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2007年9月1日
繊維トレンド9・10月号 2007 No.66

■海外動向

欧州の繊維産業政策と研究開発動向

日本化学繊維協会 技術グループ 主任部員 大松沢明宏

 東レ経営研究所では、ワークライフバランス研究部を発足し、2009年から同分野での活動を開始しています。繊維・ファッション業界ではクリエイティブな業務など単純には業務効率化を図れない面もあり、ともすれば長時間労働が常態化していました。そういった状況を踏まえて、今回は、社長の佐々木からワークライフバランスの意義について改めてご紹介します。

【要点(Point)】
(1)日本化学繊維協会では、2006 年度協会テーマとして「欧州化繊産業調査」を実施した。欧州化繊産業は中国等からの輸入圧力によって規模が縮小しているが、先進国型繊維産業として生き残りに向けた努力を続けている。本稿では、同調査結果から、欧州の繊維産業政策と研究開発動向を紹介し、合わせて米国及び中国の研究開発概況を紹介する。
(2)欧州委員会は、繊維産業を重要産業と位置付け、長期的な視点から産業政策を実施している。中国等の新興繊維大国との技術格差の維持・拡大が必須として、その支援に規模の大きい予算を投入しようとしている。
(3)欧州の繊維産業の研究開発の特徴として、①テクニカルテキスタイル1 への集中、②川中(紡織段階)の高次加工(プロセス)技術が中心、③公設研究機関や大学が核となり、川中企業と連携した研究が盛んなことなどが挙げられる。
(4)欧州の繊維産業では、高度な技術力とマーケティング力をもった川中企業が活躍しているのに比べ、素材メーカーの存在感が薄く、素材開発について懸念する声も聞かれた。その点、ポリマーからテキスタイルまでの開発能力を有する日本の化繊メーカーは、欧州の開発意欲の強い川中企業、研究設備が充実しコーディネート機能を有する公設繊維研究所と補完関係にあり、Win--Win のパートナーシップを構築できる余地がある。

中国財務デューデリジェンスの事例分析 その2

あらた監査法人 財務報告アドバイザリー部 公認会計士 齊藤公彦

China News 上海セレブがお客様 -本格派セレクトショップ『AIAIA』の3年とこれから-

横川美都 研究員

  筆者が上海で生活をするようになってから3 年半が過ぎました。その中で企業に頼らず自らの手でチャンスを作り出し奮闘している同世代の日本人に出会うことが度々あり、彼らから刺激を受けたり助けられたり励まされたりしながら暮らしています。今回はそうした中から、上海そして中国をマーケットにファッションの小売を手がける女性をご紹介したいと思います。お話をお伺いしたのは、セレクトショップ『AIAIA』をオープンして3 年目になる深山美由紀さんです。

PDF : 詳細(PDF:833KB)

日本発プレタポルテラグジュアリーブランドの創造に向けて -その3 日本の大衆が何故文化創造の担い手になり得たのか-

小林元 特別研究員

【要点(Point)】
(1)大衆の主体的行動様式は室町時代に芽生え、安土桃山時代を経て、江戸時代に確立したと言われる。
(2)この行動様式を生んだのは、日本人社会の特質である相対的平等主義と現場主義と言われ、その背景には禅の思想がある。
(3)このような日本人社会の特質が固まった江戸時代に“道を究める”という日本人のDNA が花開き、江戸の“粋の文化”を生んだ。

■国内動向

産業生態系の再生 -システム連携によるサプライチェーンの効率化と再構築-

坂口昌章客員研究員 有限会社シナジープランニング 代表取締役

【要点(Point)】
(1)多段階で複雑な日本の繊維流通は一方的に悪者扱いされているが、デメリットの反面でメリットもあった。問屋業態も存在そのものが悪いのではなく、ビジネス環境の変化に問屋が対応できず、本来の機能が果たせなくなったことに問題がある。
(2)見本市や展示会では商談結果ばかりが注目されるが、失われた産地機能を産地間連携で補う機能を果たしたという意味でJCの功績は大きい。細分化されたシーズンMDを展開する日本のアパレルビジネスにおいて、展示会は商談だけでない機能を持つべきだろう。
(3)海外の見本市は1対Nのオープンな取引を基本とするが、日本の商取引では常に1対1の相対取引が基本である。「情報システムの導入により悪しき商慣習を改める」というと聞こえは良いが、現実の商取引のルールを否定することにつながる。情報システムを道具と考えれば、日本の商慣習に基づくP2Pのシステムが望ましいのではないか。
(4)P2Pを基本とし、低コスト短サイクルで構築できるシステム「PASTEL」は、現状のビジネス環境を否定せずに情報システムを推進する可能性を持っている。
(5)異なる企業間の商取引をP2P 型でシステム化することは、取引する双方の企業にシステムを導入する必要がある。それには、川下から川上へ、流通支配力がある企業がシステム導入を推進することが必要になる。システム連携は相互の業務効率化をもたらし、特定の相手との情報共有化を可能にする。それにより、日本独自の系列構造と分業構造を情報システムから再構築するという壮大な試みである。

