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2008年11月1日
繊維トレンド11・12月号 2008 No.73

■海外動向

数字で見る中国の化繊産業

日本化学繊維協会 業務調査グループ グループ長 杉原克

【要点(Point)】
(1)2007年の中国の化繊生産は2,389万トン。構造的には民営企業、東部地域、大企業への生産能力の集中が進展している。
(2)同年の化繊の国内需要は2,346万トン。近年はファイバー輸出が急増しており、同年は史上初めて、輸出が輸入を上回り、ファイバー純輸出国に変身した。
(3)用途別国内需要の構成比は衣料用:家庭用:産業用で53 : 27 : 20で、依然衣料用が過半を占めている。

「日中アパレル連携」新時代の予感 -中国人デザイナーの東京コレクション初参加-

坂口昌章 客員研究員 有限会社シナジープランニング 代表取締役

【要点(Point)】
(1)2008年9月3日、東京ミッドタウンホールにおいて、中国人メンズデザイナー計文波氏が東京コレクション初となる「LILANZ(リーラン)2009年S&S コレクション」を発表した。
(2)LILANZ は、日本のノウハウを活用して、世界レベルの企業への脱皮を考えている。その第1が素材開発チームの組織化、第2 が日本人デザイナーの起用である。
(3)日本と中国のコレクションは、手続きや運営方法に大きな違いがある。計画に忠実に動く日本人と、変更を繰り返しながら完成度を高めていく中国人との相互理解は難しい。
(4)多くの日本人デザイナーは、ヨーロッパと異質のストリートファッションやリアルクローズで勝負しているが、多くの中国人デザイナーは正統派のラグジュアリーファッションを志向している。
(5)日中のビジネス連携には、日中両国にそれぞれ、人脈のある専門家とバイリンガルの日中混成チームを置き、それぞれが連携することが必要。
(6)日本での素材開発、新ブランド開発、旗艦店運営、東京コレクション参加の拠点を、ライセンスビジネスという形で集約できるのではないか。
(7)ブランド単位でサプライチェーン全体を認証することが求められている。それをライセンス生産契約という形で組織化できる可能性がある。

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環境激変で景気悪化が進む東アジア合繊長繊維織物業界 -中国の輸出ドライブによって国際競争が一段と激化-

小山英之 特別研究員

【要点(Point)】
(1)米国発の信用収縮問題の泥沼化によって、世界同時不況への歩みが進行している。世界アパレル輸入の8割を占める日米欧の消費不振と、食糧価格の高騰に伴う途上国マーケットの繊維消費の減少が表面化している。
(2)8月以降、石油等の国際商品価格が値下がりに転じているが、各国繊維業界は依然として高コストと需要低迷で収益の悪化に苦悩している。特に内需向け出荷が頭打ちになった中国合繊長繊維織物業界は、輸出ドライブをかけており、東アジア合繊長繊維織物業界のサバイバル競争が激化してい る。

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2008年北京オリンピックを終えて

横川美都 研究員

“百年之夢”、2008年8月8日に世界中の注目を浴び、華々しくスタートした北京オリンピックを中国では人々はこのように呼んでいました。日本でも各メディアが様々な角度からオリンピックを、そして中国を報道していたと思います。残念ながら筆者は期間中に北京を訪れるチャンスがありませんでしたが、上海でも男女サッカーなど一部の試合が行われ、オリンピックの雰囲気を感じ取ることができました。本誌の“繊維”というカテゴリーからは離れますが、中国にとってはまさに、100年に一度の国の威信を賭けたこの大イベントについて、写真を中心に上海で筆者が見聞きしたことをご紹介します。

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中国におけるファッションビジネス教育のあり方 第3回 -上海東華大学院における実験講座を中心にして-

宝塚造形芸術大学 専門職大学院 デザイン経営研究科長 教授 菅原正博

 100年に一度の世界同時不況の中、単価の安さなどからアクセサリー(服飾雑貨)の重要性が見直されている。ここではニューヨークで開催されるレディースアクセサリーの見本市展示会Accessories TheShow について、現地でファッション情報誌のエディターを務めるカワムラ氏にご紹介いただく。

