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2012年11月1日
経営センサー11月号 2012 No.147

■経済・産業

ブリヂストンのリトレッド事業に学ぶ 「モノからコトへ」の発想転換  -脱コモディティ化戦略としての「製造業のサービス化」-

産業経済調査部長 チーフ・エコノミスト 増田 貴司

【要点(Point)】
(1)製造業企業がモノの製造だけでなくサービス分野に進出する動きが活発化している。本稿では、前半でブリヂストンのリトレッド(タイヤの貼リ替え再生)事業の事例を紹介、分析し、後半で製造業に今求められるサービス化やソリューションビジネスのあり方について考察する。
(2)ブリヂストンは、トラック、バス用タイヤのコモディティ化の打開策として、新品の単品売りではなく、顧客にタイヤをより長く、安全に使ってもらうためのソリューションを提供する事業へと大きくかじを切った。それは、顧客に「新品・リトレッド・メンテナンス」を組み合わせたカスタマイズな提案をすることで、顧客の経費削減・安全運行・環境対応の実現を目指すビジネスモデルである。
(3)ハードの単品売りから、サービスを含めた新たな価値の提案にビジネスモデルを変えることは、コモディティ化克服のための処方箋になりうる。
(4)製造業がサービス分野に乗り出す際にカギとなる概念は、「グッズ・ドミナント・ロジック(GDL)」から「サービス・ドミナント・ロジック(SDL)」への発想転換である。自らの事業をモノづくりからコトづくりへと定義し直すことである。
(5)製造業のサービス化は、モノで稼ぐことを放棄してサービス事業に乗り出すことを意味しない。サービスをてこにハードウエアの利益率の向上を図ることも可能である。
(6)日本企業は、上質なサービスを高く買ってもらうために、顧客自身が気づいていないような「顧客の利益が増える提案」をすることを目指すべきである。顧客の長期的な全体コスト削減につながるソリューションの提供は、その有効な一方策と言える。

PDF : 詳細(PDF:1,761KB)

■業界展望

日本の機械関連企業の海外進出の現状と新展開(下) ベトナム編 -ベトナム進出における活用パターンとビジネスチャンスを探る-

一般財団法人 機械振興協会 経済研究所・研究副主幹 近藤 信一

【要点(Point)】
(1)ベトナムビジネスのメリットは、低賃金で、良質な労働力にある。進出を検討している日本企業、特に労働集約型モデルの企業には、この労働力を活用する進出モデルを考えることが求められる。
(2)ベトナムビジネスのデメリットは、裾野産業が脆弱なことである。必要な部材や中間処理が、ベトナム企業の水準が低いために現地化が進んでおらず、コストアップ要因になっている。しかしながら、進出日系企業、特に設備集約型モデルの企業では、内製化するか、中間処理のみ別の場所で行って対応している企業があった。
(3)したがって、裾野産業を担う日本企業、特に中小企業に対してベトナム進出への期待は高く、ベトナム進出日系企業向けのビジネスチャンスは十分にあるといえる。

■視点・論点

BRICs総崩れ後の世界経済

日鉄住金総研株式会社 経済産業調査部 チーフエコノミスト 北井 義久

BRICs諸国の停滞により足元の世界経済は減速を余儀なくされている。さらに世界経済の中期的成長率は今後鈍化することが確実である。その中で、先進国では日米経済が、新興国ではASEAN諸国が相対的に優位となる可能性が高いが、低成長を前提とした社会・経済体制の再構築の成否が各国の経済パフォーマンスを左右することになる。

■環境・エネルギー

持続可能な開発目標とブータンのGNH(国民総幸福)

都大学大学院 地球環境学堂 教授 松下 和夫

【要点(Point)】
(1)「リオ+20」ではGDPを補完する持続可能な開発目標(SDG)の検討開始が合意された。
(2)SDGの検討開始が合意された背景には、ブータンのGNHの影響がある。
(3)ブータンのGNHは哲学、経済理論、政策統合指針の役割を果たしている。ただし持続可能性の観点からは、ブータンの経済・自然環境は多くの課題に直面している。

■アジア・新興国

中国経済:内需主導による景気回復も、過度の期待は禁物

株式会社大和総研 経済調査部 シニアエコノミスト 齋藤 尚登

【要点(Point)】
(1)中国の金融政策は2012年3月以降、明確に緩和に転じ、内需刺激策が相次いで発表されている。
(2)新指導部誕生後の本格的な景気テコ入れ策への期待が高まっているが、投資依存度を高めることは、持続的安定成長の観点からはマイナスである。
(3)「投資主導から消費主導への経済発展パターンの転換」や「産業構造の高度化」という構造転換への対応は待ったなしの課題となっている。

■ワーク・ライフ・バランス

近年増加するファミリーデー開催とワーク・ライフ・バランスの関係 -東京都の取り組みと当社実施概要について-

ダイバーシティ&ワーク・ライフ・バランス推進部長 宮原 淳二

【要点(Point)】
(1)年々自営業者が減っていること等、昔に比べ両親の働く姿が近くで見られない子どもが増えている。そうした中で、両親が働いている姿を見る機会は子どもにとって貴重な体験である。
(2)東京都は中小企業を中心に「ファミリーデー」開催企業に助成金を支給し、企業におけるワーク・ライフ・バランス支援に力を入れている先進的な自治体である。
(3)当社において、今年初めての「ファミリーデー」を開催。参加した子どもやその社員の満足度は高く、良い体験ができた。

PDF : 詳細(PDF:1,217KB)

■人材

人材育成の視点 体験的リーダーシップ論(第4回)

特別研究員 武澤 泰

【要点(Point)】
(1)リーダーが描いたビジョン実現のための協力者として十分な能力のある人材が不足している場合には、内部の人材を育成するか、それでも間に合わなければ外部から引っ張ってくる必要が生ずる。
(2)優れたリーダーは、自らのビジョンを実現したいという思いが強いからこそ、常に協力者としての人材を探しているものであり、古今東西にその例は多い。
(3)東レ経営研究所において筆者がエコノミスト獲得と技術関係の専門家の組織化に努力した体験を事例として紹介したい。

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■経済用語解説

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■お薦め名著

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