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2022年5月12日
男性育休義務化と女性活躍推進は車の両輪
宮原淳二
 改正育児・介護休業法が今年4月に施行された。子どもが生まれる従業員への育休制度の内容伝達と取得意思の確認を企業に義務付けた。10月には最大4週間使える父親専用の育休を創設、分割取得も可能に。さらに来年4月、従業員千名超の企業に育休取得率公表を義務化。矢継ぎ早の施行を契機に、男性が日常的に育児に参加する意識が高まることを期待したい。
 内閣府の男女共同参画白書(2020年)によると、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に反対する者は、男女とも長期的に増加傾向で19年の調査では、女性で63.4%、男性で55.7%に上った。こうした世論もあり、専業主婦世帯は減少し、共働き夫婦が増加の一途だ。しかし、育休は男女とも取得できるにも関わらず、取得率は女性が8割を超える一方、男性は13%足らずとその差は歴然としている。
 慢性的な人手不足に悩む中小企業や性別での役割分担意識の強い地方などでは「男性育児」への理解はいまなお乏しい。今回の法改正で一足飛びに男性育休取得率の向上につながると考えるのは早計だ。働き方の見直しで、労働生産性を向上と代替可能な業務の拡大を同時に進める必要がある。さらにもう一つ越えなければならないハードルが妻側の育児や家事に関する潔癖さだ。子どもへの「キャラ弁当」に代表されるように、必要以上に手間暇をかけることが多い。これでは「とても夫に家事育児は任せられない」となってしまう。戦力外通告を受けた夫が「触らぬ神に祟り(たたり)なし」となるのは残念でならない。
 人口動態統計速報によると、外国人を含むわが国の出生数は前年比3.4%減の84万人と戦後最小に。一方で総務省の労働力調査では、22年3月時点で前年比0.9%増の1247万人で過去最多を更新。男性正社員数がほぼ横ばいから微減で推移しており、今後は女性のキャリア支援が企業にとって重要施策となろう。女性に仕事で活躍してもらい、さらに家事育児でも完璧を目指せ、となると早晩立ち行かなくなる。夫婦で仕事と子育てを両立しなければ、人口減少という国難は解消されまい。今回の男性育休義務化と女性活躍推進は令和時代における車の両輪なのだ。