PDF : 詳細(PDF:311KB)

シリーズ高コスト先進国における企業生き残りのKey Factor -第3回 ホロン型組織が創発するインテグリティ:スキャッティ・グループのMade in Japan-

青山学院大学経営学部専任講師 ヘリオット・ワット大学経営大学院ロジスティクス・リサーチ・センター 研究員 東 伸一

【要点(Point)】
(1)ファッション産業におけるインテグリティは、供給サイドにおけるサプライチェーンの統合性、ファッション製品のデザインのまとまりのよさ、供給サイドと消費サイドの対話によって形成される個性・身体イメージ、差異化と同質化のインテグリティなどのあいまいで複雑な要素によって構成されており、他産業と比較した場合に、ファッション製品の不確実性が高い一因ともなっている。
(2)企業のマーケティング活動は外に向いたコミュニケーションが強調されがちであるが、長期的な顧客との共創関係を構築するためには、組織内部からの創発を喚起するInternal Marketing の役割が重要である。
(3)日本橋に本社を置き、シャツの企画、生産、販売を事業領域とするスキャッティ・グループは、強い理念と「ホロン型」の組織ネットワークの形成を通じて、国内生産による独自の製品開発アーキテクチャを模索している。

プレバブル世代vs ポストバブル世代 -生活者の価値観を大きく二分したバブル景気崩壊- 第2回

伊藤忠ファッションシステム株式会社 情報フォーラムチーム チーム長 小原直花

【要点(Point)】
(1)バブル景気崩壊をどの時点で見たかで、価値観は大きく2 つに分けられる。
(2)プレバブル世代は、「頑張ったら頑張った分だけ報われる」と思いながら時間も積み上げ型で消費する。一方、「頑張っても報われない」と思っているポストバブル世代は、今を楽しむことに重点を置くため、アドリブ型で時間を消費する傾向にある。
(3)ただし、景気回復が言われ再び売り手市場となりつつある今、これから就職する世代以降においては、ifs のいうポストバブル世代でありながら、また違う価値観を形成する可能性がある。

■新市場・新製品・新技術動向

シリーズ 無店舗販売の可能性を探る スタートトゥデイ「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」 -eコマースのその先を行く-

フリージャーナリスト 土井弘美

【要点(Point)】
(1)ゾゾタウンは輸入CD やレコードのカタログ販売からスタートし、これをオンライン化しファッションのショッピングサイトとすることで急速に伸び、年商112 億円を売り上げるまでになった。
(2)これには、有名セレクトショップチェーンの登場も大きく関わっている。これらのセレクトショップは自社内に専用部門を持ち、ゾゾタウン内にテナントのような形で出店。この方法は双方にとってメリットをもたらすこととなった。
(3)ゾゾタウンを運営するスタートトゥデイの最大の強みは、バックヤード機能のすべてを自社で持ち、システマチックに運営していること。
(4)同社はサイトショップのみならず、コミュニケーションサイトを立ち上げて他社との差別化と顧客サービスの充実を目指す。

PDF : 詳細(PDF:478KB)

■知りたかった繊維ビジネスのキーポイント

不公正貿易・AD 措置について

日本化学繊維協会 業務調査グループ 主任 鍵山博哉

■「中国繊維ファッションビジネス研究会」インフォメーション

「中国繊維ファッションビジネス研究会」第10回公開セミナーのご案内

 

■お知らせ

東レ経営研究所特別講演会のご案内

■統計・資料

主要合繊別・国別・メーカー別設備能力(現状及び増設計画) 合繊原料編

・カプロラクタム ・テレフタル酸 ・DMT ・アクリロニトリル ・エチレングリコール

主要合繊編

・ナイロンフィラメント ・ポリエステルフィラメント ・ポリエステルステープル ・アクリルステープル ・レーヨンステープル ・スパンデックス ・スーパー繊維