいビジネスを生み出そうとしている。  ロボットでも自動運転でも、日本の技術力は世界のトップレベルだが、これらの分野にも IoT の波が押し寄せていることに敏感であるべきだ。つながることにより従来の製品概念や 事業構造ががらりと変わりうることを認識し、既存の枠組みを超えた、柔軟かつ戦略的な対 策を講じる必要があろう。 (本稿は、2015 年 1 月 13 日 日本経済新聞夕刊「十字路」に掲載されました)