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2011年11月9日
計画された偶発性
部長(D&WLB推進部)
宮原 淳二

 昨年12 月末に(株)資生堂を退職し東レ経営研究所(以下TBR)に転職しました。私は資生堂時代、人事分野で多岐にわたる業務を経験しましたが、中でも注力したのが、ワーク・ライフ・バランス(以下WLB)の推進でした。自身で「育児休暇」を取得したり、「定時退社デーの推進」「子どもを会社に招待する日」の企画・運営などを実施していました。そんな中、国内化粧品事業のてこ入れを図るべく、本社から100 名規模の中堅社員が現場に異動することになりました。私もその一人で、17 年ぶりに営業所に行くことに大いに戸惑いました。さらに人生初の単身赴任です。キャリア・クライシス(キャリアの危機)が訪れたのです。  しかし、営業所に異動しても「部下を極力定時に帰らせる意識」や「短時間社員の接し方」など人事部門で培った経験が本当に活きました。また人事関連書籍は、時間があれば本屋に足を運び継続して購入していました。  そんな時期が1年ほど続き、ある日突然以前から親しかった方から、“一緒に働こう”と今の会社に誘われました。これも青天の霹靂(へきれき)です。しかし私にとっては自分の得意分野であるWLB のコンサルティングができる喜びと家族と一緒に住めるという希望が重なり、今回の転職に至りました。  少し話は飛びますが、心理学者のクランボルツは、キャリア形成のひとつの要因として、“計画された偶発性”の概念を提唱しています。すなわち、偶然におきる予期せぬ出来事からも自分のキャリアは形成され、開発されるものであり、むしろその予期せぬ出来事を大いに活用すること、偶然を必然化することを提唱しています。予期せぬことを避けるのではなく、むしろ積極的に自ら創り出すことが大切でありそれを自分のキャリアに活かすことであります。キャリアチャンスはおとなしくただ待っていても訪れるものではなく、自ら行動をおこしてチャンスを生み出し自分の手で掴み取るものである、と提唱されています。  今振り返って見ると、私にもそんな計画された偶発性がありました。大学時代のゼミでは、「スウェーデンの高福祉国家について」を勉強していましたし、営業所にいても人事関連書籍は購入し続け、他社の人事部の方と情報交換をしていました。そんな流れの中で今回の転職が実現したのです。TBR にも同じような経験を持つ高橋さんという方がいます。証券会社に入社され、最初は営業の仕事でした。ずっと調査を切望された結果、調査研究の仕事に就かれ、今でもTBR では調査の研究で力を発揮されています。  要は「自分のキャリアをどう実現したいか」という想いを常に頭の中に思い描き、キャリアチャンスを積極的に掴む努力を怠らないことが大切だと思います。  昨年までいた金沢は、例年になく雪が多く疎ましい毎日でした。しかし今では横浜の自宅で娘のために雪だるまを作るなど、同じ雪でも雲泥の差です。また単身赴任したことで家族を大切に思う気持ちが高まったのも収穫でした。今後も“計画された偶発性”を大いに意識したいと思っています。