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2001年10月1日
経営センサー10月号 2001 No.34

■経済・産業

遅れるアメリカの景気回復 -株価下落、失業率上昇、同時多発テロで個人消費も低迷へ-

高橋 健治  産業経済調査部長チーフ・エコノミスト

 昨年春のナスダック指数急落は、結果的にみるとアメリカ景気が転換点にあることを予見していた。昨年秋以降、生産は前月比でマイナスが続き、これまで景気のリード役であった民間設備投資が落ち込み始めるなど、景気に減速感が広がったからである。一方、個人消費は、これまで堅調に推移し、景気を下支えしてきた。しかし、最近の株式下落、失業率上昇、同時多発テロなどにより、環境は急速に悪化している。このため、今後、個人消費も低迷に向かう懸念が強まっている。さらに、中期的な設備投資循環も下降局面に向かい始めた可能性があり、景気は厳しい局面を迎えている。

対内・対外直接投資の新傾向を読む  -急増する対日投資、進む中国への生産拠点シフト- 

増田貴司  産業経済調査部主任研究員シニアエコノミスト

 今や、一国経済の発展を論じる際に、「直接投資」は欠かすことのできないキーワードである。東アジアの経済発展形態が、これまでの「雁行型」から「大競争型」へと変化し、中国が一足飛びに競争力を高める原動力になったのも、海外からの直接投資だ。 日本の対外直接投資は、このところ全体としては低調だが、(1)欧州などの先進国向けのウエートの上昇、(2)途上国向けでは、中国向けなど伸びている国と低迷している国との二極化、などの特徴がある。一方、対日直接投資は、近年急増しており、これを先導しているのが対日M&Aの拡大である。ここにきて対日M&Aが活発化している理由は、(1)日本の投資環境の改善、(2)日本企業のリストラの本格化、(3)世界的な業界再編の進行、等に求められる。日本企業としては、対日M&Aの増加を脅威ではなくチャンスと受け止め、競争力の強化を図っていく必要があろう。 また、対外直接投資に関しては、「世界の工場=中国」とどのように共存共栄の関係を築いていくかが課題となる。その際、中国一辺倒ではなく、アジア向け投資戦略全体の中でリスク分散型の分業ネットワークを構築する視点も重要となろう。

日本の医薬品業界

ソシエテジェネラル証券会社 企業調査部長 兼  シニアアナリスト 酒井 文義

 医薬品産業の最大の特徴は、その生命関連性である。医薬品は医療のなかで我々に最も身近な存在であり、QOL(クオリティオブライフ)の改善に大きな役割を果たしている。しかし、その生命関連性ゆえに様々な規制を受け、宿命的に医療行政や医療制度の変化といった外的要因の影響を受けやすい。そして言うまでもなく常に科学と医学の進歩をキャッチアップしなければならない。換言すれば医薬品産業にとって全人類62億人が需要者であり、膨大なニーズが存在するわけである。しかも遺伝子工学やバイオテクノロジーと並ぶ知的集約型産業の1つであり21世紀のリーディング産業である。ところが、我が国の医薬品産業は欧米の後塵を拝しており、残念ながらその格差は縮小するどころか、拡大しているように見受けられる。日本の医薬品企業はどのような経営戦略で今後の競争を勝ち抜こうとしているのか、残された時間は余り多くない。

海洋国家日本の恵み、海洋深層水  -再生循環型の地球資源 としてさまざまな応用が広がっている- 

綾 敏彦 産業経済調査部 主幹

 これまで、海水そのものを資源という目で眺めることはほとんどなかったが、最近、海の深いところに存在する海水<海洋深層水>のもつ低水温性、無機質富栄養性、清浄性、水質安定性などの資源性が大いに注目されている。しかも、ほとんど無尽蔵である。海洋深層水は、化石燃料などの天然資源に乏しいわが国にとってまさに天の恵みであり、様々な分野への利用検討が進んでいる。各地の取水ポイントを中心に地方の地場産業の活性化にも一役かっている。

知っていますか?「個人金融資産1,400兆円」

個人金融資産1400兆円」って何の数字?  「日本の個人金融資産1400兆円」という数字がよく引用されますが、これはどの統計を見れば載っているのでしょうか。この数字は、日本銀行の資金循環統計における家計部門の金融資産残高(2001年3月末時点1386兆円)を指しています。資金循環統計というのは、日々さまざまな経済活動に伴って発生するお金のやりとり(金融取引)と、その結果として各部門が保有する金融資産負債残高を包括的に記録したものです。

■マネジメント

ISO9001: 2000年版における「文書化」の効果的な進め方

山下 重二 客員研究員  ISO9000 JQA/JRCA/IRCA登録主任審査員 ISO14000 JQA/CEAR登録審査員

ISO9001においては、「手順を文書化しなければならない」とする要求事項が重過ぎるのではないかという批判がありましたが、2000年版においては次のように改訂されました。 ・品質マニュアルは文書化すること ・品質方針、品質目標は文書で表明すること ・文書管理/記録の管理/内部監査/不適合製品の管理/是正処置/予防処置の6つについては、手順を文書化すること。 ・あとは、組織が顧客満足、継続的改善をはかるために必要と判断した手順を文書化すること ・ただし、ISO9001:2000の要求事項(1.3.3項目)を満たしている客観的証拠を残すこと

著作権等管理事業法

弁護士 柴田眞宏

■人材

OJTからOJDへ 互学共育による個人の能力開発と経営革新 -中堅半導体商社の挑戦-

OJD研究所 代表 石井 志津夫

 戦後米国から導入したOJTは、それなりに日本の企業や組織の人材開発に少なからず寄与してきたが、バブル崩壊後の過去に経験したことのない、大きな事業環境の変化の波には十分対応されいていない。 その点、OJD(On the Job Development)は、組織全員の双方向型、互学共育型、生涯型であり、IT革新にも対応可能な人材開発システムである。 中堅半導体商社の実践例も紹介しながら、OJDの効用について述べる。

中国・台湾におけるMTP研修の現状  - 「中日経営合理化推進中心」の人材育成要請に応えて-

社団法人 日本産業訓練協会 研修部長 佐古 浩司

 MTP・TWIの有効性は、日本国内のみならず、日本企業が進出しているアジア地域全般にも広くあ てはまることから、日産訓は5年前から日経連国際協力センターと協力して、アジア諸国のニーズに対応 して来たが、特に今後の高い成長が期待される中国については、4年前から力を注いで今日に至っている。1997年11月11日に中国企業管理協会・中国企業家協会と日経連・日産訓等と共同で「中国企業 管理協会中日経営合理化推進中心」を設立し、講習会の開催・教材の作成、販売に取り組んでいるところである。

何をやっていることやら

黒田 薫

 9月11日に発生した米国の同時多発テロ事件で、アメリカは大きなジレンマに陥った。テロに対する報復をすればあらたな問題が発生することはわかりきっている。しかしあれだけの被害を受け、報復をしないと気がすまないのもわかる。またタリバンを容認していたパキスタンもアメリカの要請に応えざるを得ないというジレンマを抱えた。

■統計

国内主要産業動向(鉱工業生産/卸売物価/消費者物価/貿易/日本の経済成長率/原油/為替/百貨店/量販店/自動車/VTR/カラーTV/パソコン/半導体/住宅着工/機械受注/公共工事着工) 完全失業率(全体、性別)/完全失業率(年齢別)/有効求人倍率/完全失業率(地域別)

■TBRの広場

参加者募集「TBR高分子材料・加工ビジネス戦略研究会」