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2015年2月12日
地域振興の活路は海外にあり
チーフエコノミスト
増田 貴司

 安倍政権が重点政策に掲げる「地方創生」が動き始めた。地域振興政策は過去にも多くの 政権が取り組んだが、目に見える成果が出なかった。補助金頼みの企業誘致や公共事業の バラマキに走っても、地域の持続的な発展にはつながらない。地域振興を成功させるカギは、 産業を活性化させ、地方に魅力ある就職機会を増やすことにある。  高齢化が進み、生産年齢人口の減少が続く日本で地域振興を考える際に欠かせない視点 は、海外の人々の力を活用することである。海外の成長力を取り込んで地域の産業を活性化 させる方策としては、次の 2 つが有望である。  1 つ目は、地元で生産した農林水産物(1 次産業)に独自の加工(2 次産業)を施し、自前で 販売(3 次産業)まで行う「6 次産業」化を進める。そうして生み出した付加価値の高い、魅力 的な商品を新興国の富裕層向けに輸出する方策である。  2 つ目は、訪日外国人旅行者(インバウンド)観光の推進である。訪れたくなるような地域の 魅力を磨き、海外からの来訪者に当地での食事や買い物などの体験を楽しんでいただく「お もてなし業」を発展させる道だ。昨年 10 月から訪日外国人に対する消費税「全品免税」が導 入され、日本がアジア随一のショッピング大国になる可能性が高まったことは強力な追い風 だ。  インバウンドは観光事業者だけの課題ではなく、今やすべての産業、官庁、自治体が取り 組むべき一大領域だ。地域ぐるみで産学官が連携して地元の強みを構築し、地域に向かうヒ ト・カネ・情報の流れを太くし、地域内の総生産を増やし、新たな雇用を生み出すことを目指す べきだ。  枠にとらわれずに業際化や連携を進め、地域の魅力を世界に発信し、海外の需要を取り 込むことだ。ここに地方創生の沃野が広がっている。 (本稿は、2015 年 2 月 10 日 日本経済新聞夕刊「十字路」に掲載されました)