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2001年12月1日
経営センサー12月号 2001 No.36

■経済・産業

低価格志向が進む個人消費 -高級ブランド品も好調、消費は2極化-

高橋 健治  産業経済調査部長チーフ・エコノミスト

 衣料品、ビール関連、外食、日用品などで低価格品が人気を集め、シェアを高めている。一方、高級ブランド品も依然好調で、消費は2極化に向かっている。消費支出全体としては、低価格志向の影響はあまり見られないが、費目的には、携帯電話代が増えた分と、衣料品の購入減少がほぼ見合っている。低価格品の増加は、物価統計にまだ十分反映されていないことに注意を要する。低価格品の好調は、新しいビジネスモデルによる業態の変化が背景にある。ボーダレス化時代を迎え、これまでのわが国の高価格構造は、国際価格に収斂していくことになろう。

インフレ目標の導入は是か非か -理論的には有効だが、「言霊の国」日本での導入は問題-

増田貴司  産業経済調査部主任研究員シニアエコノミスト

 深刻なデフレ不況にあえぐ日本で、インフレ目標論に注目が集まっている。一定の物価上昇率を目標に据え、その達成を目指して金融政策を運営するインフレ目標政策の導入は、果たして是か非か。巷にあふれるインフレ目標への批判は、インフレという言葉に過剰に反応して反発しているだけで、的はずれで説得力に乏しいものが多い。本来のインフレ目標論は、調整インフレ論とは似て非なるものだ。そして、インフレ目標政策は、理論的にはデフレ脱却のためにも有効な手法だと筆者は考えている。それにもかかわらず、今の日本で、インフレ目標政策を導入することには反対だ。その理由は、(1)「隠れ調整インフレ論者」に悪用される懸念がある、(2)デフレ下の物価上昇率引き上げには、国民の理解が得られにくい、(3)日本は「言霊(ことだま)」信仰が根強い国であるため、インフレという言葉を冠した政策は国民に許容されにくい、ことなどである。今の日本には、「名目成長率目標」の方が望ましい。

化学業界 -厳しい業界環境のなか、再編が進行-

永井知美 産業経済調査部 産業アナリスト

 昨年の住友化学工業と三井化学の経営統合発表は、グループの枠を超えた戦略的統合として注目を集めたが、化学業界では塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィンといった汎用樹脂の分野でも再編の動きが加速している。欧米化学業界の大規模な再編、汎用樹脂の関税引き下げ問題、アジアにおける相次ぐプラント建設、石化製品の市況悪化など、厳しさを増す業界環境が背景にある。ただ、再編による規模拡大だけでは競争力強化は難しく、国内生産効率化、さらなる海外展開なども求められている。

科学技術創造立国に向けた製造業の研究・技術開発の方向性 -ハイテク文化立国日本の建設と技術者の役割-

飯田 汎 マネジメント研究部長

 グローバル化経済のもとで、製造業にが新たなビジネスモデルが求められている。未来創造にむけた技術開発の成功には、時代背景への深い洞察と考え方が欠かせない。戦後半世紀を経た今、リスクへの挑戦、自立心の高揚、創造性の発揮につとめ、21世紀科学技術創造立国の建設にむけて、日本文化のルネサンスが求められている。21世紀を形成する(1)環境創造 (2)知識創造 (3)文化創造社会に根ざした産業創出と研究・技術開発にむけたイノベーションが必要となっている。

知っていますか?「FTA(自由貿易協定)」

■マネジメント

ブロードバンド時代の情報システム

富士通株式会社ネットワークサービス本部 マーケティング統括部 池田 尚義

 今、高速・常時接続のブロードバンドネットワークが注目され、ADSLなどの普及が急速に進んでいます。ブロードバンドにより、インターネットは第2のステージを迎えています。ここでは、変貌する私たちの日常生活、企業のコラボレーションの変革、システムの進歩、それを支える技術について説明します。

個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律

弁護士 柴田 眞宏

Q:「本年10月1日から施行されている個別労働関係紛争の解決に関する法律はどのような内容の法律なのですか。」

■人材

営業リーダーの要諦 -生産財マーケティング推進から学ぶ(前編)

大橋 清 取締役(人材開発部担当)

 今年度、東レ・プラスチック事業本部では、自動車用樹脂材料(旧エンジニングプラスチック第1部の各樹脂)と同内装用"トーレペフ"(従来はフィルム事業部門)とを合体した"自動車材料事業部"が組織化され、各自動車メーカー、同部品メーカーなどに対し、統合された戦略的ワークを効率的に推進している。筆者はかつて、ペフ事業部在籍時代にペフ事業の抜本的収益改善を狙いとした"ペフ自動車内装用途開発特別プロジェクトチーム"を結成し、そのリーダーとして、各自動車メーカーなどへの開発営業に従事した。東レにおける用途別売上高では繊維衣料用途に続いて、二番目に多いのが自動車用途であり、販売戦略上重要な位置付けにある。 そこで、今月号では『生産財マーケティング推進事例』としてペフ自動車用途開発に関する業務推進内容を振り返ってまとめ、次号では厳しい生産財マーケティング戦争で勝ち残るための戦略・戦術面および営業担当リーダーの要諦について報告したい。 

プロフェッショナル人材と21世紀型企業組織  -「ヒューマン研究会(第12期)」グループ研究発表より-

釘崎 康弘 人材開発部 研究員

 「ヒューマン研究会」は、異業種各社の人事担当者で構成される異業種交流研究会である。先般終了した第12期のテーマは「プロフェッショナル人材」であったが、今回、そのグループ研究の成果の一部を紹介したい。 激しく変化していく時代の中で、変化に柔軟かつスピーディに対応できる21世紀型企業組織と、そこで活躍するプロフェッショナル人材が求められている。われわれは「花びら型組織」を例としてプロ人材とそれを活かす組織について考えてきたが、プロ人材は会社に属するというよりもむしろ各プロジェクトに属するものという考えに基づいているため、長期雇用がいまだスタンダードである日本ではいくつかの問題点もある。プロ人材を中心にプロジェクトに対して「背水の陣」を敷く仕組みを考えていく、これが新しい付加価値を生み出すプロ人材と21世紀型企業組織の重要テーマといえるだろう。

流動化する文殊の知恵

綾 俊彦

■統計

国内主要産業動向(鉱工業生産/卸売物価/消費者物価/貿易/原油/為替/百貨店 /量販店/自動車/VTR/カラーTV/パソコン/半導体/住宅着工/機械受注/公共 工事着工) 完全失業率(全体、性別)/完全失業率(年齢別)/有効求人倍率/求職理由別完全失業者数

■TBRの広場

参加者募集「繊維産業シンポジウム」