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2009年10月2日
世界の増大するインフラ需要を考える
日本はものづくり技術で活路を見出せるのか
シニアエコノミスト
福田 佳之

・世界各国で活発に行われている公共事業は、景気対策としての側面だけでなく、各国の現在及び将来の社会的経済的ニーズを満たすという側面がある点に注目すべきである。 ・欧米でもインフラ投資の必要性が高まっているが、その背景にはインフラの老朽化とインフラのスマート化の進展が挙げられる。 ・インフラのスマート化とは、IT技術を使ってリアルタイムで公共サービスの供給を効率的に行うことを指し、スマートメーターが代表例である。インフラのスマート化は省エネや温暖化防止に役立つと言われているが、日本企業が積極的に取り組んでいないのは気がかりである。 ・一方、新興国のインフラ投資は、金額面で先進国のそれを上回っている。その理由として、急速な経済成長と都市化の進展により水や電力不足から交通渋滞や廃棄物処理までさまざまな社会問題が発生しているためである。今後も中国、インドなどの新興国で莫大なインフラ需要が顕在化すると見られており、公的機関だけでなく、民間企業によっても、インフラ整備が進められよう。 ・なかでも、水のインフラ投資を扱う水処理事業は新興国での水需要の高まりを受けて注目されている。公的機関だけでなく、民間企業も同事業に参入しており、フランスのスエズ社やヴェオリア社など「水メジャー」が有名である。最近では、GE社、シーメンス社、シンガポール政府の支援を受けたハイフラックス社が台頭している。 ・日本企業は、ろ過膜など機器・素材市場で強さを発揮しているが、水処理市場全体の1%程度を占めるに過ぎない。水処理事業の9割を占める水道事業の運転管理・維持について日本企業の実績は皆無と言ってもよい。 ・新興国インフラ需要を取り込むには、低価格商品の開発と日本企業の弱点を補う現地企業との提携がカギを握る。

【キーワード】

インフラのスマート化、スマートメーター、スマートグリッド、OpenHAN、都市化、民営化、デリー・ムンバイ間産業大動脈構想、水メジャー、NEWater、逆浸透膜、Waveα

PDF : TBR産業経済の論点 No.09-08(171KB)