【要点(Point)】
(1)前号では、実践的なワークショップによるグループ教育の一端を説明してきたが、今回は、日本のファッション・マーケティング教育のあり方をどのように中国に適用させるかという「講義編」に絞ってまとめた。
(2)70 年代に体系化した「ファッション・マーケティング・システム」は基本的に7 つのステップから成り立っていたが、その後、「FIMPACS」という形で「戦略編」と「機能編」に区分けした概念モデルを構築したので、それを今回の上海の講義の出発点で説明した。
(3)90年代に入って日本ではSPA という「アパレル製造小売業」が次第に主流を占めるようになったために、そのSPAの機能を説明した。
(4)現時点では、中国のファッション産業は歴史が浅いために、日本のファッション産業のほうが多少のアドバンテージを保っているが、ことマーチャンダイジング(MD)教育という面から見ると、早晩、中国にキャッチアップされる可能性が高い。というのは、中国のファッション教育の中核が大学中心で行われているからである。
(5)MD 教育で特に重要なのは、大学レベルでの経験豊かな実務家教員の補強である。この点が日本では未解決なままに放置されているのが現状である。
(6)今回の「中国における実験講座」を通じて、日本においても大学、大学院レベルの実務家教員の育成をいかに産学交流会や学会で早急に整備する必要があるかという点を再認識させられた。

■国内動向

シリーズ高コスト先進国における企業生き残りのKey Factor -第8回 マーケティング革新事例と誤解釈の落とし穴- -ガールズウォーカーのケースを用いて-

青山学院大学 経営学部 准教授 ヘリオット・ワット大学経営大学院 ロジスティクス・リサーチ・センター  研究員 東 伸一

【要点(Point)】
(1)情報は、その量が大きくなると不確実性を低減する機能を持つが、「マーケティング革新」に関する「情報」は、多くの場合、表層的な記述にとどまり、実践可能な知識を提供していない。そうした情報は、受け手にとって「不確実性」を高めることになっている場合もある。
(2)「エモーショナル」なマーケティングというキーフレーズが用いられて久しいが、本来、マーケティング活動には、少なからず「エモーショナル」なキュー(てがかり)が不可欠であることは、実は忘れられがちである。
(3)株式会社ゼイヴェルによる「ガールズウォーカー」は、「日本型マーケティング仕組み革新」の事例として国内外で注目を集めているが、その革新の深層とは、「エモーション」なのだろうか、それとも行動システムの「ロジック」なのだろうか。
(4)「マーケティング革新」の事例から実践的な知識を導き出すためには、分析対象となる企業の表層の競争力ではなく、深層の競争力の源泉が、どのようにして作り出されているのかを掘り下げる必要がある。

キャリアマーケット分析 第1回

東京ファッションプランニング株式会社  デザイン・企画カンパニー社長 山田 桂子

【要点(Point)】
(1)キャリアマーケットの分析に際し、従来の「キャリアマーケット」の捉え方を見直す。20代中心のヤングOL、30歳を中心とするアラサー、40代を中心とするアラフォーの3分類が実態に即したキャリアマーケットだと見なす。
(2)ヤングOL のファッション特性は、「通勤」という場面に限定されながらも、次々とルールを破っていく「タブーへの挑戦」というキーワードに集約される。
(3)ファッション業界からも注目されるアラサーは、大人感覚とギャル感覚を併せ持つマーケットと分析できる。
(4)働く40代もいまやキャリアマーケットの一角として外すことはできない。

■知りたかった繊維ビジネスのキーポイント

デジタルアーカイブ

坂口昌章 客員研究員 有限会社シナジープランニング 代表取締役

■図表解説

トピックスチャート外資アパレルの流入加速 H&M は日本市場で勝ち残れるか

■統計・資料

主要商品市況

1.原油 2.ナフサ3.PTA 4.EG 5.カプロラクタム 6.アクリロニトリル 7.ナイロンフィラメント、同織物  8.ポリエステルフィラメント、同織物 9.ポリエステルステープル 10.アクリルステープル、同紡績糸 11.綿花 12.ポリエステル綿混(T/C)紡績糸及び織物